応募期間

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受賞作品一覧
佳作
第29回 中学生の部

半分は寄り道

久永草太

宮崎県
宮崎県立宮崎西高等学校付属中学校
中学校2年生

全体説明

宮崎県宮崎市平和ヶ丘。僕は三才のときからここに住んでいる。

 とてもお年寄りの多い地域なのだそうだが、あいさつをすれば返ってくる、夏祭りも盛り上がる、とてもふんいきの良い、活き活きとした町だ。

 僕が自然観察に興味を持ったのは、小学四年の時に祖父母の影響で始めたバードウォッチングが最初だ。しかし、遊びを通しての自然とのふれあいは、覚えていない程幼いころから続いている。木登りや虫獲りがその代表だ。

 僕の地域に、世界に誇れるような珍しい生物がいるかというと、決してそうではない。しかし自然と心からふれあえることは、世界にだって誇れると思う。

 「思い出」としてまとめてしまうのがもったいない、これからもふれあっていきたい地域の自然に恩返しをするつもりで、「寄り道」しながら、良さをお伝えしたい。

観察ポイントごとの説明

「電気虫」を御存じだろうか。イラガという毛虫のことである。この虫に刺されると、文字通り電気ショックのような尋常ではない痛みにおそわれる。僕も依然木登り忠に刺されたことがある。一緒に遊んでいた友達も刺されてしまい、二人で長時間うなることになった。僕は一週間、はれがひかなかった。

 イラガに刺されたときの対処法は、まずガムテープで肌の針を除き、市販の薬をぬる。覚えておくとよいだろう。

 

2. 大学の先生の特別授業で、ミヤコグサという植物の研究についての話があった。ゲノムサイズの小ささや育てやすさから、マメ科のモデル生物として遺伝学の分野で研究されているとのことだ。簡単に言えば、マメ科の代表として研究されているのが、このミヤコグサ、という訳である。

 春も終わりのころ、中央公園(元々は池)の北斜面の三畳程の広さに、黄色い花のミヤコグサを見つけた。未来を感じさせる花だ。

 

3. 僕がぜひ観察をおすすめしたいのは、この「ツバメの子育て」だ。これほど発見と感動に満ちあふれ、なおかつ手軽に観察できる生き物は、そうたくさんはいないだろう。

 小学五年生のとき、僕もこれを観察したことがある。日々体羽が色濃くなるひなの成長を見るのはとても楽しいし、ひなならではの行動も多々あり、とても興味深かった。

 観察した分だけ成果を与えてくれる。この鳥が僕は大好きだ。

 

4. 秋になって、ギチギチギチ……キョン、と鋭く聞こえるのは、モズの高鳴きだろう。メスを獲得するため、必死になわばりを守っているとき、モズはこの鳴き方をする。

 田んぼの方にはモズのなわばりが多い。その中でもこのなわばりは、止まり木、背の高いやぶ、畑の虫、うらやましい程立地が良い。

 ちなみにこのなわばりの主のモズは他個体よりアイマスクの部分が細いので分かりやすい。

 

5. 僕の母校、池内小の南校舎二階、理科室のベランダに一センチメートル程の、犬のふんを小さくしたような物が大量に落ちている。これがアブラコウモリのふんだ。

 最も身近な野生のホ乳類は、僕はこのアブラコウモリだと思っている。夕暮れ時の空を見上げれば、鳥とチョウの間の子のようなそれが、たいてい見つけられる。

 ちなみに池内小は、ツバメの巣、ヤモリ等々、観察しやすい生き物がいっぱいいる。

 

6. 平和ヶ丘には、自然のおやつがたくさんある。小学校の坂の脇の、植木に絡みついているアケビ(ミツバアケビ)もその一つだ。

 毎年秋、運動会から一週間程過ぎたころが収穫どき。友達と協力して収穫するが、特に実が開いていなくても赤い実なら大丈夫。中に入っている半透明のイモムシのようなやつをほおばると、口じゅうに甘さが広がる。

 この他、サクラの実、ヤマモモ、スイバ、グミ、ビワ、季節の恵みはどれもおいしい。

 

7. 平和ヶ丘は、オニヤンマがとても多くいる。水辺に限らず、中央公園にも、小学校にも、住宅地にも、たびたび出没する。

 オニヤンマだけではない。矢口池の周辺なら、タイワンウチワヤンマ、ベニトンボ、ショウジョウトンボ、ギンヤンマ等々、数えたらきりがない。

 昆虫に興味はあるのだが、まだそこまでくわしくはない。とても面白そうなので、ぜひくわしく勉強したい。

 

8. 僕が小学校四年生から、野鳥観察の中心にしているのが、この矢口池だ。三年間の観察で、五十二種類の野鳥を記録することができた。これだけの数の生き物がいると、自然とそのつながり、つまり生態系も見えてくる。

 冬鳥のオオタカ、ハヤブサを頂点として、カモやヒヨドリ等、さらに植物が続くのが、大まかな矢口池の生態系だ。

 もちろん、本当はもっと複雑なので、より確しく調べるのが僕の目標だ。

 

9. 僕が、今までで一番熱心に観察した生き物を挙げるとしたら、間違いなくこのミサゴだろう。

 完全魚食のこのタカは、すさまじい勢いで水に飛び込み、ブラックバス等の魚を狩る。その際、ホバリング(停空飛翔)もしくは止まり木から狙いを定める。その止まり木が◎で指した場所だ。

 こんなにかっこいいタカが身近にいるのに、皆気付かないのが不思議でたまらない。

 

10. 矢口池で野鳥を観察していると、何やら水面がピチャピチャといっている。何かと思い上を見上げると、ハシブトガラスが大群で飛んで来た。水面に落ちたのは彼らのふんだ。

 池内小の校底の木は、カラス達がねぐらへ帰る際の中継所のような場所になっているようで、それ以後も何度か彼らがさわぎながら群れているのを見かける。

 夕日にカラスとは、何とも風情が良いが、数百羽の大群となると、少し怖い。

 

11. この近辺は、林と隣り合っており、また家々の底も充実しているので、シジュウカラ、ヤマガラ等のカラ類が多い。

 とは言っても、姿を見ることはほとんどなく、美しい鳴き声だけの鑑賞となる場合が多い。仮に見つけても、住宅地の真ん中なので、カメラも双眼鏡も向けられない。

 シジュウカラの特徴といえば、やはり黒ネクタイ模様だろう。メスよりもオスの方が太いそうだ。注意してみると面白そうだ。

 

12. この地図にかくのはずるいかもしれないが、僕はまだフクロウを見れていない。

 初夏の真夜中に、ホウホウ……ゴロスケホウホウ、と鳴く声が聞こえるから、いることはたしかである。また、次々に聞こえる方向が変わるので、散歩しているのは僕ではなくむしろフクロウの方のようだ。

 声だけで姿はがまん、というのは、フクロウもだいぶ意地悪である。いつか、きっと見れる日が来ることを僕は願っている。

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