門司港レトロ、潮風薫る散歩道
柳原真帆
福岡県
福岡県立門司学園中学校
中学校2年生
全体説明
私の住んでいる街、門司港はかつて日本有数の貿易港として栄えた港町です。明治から大正にかけて建てられた歴史的な建物が今も残る美しい街で、毎年沢山の観光客の方々がこの街を訪れています。
しかし、この美しい街も開発や発展の名のもとに少しずつその姿を変えています。
いったいこの街の自然は、どう変わってしまったのでしょうか。私は、過去の自然観察地図(平成20年と平成21年に、私がこの街の自然を絵地図にまとめたもの)を片手に、今年またこの街を歩いてみることにしました。
今回私が最も気になったのは、朝のカラスの多さです。観光客の増加にともなって増えたように思います。その他にも、開発や発展の影響ではないかと思われる海でのクラゲの増加や街でのツバメの減少が見られました。
しかし、私は観察の途中、めかり山山頂から朝日に照らされて銀色に輝く街を見た時、やっぱりこの街はすてきな街だと思いました。
観察ポイントごとの説明
(1)
ここは西海岸の岸壁です。私達家族は、ここでよく釣りをします。「サビキ」という小さな釣り針が沢山ついた仕掛けを使うとアジやイワシ、さよりなどがよく釣れます。
しかし、この頃水クラゲが多いのが気になります。海水の水温の上昇が大量発生の原因ではないかと言われていますが、私は人工海岸が多くなったからではないかと考えています。コンクリート面はクラゲの幼生であるポリプが定着し育つのに都合がよいからです。
(2)
ここは門司港駅前の噴水広場です。私は、学校行きのバスに乗るため毎朝ここに来ます。
ここへ来る楽しみは、毎年五月の初めから駅の軒下で観られるツバメの子育てでしたが残念なことに今年はその姿を観ることができませんでした。「ツバメは環境の変化に敏感」だと聞いたことがあります。一度でもカラス等に雛を襲われたり巣を壊されたりすると戻ってこないこともあるそうです。やはり私は、増えすぎたカラスのことが気になります。
(3)
ここは、駅近くの船だまりで門司港レトロ観光の中心地にあります。この辺りでは、いつも沢山の方々が観光を楽しんでいます。
この冬、この船だまりでよくユリカモメを見かけました。今までは、少し北のめかり山近くの海で見かけていたカモメです。そこでは時々カラスに追いかけられていたので、人が多いこの船だまりに逃げてきたのかもしれません。羽をふくらませ丸々としたユリカモメが海に浮かぶ姿には、いつも癒されます。
(4)
ここは、トロッコ列車の線路沿いです。長い間使われていなかった線路を利用し観光用のトロッコ列車が去年から走っています。
列車が走り出す前までこの線路沿いは帰化植物が線路を覆い隠す程、背も高く青々と生い茂っていました。
しかし、今は草取りもされ玉ジャリも敷かれてスッキリとしています。でも良く観ると、嬉しいことにアレチノギクや、コマツヨイグサがひっそりと花を咲かせていました。
(5)
ここは、くすの木の並木通りです。10メートルはあろうかというくすの木の大木が涼しい木陰をつくってくれています。
私は、去年ここで初めてカラスの子育てを観察しました。そして、今年も同じ巣で二羽のカラスが代わる代わる卵を温めたり、お互いを羽づくろいする様子が見られました。そんなカラス達を見ていると、カラスはもともと害鳥ではなかったのに私達人間が勝手に害鳥にしてしまったのだと改めて思いました。
(6)
ここは、海岸近くにある肥料倉庫です。大変大きな倉庫で屋上には鉄のさくがあり、周りの電線もあわせてまだ子育てをしていない若いカラスの寝ぐらになっています。
朝五時頃、住宅地や街中に、「ガアガア」と鳴きながらたくさんのカラスが一斉に飛んで行く姿が観られます。黒い集団は少し不気味ですが、山にエサがなく人間が出す生ゴミを食べるしか生きる道がなくなり街に降りてきたのならとてもかわいそうだと思いました。
(7)
ここは、めかり観潮遊歩道途中の観潮階段です。海に向かって階段のようなベンチが設けられています。
私は、ここから眺める景色が大好きです。関門海峡は、潮の流れが川のように河のように速いため海面はいつも眩しい程にキラキラと輝いて、吹きぬけていく潮風も心地よいです。また、本州へ続く関門海峡を見上げながら沈む夕日を眺めるのも最高です。時がたつのも忘れてしまうそんな場所です。
(8)
ここは、海岸沿いの遊歩道で、所々に釣り場が設けられています。私は、ここで投げ釣りをします。青ケブをエサにするとキスゴが釣れます。
ここでは、時々岩と岩の間からネズミが顔を出します。隊長は二十センチほどで、釣り人の持ってくる釣りエサやお弁当の残り物を口にくわえると素早くまた巣穴に戻ります。その姿を見て私達人間は、色々な生き物に色々な影響を与えているのだなあと思いました。
(9)
ここは、トロッコ列車の折り返し地点です。私は、この場所が一番変わってしまったと思っています。二年前の観察絵地図には、自然の野原で暮らす昆虫の様子や大きな桜の木が何本も描かれています。しかし、開発のため何十本もの桜やくすの木が切りだされ、土は掘り返され、今は芝生の公園へ姿を変えています。久しぶりに訪れた公園には、もう昔のように生き物はいません。小さな虫をついばむハクセキレイの姿も観られませんでした。
(10)
ここは、瀬戸内海国立公園内の古城山山頂にあるめかり公園です。
朝五時山の空気は、ひんやりと冷たくとても気持ちがいいです。「ツーツーピー」とくりかえすヤマガラの声も聞こえます。
ここは、今も変わっていませんでした。エサ台にやってくるシジュウカラも、いちいがしの幹にとまるコゲラも、二年前に訪れた時のままです。私は、これからもこの自然の姿を大切に残していきたいと改めて思いました。