のぼりべつの自然
成澤結紀乃
北海道
北海道登別明日中等教育学校
中学校2年生
全体説明
観察予定地は熊が出没したので、安全策をとって住宅が多い場所に変更して観察をしました。山と海に囲まれ、春夏秋冬を楽しむことが出来る大自然な街です。大きい胆振幌別川と小さい來馬川が合流しているところ、そして川と海が交ざり合う河口を観察路の地図に入れたかったので、このルートにしました。
北海道のシンボルであるハマナスを入れて、ゴールは動植物がたくさんいる川沿いの白鳥テラスです。この自然観察を通して北海道にしか生息していない動植物のことを知り、新しい街の見方が出来るようになりました。
ここ登別は、江戸末期から始まった温泉が有名な場所です。ぶくぶくと煮えたぎって視界を遮るほどの湯煙が立ち上がる地獄谷の様子が、まるで鬼が住む地獄のような景色であるといわれ、登別のシンボルが鬼になりました。その鬼が、街を見渡しているように、私独自の鬼を書いてみました。これが私の自然観察路です。
観察ポイントごとの説明
<1 ハマナス>
北海道のシンボルの花です。海岸沿いに自生していますが、ほとんどがピンク色の花で、まれに白い花のものがあります。花が咲き終わる頃に実を付けますが、赤く熟した実は甘酸っぱくて美味しいそうです。私が食べた赤い実は熟していなかったのか、味がしなくて美味しいものではありませんでした。再度チャレンジしたいです。花は甘い香りがして、葉や茎には無数の毛が生えており、枝にはトゲがあるので慎重に触らないと刺さります。
<2 ドクダミ>
白い花びらのような部分は、総ほうといい花を守っています。真ん中にある塔のように立っているものに、小さい花が密集しています。独特の香りが強いので虫除けにしたり、殺菌効果を持っていたり、傷口の止血や再生にも効果があります。干したり加熱したりすると、匂わなくなりますが、効果が薄れてしまうので、生のまま使用する方が良いです。何とも言い表せない匂いに、耐えられる方でなければ使用できません。
<3 ヤマボウシ>
ドクダミと同じく、花びらに見える部分は総ほうと呼ばれ、葉が変化したものです。総ほうの中央にある黄緑色の球体が、多数の花の集まりになります。白いヤマボウシとピンク色のベニバナヤマボウシの2種類があります。緑のベレー帽にお花が装飾されているかのようで、とてもおしゃれな木に見えました。今回、教えてもらって初めて見てきたのですが、温泉の街路樹でベニバナヤマボウシが並んでいて、新しい発見がありました。
<4 ラベンダー>
私が大好きなお花です。いつも香りを楽しみたいので、小さい瓶に花や茎を入れて消毒液を作り、持ち歩いています。とってもリラックス出来る良い香りです。品種を見分けるには花穂の長さや色を見ます。花穂が長く紫色の発色が濃い品種は、私の名字と同じ名前のラベンダー「ナナ・ナリサワ」といいます。初めて見つけたときは本当に感激しました。今回の観察路には違う品種でしたが、植物観察を続けて近場にも見つけたいです。
<5 ナナカマド>
今回の観察で、新緑から房状の白い小さな花が咲き、たくさんの緑の実を付けて、そこから実や葉も赤くなるという、四季の流れを見ることができました。これから寒くなり、葉は落ちるけれど、実だけは木に残り、実に雪が積もる姿を見られるのも楽しみです。鮮やかな赤い実を小鳥がよく食べていますが、実は渋く苦みも強く、微量の毒性「シアン化合物」が含まれています。もし、食べる機会があった時は、大量摂取が出来ません。
<6 サクラ>
