小京都龍野歩きまっせ~
塩谷紗也子
東京都
明治大学付属中野八王子中学校
中学校1年生
全体説明
私は兵庫県龍野町の祖母の家に毎年両親と共に帰省している。この町は「播磨の小京都」と呼ばれ、龍野城のもとにお寺や古い家が並ぶ、城下町である。また、揖保川と山に囲まれた緑豊かな場所である。
そして、毎年夏になって祖母の家に帰るとセミの鳴き声が私の住んでいる東京とちがってやかましいほどに聞こえるのである。山にはせみだけでなくもっともっとたくさんの生物が居るんだろうなと思い調べて見ようと思った。
調査してみようと思った理由はもう1つある。
それは三木露風を想いつくったと言われる「赤とんぼ」の町をあらためて、ゆっくりと歩き、どんな生き物たちを見ることができるかと興味を持ったからである。
歩いてみると思っていなかった所に虫がいたり、町の人の工夫があったり、生き物も精一杯生きていた。昔の歴史や自然のすばらしさを教えてくれる龍野の観察路を紹介しよう。
観察ポイントごとの説明
<ポイント1>
祖母の家から50mほどのところにはカネイ醤油、如来寺というお寺、醤油資料館がある。その道沿いには、浦川という小さな川が流れ、龍野を訪れる観光客が少し休憩がとれる休憩所もある。
そしてそのとなりには、浦川を利用して金色や赤色のさまざまな大きな「こい」が飼われていて観光客や私の目をなごませてくれている。こういったところに観光客を楽しませたい工夫を感じた。
<ポイント2>
ポイント1から坂を登っていくと三差路につきあたり、右手に龍野城の入口になる。その坂の先には埋門(うずみもん)が見える。この埋門に向かっていくとその右手の木にカタツムリを見つけた。
私はカタツムリは水分の多い葉っぱにいるものだと思い込んでいたが木にくっついている姿を見て驚き、面白いと思った。
<ポイント3>
ポイント2をさらに登ると龍野城の敷地内に入ることができる。龍野城は1500年前頃に赤松家が築いた城だがその後豊臣秀吉が開城、蜂須賀家、脇坂家が城主となる。今は陣屋形式の建物が再建されている。その建物の前で赤とんぼを発見! 秋にならないと思っていたのでびっくりした。もう秋? はやかっただけ? 赤とんぼも種類がたくさんあるがわからなかったのが残念だ。
<ポイント4>
龍野城の裏庭から山に入ることができるので山から動物が入らないように作られた簡単な扉をあけて山道へ進んだ。細い林道を先に昼間とは思えないほど薄暗く、涼しい。山の匂いもする。蝉の声や鳥の声、色々な音が聞こえてくる。私の嫌いな蚊も寄ってきたので急いで歩くとアリの大群を見つけた。1列にきれいに並んで歩いていて、頑張ってるな! と思った。すごい量のアリだった。
<ポイント5>
ポイント4から山道を小さな谷川に沿って歩いていくともみじ谷というところに出た。ハイキングコースの入口になっていて、ここから鶏籠山や的場山に登ることができる。一段と蝉の声が激しくなってきた。ミンミンゼミやツクツクボウシ、ヒガラシの鳴き声も聞こえる。木の上を探すとアブラゼミを発見。アブラゼミは寿命が短いのがかわいそうだと思った。
<ポイント6>
もみじ谷から龍野神社、茶屋のある聚遠亭、そしてそこから三木露風の赤とんぼの歌碑に通じる桜道を「文学の小径」と言う。
また、この道の山側斜面には、たつの市出身の哲学者三木清の哲学碑があり、この道は桜の名所で一目3000本の桜の木が植えられている。私も見てみたいと思った。そこにクロアゲハが目の前を優雅に横切っていった。
<ポイント7>
赤とんぼの歌碑までいかずに、その手前で、また谷川沿い山道に入る。気持ちの良いハイキングコースになっている。何か珍しい虫はいないかときょろきょろしながら進んでいたらそのとき、右から「ブール」という音が…見上げるとなんとスズメバチ! 猛毒を持つスズメバチにさされてしまっては大変と静かに見上げてると何事もなかったように飛んでいってしまった。
<ポイント8>
さらに山道は続く。あいかわらず、セミの声は大きい。今までは木の高いところから聞こえてきたクマゼミの声が、近くの木の比較的低いところから聞こえた。これはみつけられるかもしれないと目を凝らす。透明の羽を持ち、ずんぐりして蝉の王様のような風格を持つクマゼミが。
やっとアブラゼミ以外の蝉をこの目でゲット。うれしかった。
<ポイント9>
山道を通り抜けるとそこには小さな動物園。さるや鹿がいた。動物園から赤とんぼの歌碑を通り過ぎてさらに進むと、小さな池についた。そこにはかわいい緑色のかえるを発見。アマガエルだ。葉っぱの上にかくれるように座っていた。私がこわかったのかな…と思った。
<ポイント10>
さらに坂を下り、小さな川に沿った道へ右折し進んでいくと、梅玉旅館がある。この旅館の庭には、世界の中でたつの市にしか生息しない「片しぼ竹」がある。この片しぼ竹は天然記念物に指定されている。看板の説明には、「この竹はマダケの一種で、節間は芽の上側のいの半面が平坦だが、反対側は交互に皺が出来る。カタシボとは片しぼ竹(片皺竹)の意味である。単子葉植物類中他に類を見ない珍現象で非常に珍しいもの」と書かれてある。
私はたつの市に珍しい天然記念物に指定されている竹があることを初めて知り驚いた。片しぼ竹はずっとなくならないよう次の世代の私たちで守っていかないといけないと思った。
<ポイント11>
梅玉旅館から揖保川に出る。揖保川は、たつの市を流れる一級河川の大きな川である。たつの市の主産業である醤油やそうめんはこの揖保川の豊かな水の恵みである。そして、この豊かな川には、鮎がたくさんいる。ちょうどこの時期は、たくさんの釣り人が水に入って友釣り(鮎で鮎を釣ること)を楽しんでいる。私は鮎釣りをしたことはないが鮎の塩焼きは大好き。こんど自分で釣って食べたいと思った。
<ポイント12>
この川の河川敷は非常によく整備されており、運動場や公園もある。この河川敷の遊歩道を歩いていると白い大きな鳥を発見。白鷺です。見わたすと一匹だけでなく2匹、3匹と見た。
白鷺は白いサギの総称らしいですが、その姿は実に美しかった。たつの市の隣の姫路市にある今改築中の姫路城が白鷺城と呼ばれていることに、あらためてふさわしい通称だと実感した。
私は白鷺を見ていい気持ちになったので、色々な人がこれからも自然の白鷺を見れるようずっと生きつづけてほしいです。