応募期間

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受賞作品一覧
佳作
第29回 中学生の部

私の住んでいる団地の散策路

東本陽果

奈良県
智辯学園奈良カレッジ中学部
中学校1年生

全体説明

私の住んでいる町、大淀町は、奈良県のほぼ中央(大淀町役場、東経135度47分32秒、北緯34度23分15秒)にあり、吉野川に沿って位置しています。この町の北側にある標高200mくらいの丘陵地を削って造られた団地(南北約2km、東西約400m)の広さに住んでいます。この団地は周りを樹木で囲まれ、6つの公園(あじさい公園、つばき公園、大池公園、桜公園、鎮守の森公園、地蔵公園)があり、そこにはさまざまな樹木が植えられています。また、団地を南北に貫くメインストリートには、イチョウの木が植えられています。私の家の庭や家の周り、公園を中心に探索しました。その結果、どの公園にもサクラの木が植えられていますが、トウカエデ、トベラ、ナンキンハゼは、あじさい公園にしか植えられてなかったり、ポプラやプラタナスは地蔵公園にしか植えられていませんでした。

観察ポイントごとの説明

1. 私の家の庭には、サザンカ・キンモクセイ・ドイツトウヒ・サクラ・マテバシイ・クチナシなどが植えられています。サクラの木にヘクソカズラが巻き付いていました。ヘクソカズラは、多年生のつる植物で樹木の一種です。茎は、右巻きです。茎葉をもむと悪臭があるところから「屁糞蔓」というかわいそうな名がつけられています。また、アメリカ大陸原産の多年生植物ユウゲショウが咲きゴマダラカミキリやニホントカゲもいました。

 

2. 家の前の道路の下は斜面になっていて、そこには樹高15m近いアラカシとコナラの木が数本生えていて、他にオオバヤシャブシやカジノキの低木も生えています。そこには、鳴き声が「特許許可局」とか「てっぺん欠けたか」というように聞こえるホトトギスや「ちょっとこーい、ちょっとこーい」というふうに聞こえるコジュケイが来ます。アラカシとコナラは見た目はよくにていますが、アラカシは常緑高木、コナラは落葉高木です。

 

3. あじさい公園には、トベラ5本、ナンキンハゼ6本(10m以上の木もある)、ツバキ7本、トウカエデ6本、カイヅカイブキ6本、ナワシログミ1株、サクラ5本、ツツジ30本、アジサイ1株、モチツツジ3本が公園の周辺に植えられていました。アジサイ公園の下には多目的運動公園があり、その周辺にはキョウチクトウが植えてあります。カイヅカカイブキの幹や枝にはアブラゼミの抜け殻がたくさんついていて、コオロギもいました。

 

4. ツバキ公園には、イロハモミジ4本、ツバキ13本、ワシュロ1本、サクラ19本、ツツジ5本、ヒサカキ3本、ハナゾノツクバネウツギ(別名アベリア)1株植えられていました。ハナゾノツクバネウツギは園芸品種で自生はなく、各地に栽培される半常緑低木です。枝が密生し、高さは2mくらいでした。花冠は長さ1.5~2mの漏斗状で、先は5つに裂けています。花色は白色であるいはやや淡紅色を帯びています。

 

5. 大池公園は、周囲100mくらいの小さな池があり、その周りを樹木が囲んでいます。池の西端は、サクラ、ヒサカキ、コナラ、アカマツ、ソヨゴなどが植えられた林になっています。コナラの幹にキマダラヒカゲが止まって樹液を吸っていました。ヒサカキは、本州の秋田県、岩手県以南に分布する常緑小高木です。丘陵地帯の林によくみられます。ソヨゴは、山地の乾いた林内に生育する常緑小高木で、葉の緑が波打っているのが特徴です。

 

6. 団地の西側は、針葉樹のアカマツ林になっています。アカマツは、陽生植物の代表で、森林を伐採するとその跡地に芽生えてきます。アカマツの葉は、長さ7~10cm、副約1mmの針形で、断面は半円形です。短枝に2本の葉が束生しています。葉はクロマツほどかたくありません。アカマツ林と接するところにはタカサゴユリが所々で咲いていました。

 

7. さくら公園は夏祭りの会場になったりして団地のほぼ中心にあります。この公園の周辺には、サクラが20本、他にキンモクセイ、ムクゲ、フジなどが植えられています。キンモクセイは中国原産の常緑低木で、ムクゲは、中国原産とされる落葉低木です。ムクゲの花は、直径5~10cmの鐘形で5弁花を開き、中心部が濃い赤色になっています。花は早朝に開き、午後にはしぼんでしまう1日花です。

 

8. クリ(ブナ科)は、北海道の石狩・日高地方以南、本州、四国、九州に分布する落葉高木または中高木です。高さ17m、直径1m以上になるものもある。葉や樹皮がクヌギやアベマキによく似ています。葉緑には鋭い鋸歯があり、鋸歯の先端は緑色の短い芒状(クヌギやアベマキでは鋸歯の先端には葉緑素を含まないので茶褐色になります)となります。クリは葉の裏に腺点がありますが、クヌギやアベマキには腺点がありません。

 

9. 鎮守の森公園は、団地の一番高い所にあり、お祭りの神事が行われるところで、小さな祠があります。この公園の周辺には、アラカシ、シラカシ、ウバメガシ、アカマツなどが植えられてあり、ヘクソカズラやサルトリイバラが木に巻き付いたりしています。また、草の生えたところにはたくさんのコオロギの幼虫がいました。また、ヤママユガの成虫も1匹見ました。シラカシは、本州の福島県、新潟県以西から九州に分布する常緑高木です。

 

10. メイン通りのイチョウは、中国原産で、庭園や公園、街路樹として各地に植栽される落葉高木で、大きいものでは高さ30m~45m、直径5mほどになります。葉脈は2股分岐として、平行脈状で、上緑に達します。雌雄異株で、雌株の枝は水平方向にはり、雄株の枝は斜め方向に出て、樹形にも違いがありました。雌株には種子ができていました。種子には、2層の種皮があり、外種皮は多肉で軟らかく、内種皮は木質化してかたくなります。

 

11. 地蔵公園の周辺には、クスノキ、プラタナス、ポプラ、サンゴシュ、ケヤキ、ネズミモチなどが植えられています。プラタナスは、スズカケノキとアメリカスズカケノキとの交配種で、モミジバスズカケノキのことです。プラタナスには、直径2cmくらいの実がなっていました。ポプラは明治中期にアメリカか渡来したセイヨウハコヤナギのことで、ヨーロッパ、西アジア原産の落葉高木で、15mくらいの高さがありました。

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