北海道は気温が低いため、桜の花の色が濃くなり本州より色鮮やかに咲きます。アントシアニンと呼ばれる色素成分によってピンク色に発色されます。開花は、4月下旬から5月中旬です。品種は、北海道でしか見ることが出来ないエゾヤマザクラで、薄紅色の大きな花を付けます。八重桜の開花は、5月中旬から下旬です。開花から散るまでの期間が長いことも特徴で、長らくお花見を楽しむことが出来ます。
<7 オオウバユリ>
6~7年の年月をかけて徐々に葉を増やしていき、花茎がぐんぐんと伸びて下のつぼみから花を咲かせます。全長1メートルを超える大きさになり、開花するのは一生に一度きり、そして5日間ほどで花が散ってしまいます。緑色の果実ができて茶色に変化すると、中に入っていた種子が強風を待って一斉に飛び立ち一生を終えます。元の鱗茎から、新しい芽が生えて成長したものは、種子からの成長よりも早く、3年ほどで花を咲かせます。
<8 鮭>
秋から産卵するために、川の上流に向かって泳ぐ鮭の遡上が見られます。川に産んだ卵は孵化して鮭の稚魚となり、春頃に大海へ出ます。海で栄養補給しながら3~4年かけて成長して、また生まれた川に産卵のため戻ってきます。この海に繋がる河口は、産卵時期になると鮭の大群で埋め尽くされます。産卵を終えると脂が抜けて白っぽくなり、ここで一生を終えます。これは、キツネや熊などの哺乳類、鳥類などの餌になります。
<9 シカ>
春頃、若いオス鹿が探索行動をとるようになります。雪が解けて少しずつ植物が生えてきた頃、チューリップのつぼみを全て食べられる被害が毎年多数出ています。夏場は、鹿の群れが家庭菜園に現れて農作物を食べてしまいます。何処も侵入対策をとっていますが、北海道の鹿はとても大きく、跳躍力が優れているので2メートルを超える柵でも跳び越えてしまうのです。他にも、車や電車との接触事故が多発しています。深刻な問題です。
<10 キツネ>
道端で、歩いているところをたまに見かけます。だいたいは、単独行動です。ある時、横断歩道で信号待ちをしていると、同じ交差点でキツネが仁王立ちして信号待ちをしていました。もちろん、信号はわからないと思いますが、車が通りすぎるまで立って待っているという面白い場面に出くわしました。癒されましたが、可愛くても寄生虫のエキノコックスがあるので、近づくことはできません。時期によっては、やせ細っています。
<11 シマエナガ>
人気急上昇中の「雪の妖精」シマエナガです。つぶらな瞳で、ふわふわで真っ白な羽毛に包まれた小さな体です。しかし、体長は13.5センチしかなく、その半分はしっぽの長さという小ささなので、なかなか肉眼で見ることは難しいです。重さも約7グラムしかなく、スズメの1/3の大きさです。以前、シマエナガをみつけたと思ったのですが、残念ながら同じ白い鳥のハクセキレイでした。北海道に住んでいますが、なかなか小さくて素早いシマエナガに出会うことが出来ません。冬場は、木の幹から出てきた樹液が凍ったものをなめて、糖分補給をしています。寒ければ寒いほど体温を維持しようとするため、羽毛がたくさん生え、羽と羽の間に空気を含ませて広げ、寒さをしのんでいます。よりモフモフになって、ぬいぐるみのようで、とっても可愛いです。夏場は、冬とは真逆でとてもほっそりしています。一見、シマエナガに見えないかもしれません。
<12 白鳥>
春にシベリアなど寒い場所へ渡り、秋に温暖な冬の日本に戻ってきて越冬します。毎年、白鳥が飛来してきたら白鳥テラスに行っています。直ぐ近くで見ることが出来て、餌も与えられます。夏の暑い日、白鳥テラスを見に行くと数羽のカモと1羽の白鳥が元気に川を泳いでいました。毎年、白鳥は夏にはいません。再度見に行くも、やはり白鳥が1羽いました。寒い地域へは渡らず、今年の記録的な猛暑に耐えて、この地で過ごしたようです。