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受賞作品一覧
環境大臣賞
第39回 中学生の部

夏の霞ヶ城公園観察路-2022-

平澤明日菜

福島県
福島大学附属中学校
中学校2年生

全体説明

夏の霞ヶ城公園、昨年もこの場所で自然観察をしながら散策をしました。しかし、夏休みも半ばを過ぎた8月上旬は、枯れた花や暑さで萎れてしまった植物ばかりで、花が咲いている姿を想像しながらの絵地図作成になってしまいました。今年はこの反省をもとに、夏休みに入ってすぐに霞ヶ城公園に向かいました。時期が2週間早いだけで、昨年とは違う景色を楽しむことができました。

霞ヶ城公園は、通称「お城山」として親しまれ、二本松市のシンボルであり、市民の憩いの場になっています。城跡内は県立自然公園になっており、さまざまな植物に触れることのできる自然観察のスポットです。

私は、小学四年生の時に在来種のシロバナタンポポを探しに霞ヶ城公園を訪れて以来、気がつけば毎年足を運んでいます。今年は、昨年まで見られなかった花や、気にもとめなかった昆虫たちを見つけることができ、とても充実した楽しい自然観察となりました。

観察ポイントごとの説明

1)霞池の睡蓮

公園の西側には2つの池があり、南の霞池には睡蓮が咲いていました。昨年は公園全体に咲いている花が少なく、睡蓮も池にポツポツと浮かぶ程度でしたが、今年は池を埋め尽くすほどの花と葉に圧倒されました。池の西寄りに白、東寄りにピンクの花が咲き、全体が華やかでした。花が朝に開いて夕方に閉じることから睡蓮と名前がついたと知り、夜に眠る姿も見てみたいと思いました。

 

2)霞池の鯉

睡蓮の花と葉の隙間から、鯉が泳いでいるのが見えました。どこの池にでもいる鯉ですが、模様や色の組み合わせが面白く、飽きずに見ていられました。水面を睡蓮が覆っている状態では、水中の茎や根が邪魔ではないのか。日陰になることで水温は低くなるのかなど考えながら眺めました。霞池の北側にあるるり池には睡蓮は咲いていないので、水温や水質の比較などもしてみたいと思いました。

 

3)洗心亭のヤマユリ

公園内の西側にある洗心亭は、城内の茶室が移築されたもので、庭園内施設のひとつです。その建物の東側斜面にひときわ大きく華やかなヤマユリが咲いていました。人の顔ほどの大きさのユリが一本の茎からいくつも咲いている迫力に驚きました。白い大きな花びらに深紅の斑点が鮮やかで、晴天の青空に映えてとても美しかったです。

 

4)傘松近くのギボウシ

昨年の観察でお気に入りだったギボウシを今年も見つけました。傘松とるり池の西側斜面の日当たりの良い湿地に咲いていました。一本の茎にたくさんのつぼみがついていて、下から可憐でかわいらしい花が咲いていきます。霞ヶ城のギボウシの花は淡いムラサキに濃い筋が入っていて、その色合いも好きです。昨年よりも色が濃く、元気にたくさん咲いているように感じました。

 

5)洗心滝とオオウバユリ

公園内にはいくつかの滝があります。その中の一つが洗心滝です。坂道を上がって疲れてきた頃、木陰にあるこの滝が見えました。まわりを見ると、オオウバユリが数本咲いていました。昨年、公園の東側の側道で、枯れてしまった状態しか見れなかったオオウバユリにこんなところで出会えるとは思いませんでした。オオウバユリの群生を見るという昨年からの夢に期待が膨らみました。

 

6)圧巻のアジサイ小路

本丸の南側に間伐材で作られたウッドチップの歩道があります。その左側にアジサイが並んで咲いていました。昨年は時期を過ぎてしまい、花は剪定されていましたが、今年は咲いた状態を見ることができました。ほとんどが青色の花で、歩きながら涼しさを感じました。インターネットで画像検索をしたときには紫や赤紫の花もあったので、土の状態が酸性になった理由などが気になりました。

 

7)美しい二ホントカゲ(幼体)

舗装された道や階段などでニホントカゲを見つけました。母が「カナチョロだ」と言ったので調べると、カナヘビを地元ではカナチョロと呼んでいることを知りました。しかし、特徴や画像からカナヘビではなくニホントカゲでした。体長は二十cmくらいで体の中央辺りから尻尾にかけてとても光沢のある美しい青色でした。成体になると全体が茶色になるので、幼体が見られて良かったです。

 

8)数種類の蝶たち

公園内のあちこちで見かけたのがさまざまな蝶です。捕まえることはできず、姿が確認できたのはスジグロシロチョウとコミスジでした。蝶についてはモンシロチョウやアゲハチョウなどメジャーなものしか知りませんでした。インターネットや図鑑で調べると、似たような蝶でも様々な種類があることが分かりました。見つけた蝶が何なのか正解を見つけるまでがとても楽しかったです。

 

9)かわいいハナバチ

ギボウシの周辺や他の花の周りで見かけたのがハナバチです。ハチは怖いものと警戒しましたが、人間には目もくれず、花の中に入り込む姿に見入ってしまいました。捕まえるのは怖すぎるので、写真に撮りました。大きさは二cmくらいで胴体のところにもふもふとした毛がありとてもかわいい印象でした。調べるとハナバチは花の受粉を行うための益虫であることが分かり勉強になりました。

 

10)念願だったオオウバユリの群生

散策の最後に着いたのが公園の外、市道沿いの東側斜面にあるオオウバユリの群生地です。昨年はすでに花は無く、果実が膨らんだ状態しか見ることができませんでした。調べたときに、オオウバユリは一生に一度しか開花結実しない植物で、実をつけたら一生を終えること、種子から開花まで七年以上かかることなどを知りました。長い年月をかけて咲いた花を今年こそは見たいと楽しみにしていました。群生地には昨年とは違った光景が広がっていました。茎の高さは八十cm〜百二十cm、ラッパ状の緑がかったクリーム色の花を四〜八個ほどつけていました。まだつぼみが多く、一つの茎で一、二個の花が咲いている状態でした。満開ではありませんでしたが、数十本のオオウバユリはとても壮観で、一年越しの夢が叶い感動しました。そして来年こそタイミングを合わせ、満開のオオウバユリを観に霞ヶ城を訪れたいと思います。

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