応募期間

今年の募集は2025年6月1日 (日)から開始します。

受賞作品一覧
入選
第42回 中学生の部

板橋区の住宅街観察路

疋田詩織

東京都
東京都立大泉高等学校附属中学校
中学校1年生

全体説明

私は兵庫県の田舎で幼少期を過ごしました。そこは山あいの田畑が多い自然豊かな場所で、毎日祖父や兄と山へ遊びに行っていました。
現在は東京都板橋区に住んでいます。自然観察路を作成するにあたり、兵庫に帰省すれば出来るだろうけど、東京の住宅街で自然観察なんて出来るのか?と不安でした。しかし実際に意識しながら歩いてみると多くの動植物と出会えました。近くにある金井町公園と熊野町公園は「かな公」「くま公」と呼んで親しんでいます。公園をつなぐ生活道路も小学生の時に友達とよく通った道だし、公園にも慣れ親しんでいたはずなのに、こんなに自然と触れ合えるとは気づいていませんでした。
都会の自然は人が植えて管理しているのが当たり前です。純粋な自然とは言えませんが、そこには植物が息づき昆虫や鳥たちが集まっていて確かな生態系があったのです。今回は私自身も気づいていなかった都会の中の自然観察路をご紹介したいと思います。

 

観察ポイントごとの説明

<1サルスベリ(百日紅)>

たくさんのピンク色のきれいな花が、庭から道の頭上に垂れ下がっていました。幹がなめらかでサルも滑ってしまうということから、サルスベリという名前がついています。スベルという名前から庭先に植えるには縁起が悪いといわれているようですが、私の周囲ではよく見かけましたし、私自身もきれいだと思いました。夏の暑い中、道に日影を作り、涼しげな花を咲かせてくれるサルスベリはとても存在感があります。

<2ヤツデ(八手)>

天狗が持っているうちわのような大きな葉っぱを見つけました。ヤツデは日陰でも育つ常緑低木だそうです。私が見つけたのも木陰にあり、深い緑色の葉も涼しげに見え、心地よさを感じることが出来ました。葉が掌のように分かれているのが特徴です。八手という名前ですが実施は7~9つに分かれるようで、私が見つけた葉も9つに分かれていました。11月から12月にかけて白い花を咲かせるそうです。楽しみに冬を待とうと思います。

<3アガパンサス(紫君子蘭 実>

花火のような面白い形の実を見つけました。背が高く、小さいさやえんどうがたくさんぶらさがっているようでした。風が吹いて揺れると、音が鳴りそうな感じがして風鈴を思い出しました。私が見た物は緑色でしたが、その後茶色に変化して黒い種子が出てくるようです。この種をまいても開花まで3~4年かかるそうで、「花を見逃したな」と残念に思いましたが、このあと熊野町公園で咲いている花を見つけることができました。

<4アメリカフヨウ(アメリカ芙蓉)>

かな公に白とピンクの大きな花が咲いていました。花言葉は「日ごとの美しさ」「新しい愛」で朝咲き夕方にしぼんでしまう一日花だそうです。儚く感じますが、私が見た花は堂々と誇らしげに咲いており、今日を一生懸命生きていることが伝わってきてすごいなと思いました。そばにはピンク色の生き生きしたつぼみが「明日咲くぞ!」と意気込んでいるように見え、応援したい気持ちになりました。暑いけど私も頑張っていこうと思います。

<5ナミアゲハ(並揚羽)>

きれいな模様の蝶が花の蜜を吸っていました。ナミアゲハは日本で一番よく見られるアゲハ蝶の一種です。羽の動きが早くて模様を観察するのが大変でしたが、たくさん羽ばたいて飛んでいる様子はひらひらと優雅でした。どこかへ行ってしまったと思ったら戻ってきて、また行ってしまってという様子は気まぐれだなと思いましたが、猛暑の日差しの中に留まり続けるのを避け、軒下や木陰で涼みながら工夫して生きているのかもしれません。

<6アンズ(杏)>

春には満開の花を咲かせ、かな公ではあんず祭りも開かれます。私は、小学校の卒業式の日に袴を着て杏の木の下で写真を撮りました。白くきれいな花が卒業と旅立を応援してくれているような気がして嬉しかったです。夏の今は緑の葉がしげり、木陰を作って涼しさを与えてくれます。杏は花も食べることができ、便秘改善や食欲増進などの効果があるそうですが、公園の花を勝手に食べていいかわかりません。一度食べてみたいです。

