県営馬見丘陵公園(中央エリア)わくわくドキドキがいっぱいの夏の公園
稲垣百花
奈良県
智辯学園奈良カレッジ中学部
中学校1年生
全体説明
私の家の近くにある県営馬見丘陵公園は、春は桜やチューリップ、夏はひまわりやコキア、秋はダリアやコスモス、冬はサザンカやロウバイなど、一年中花を楽しめる広い公園です。特に春は花の種類も多く、花を楽しむだけでなく、早朝からバードウォッチングをしたり、広々とした芝生でピクニックをしたり、遊具で遊んだり、一日中過ごせるところです。また、公園内には古墳もたくさんあり、歴史も感じることができます。
今回は馬見丘陵公園の中でも、もともとの自然が多く残っている中央エリアの上池・下池周囲を家族で散策しました。暑い夏は花や鳥は少ないですが、昆虫はとても多いので、昆虫好きにはたまらないと思います。昼だけでなく、夜に懐中電灯を持って探検したら、昼とはまた違う虫たちを見つけることができます。緑豊かで、わくわくドキドキがいっぱいの夏の馬見丘陵公園をご紹介します。
観察ポイントごとの説明
1)ヒマワリ
今回は春まちの丘のヒマワリ畑から出発します。夏の馬見丘陵公園にはたくさんの種類のヒマワリが植えられています。春まちの丘にはサンフィニティひまわりが植えられていました。背丈が低めで、花も小ぶりのかわいらしいヒマワリです。ヒマワリの花は皆同じ方向を向くので、たくさんの人が集まって同じ方向を向いている様に似ているなあと思います。
2)コキア
カリヨンの丘にはコキアが植えられています。モフモフしていて、つい触りたくなります。夏の間には緑色のモフモフですが、九月になると紅葉し始めて、十月頃には全体が紅く染まります。紅葉するとモフモフというよりはごわごわした感じになるので、モフモフ好きには夏のコキアをおすすめします。
3)シオカラトンボ
一本松古墳は緑の丘のような感じで広々していて、家族でおにごっこをたのしんだりした場所です。シオカラトンボやギンヤンマものびのびと飛び回っていました。シオカラトンボの成熟したオスは青白っぽくてきれいですが、メスや未熟なオスは黄色っぽくて、その体の色からムギワラトンボとも呼ばれています。
4)ヤブガラシ
下池の周りのフェンスには葛とヤブガラシがたくさん絡まっていました。ヤブガラシの名前はやぶを覆って枯らしてしまうほどの繁殖力を示しているそうです。オレンジ色の花に見えるものは花ではなくて、薄緑色の花が散った後の花托だと知りました。小さいけれど、蜜が豊富なので、虫が集まります。
5)カブトムシ
夜の公園を探検した時に、ハナモモの丘の奥、乙女山古墳の近くのクヌギの木のところでカブトムシを見つけました。カブトムシを見つけられるとかなり嬉しいものです。昼間も探してみましたが、カブトムシは夜行性だからか、見つかりませんでした。カブトムシと言えば立派な角が思い浮かびますが、メスには角がありません。
6)オオスズメバチ
日中に樹液の出ているクヌギやコナラを探すと、かなりの割合でスズメバチに出会うので、注意が必要です。今回はオオスズメバチに出会いました。夜になると、スズメバチは余り活動していませんが、カブトムシやクワガタを探す時は、スズメバチを刺激しないように気をつけましょう。
7)ミシシッピアカミミガメ
下池でよく甲羅干ししているミシシッピアカミミガメを見かけます。ミシシッピアカミミガメは、アメリカ南部原産の外来種です。幼体が「ミドリガメ」の通称でペットとして輸入されました。しかし、飼えなくなったミドリガメが野外に放たれることなどにより、今は北海道から沖縄まで全都道府県に分布し、在来水生植物の食害、在来種ニホンイシガメへの影響が報告されています。私は一本松古墳の近くでミシシッピアカミミガメが産卵しているのを見たことがあります。人間に産卵を見られていても動じることなく、堂々と産卵していてたくましさを感じると同時に、ミシシッピアカミミガメによる生態系への影響力の強さを感じた気がします。人間の身勝手さで放たれた外来種が生態系を乱しています。豊かな日本の自然を守るためにも、生き物の飼育は愛情と責任を持って行わなくてはならないと思います。
8)コクワガタ
夜の公園探検の時に、どんぐり広場でコクワガタも見つけました。クワガタムシもカブトムシと並んで、子どもたちのアイドルです。メスのクワガタはアゴが発達していないので、一瞬ゴキブリに見えます。しかも、樹液が出ているところには夜はカミキリムシやゴキブリ、ムカデも集まってくるので、ちょっと気持ち悪いなあと思ったりもします。
9)サルスベリ
サルでも滑ってしまうようなつるつるした白っぽい幹と、フリルのようなかわいらしい花弁が特徴です。別名は百日紅といい、初夏から秋まで長い期間花を楽しめます。
10)ミヤギノハギ
上池近くの水分広場に咲いていました。ハギは秋の七草の一つですが、もう咲き始めていました。赤紫色の細かな花が風に揺れるととてもさわやかで、夏の暑さを忘れそうです。
11)ギボウシ
トチノキ橋の近くの木陰にひっそりとギボウシが咲いていました。ギボウシの花の季節は六月から七月なので、八月に見つけた時はもうピークを過ぎていたと思われます。ギボウシの新芽はウルイと呼ばれ、食用になるそうです。
12)アケビ
トチノキ橋を過ぎて、林を抜けるところに、アケビを見つけました。まだ緑色でしたが、秋になると淡い紫色に熟します。熟したアケビは縦に割れて白っぽい果肉が見えるようになります。果肉は甘いので、鳥や動物が食べて、タネが広がっていきます。
13)クルマバッタ
水鳥と花の広場近くにはバッタがたくさんいました。捕まえたのはクルマバッタでした。飛んでいる時の後ろばねの模様が、車輪が回っているように見えるので、クルマバッタという名前になったそうです。緑色の個体は周りに仲間が少なく、茶色の個体は仲間が多い時の色合いと言われています。捕まえたのが茶色だったのは、そのあたりにたくさん仲間がいたからかもしれません。確かに、バッタ取り放題でした。