<7ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡>

調べてみると根茎葉全てに毒があり、実を誤食すると最悪の場合、死に至ることもあるそうです。こんな身近に毒性植物があるとは思ってもみませんでした。「これ美味しそうな実だね」と母と話しながらかなり近づいて見たので、その毒性と触れただけで皮膚がただれる可能性があることを知ったときは驚きました。植物が毒をもつのは生き残るための知恵です。こんな都会でも、生存競争に勝ための進化や工夫を感じることが出来ました。

<8ランタナ(七変化・紅黄花)>

道脇に葉がわさわさと茂り、私の観察路で最も野性味を感じました。ピンクと白の小さな花が集まってたくさん咲いています。私が見たのは二色でしたが、時間がたつと色が変わっていくそうで「心変わり」「厳格」「協力」と様々な意味の花言葉があります。特に私が好きなのは「協力」です。小さな花が集まって、互いに寄り添い助け合っているようでした。また、蝶やトンボ、ミツバチも集まっており、生物の助け合いの輪を感じました。

<9ミツバチ>

ランタナの花で、ミツバチが忙しそうに花を行き来して蜜を集めていました。1匹のミツバチが一生で集める密の量はティースプーン1杯分で、そのために数万もの花を訪れる必要があるそうです。都会では田舎より花を見つけにくいだろうけど、環境に負けず一生懸命生きている姿を応援したくなりました。でも最近はビルの屋上で養蜂に取り組む活動があるそうです。このミツバチも都心のビル街から来た都会っ子なのかもしれません。

<10ホリホック(立葵)>

背丈が高くまっすぐに生えている茎にピンク色の花が咲いています。その姿からタチアオイ(立葵)の和名があるそうで、背筋を伸ばして凛と咲いている様子にぴったりだと思いました。梅雨入り頃、下から順に開花して穂のように咲き、梅雨明けにしぼむようです。たくさん花がついている満開の時期は既に終わり、私が見たのは一番上に2つ花が咲いているだけでした。あっという間に梅雨が終わった今年は、綺麗に咲けたのでしょうか。

<11コリウス(金襴紫蘇・錦紫蘇>

くま公の入り口に、縁が緑色で、内側が白・ピンク・赤紫と色違いの3種類のカラフルな植物がありました。葉のギザギザした模様は、光合成を効率的に行うためと、種子を運んでくれる昆虫を集める役割があるようです。鮮やかな葉を鑑賞する草花で、花は摘んでしまうそうです。こうした公園の草花は手入れをしてくださっている方がいるはずで、今まで意識したことが無かったので、お会い出来たら御礼を伝えようと思いました。

<12ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)>

コリウスにとまって交尾をしている二匹の蝶がいました。片方の蝶が逆さになって、お尻のあたりを重ね合っていました。途中で小さな蝶が邪魔をしに来ても、私が近づいても、逆さになっている蝶の方が瞬きをしただけで、二匹とも全く動じませんでした。子孫を残す一番大事な時を邪魔しないでくれと言われているようです。普段なら気づかずに通り過ぎていただろうけど、生命の営みを見つけることが出来て嬉しく思いました。

<13アガパンサス(紫君子蘭) 花>

実際に咲いている紫色のアガパンサスの花を見ることが出来ました。小さな花が集まった大きな花で、色は青紫、白、紫、ピンクなど様々な色があるそうです。ただ、少しくたびれたような様子でした。公園はボール遊び禁止ですが、内緒で使ってボールが飛び込んでいくこともあるし花壇に入って踏み荒らす子も見かけます。子供にとってボール遊び禁止は窮屈で残念ですが、花にとっても都会の公園は過酷で大変な環境なのかもしれません。

<14ヤマノイモ(山芋)>

くま公の近くのお家で緑のカーテンとして育てられていました。ムカゴと呼ばれる小さな実がたくさんついていて、葉はハートの形をしていました。母は子どもの頃、兵庫の田舎の山でムカゴを集めてバター焼きにして食べていたそうで、ジャガイモに似た土臭いような自然の味がするそうです。懐かしそうに「山の中で見つけるのは大変なんだよ」と話してくれました。母の田舎と同じ植物を東京で見つけることが出来て嬉しかったです。

<15スズメ>

飛び立ったスズメが電柱に止まったと思ったらすぐに見失ってしまいました。母に「変圧器の中に巣があると思うよ」と言われ驚きました。6月頃、盛んに鳴き声が聞こえていて母は変圧器の下から出入りするスズメを見かけていたそうです。住宅街の電柱でヒナを産み育てているなんて驚きましたし凄いと思いました。開いて見れないので想像するしかありませんが、都会の環境でも居場所を見つけ子育てする姿に尊敬の気持ちがわきます。

 

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