応募期間

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受賞作品一覧
入選
第39回 中学生の部

100年後に残したい日本の原風景

大牧蓮

兵庫県
淳心学院中学校
中学校1年生

全体説明

僕の知る中で自然という言葉からすぐに思いつくのは、京都府の美山町です。ここには祖父母が住んでおり、幼少から遊びに行って楽しかった記憶があるからです。美山には都会では見ることの出来ない、四季折々の豊かな自然と暮らしが残っています。美山は全体の面積の96%が森林に覆われています。また、日本海まで流れ出る由良川の源流があり、ここにはアユなどの川魚が多く生息しています。

美山町は2021年にマドリードで開催された第24回国連世界観光機関の総会において、ベスト・ツーリズム・ビレッジにも選定されました。

過疎化による人口減少はこの地域においても大きな課題です。そんな中でもここでは自然と暮らしを後世に残すための取り組みが盛んであり、百年後に残したい日本の原風景です。

そんな美山町の夏で僕が発見した自然と暮らしの一部を紹介したいと思います。

 

観察ポイントごとの説明

1)アユについて

アユは秋に河口近くで孵化し、仔魚は河口からあまり遠くない範囲の海に出てプランクトンや小さなエビなどを食べて育ち、春になると5~10㎝ほどの稚魚となり川を登り成魚になります。しかし美山川の下流にダムがあるため、毎年春頃に稚魚が放流されています。アユは塩焼きにするととても美味しいです。川の中を泳いでいるような形で串に刺し、炭で焼きます。頭や背びれに化粧塩を付けると焦げにくく、炭でやくと皮より中が先に焼け内臓がはじけます。六月の終わりから七月頃の梅雨の時期に雨がたくさん降るため、水が増え、川の中の石が転がり新しい藻が出来ます。この藻を食べて育ったアユが美味しいのです。なぜなら藻を食べて大きくなったアユは藻の香りと塩が混ざっていい匂いがするためです。

 

2)ゴリについて

ゴリはハゼの仲間で、淡水魚で体長は約1~3cmの小魚です。腹面に吸盤があり岩などにくっつき流されるのを防いでいます。また、ゴリは食べることができ、主に佃煮にして食べます。ゴリは水中を速く泳ぐため捕まえるのは少し難しいです。またゴリは賢く、とても愛嬌があるため、飼育していてとても面白いです。ゴリは雑食寄りの肉食なので餌はイトミミズなどを食べます。

 

3)アカモト(カワムツ)

アカモトの体長は10~15cmで、水がきれいで水流が暖かいところを好みます。肉食性の強い雑食で、岩に付着した藻類や水面に落下した昆虫、底生動物を好んで食べます。また、木陰や草陰になっているような場所で群れていることが多いため、開けた場所では釣るのが難しいです。美山では腹が赤いことからアカモトと呼ばれています。

 

4)シラサギ(ダイサギ)について

シラサギは体長85~100cmで、水田や河川に生息しています。全身が白色で、鳴き声は「グエーッ」と鳴き、樹上に巣を作ります。

 

5)カジカガエルについて

カジカガエルは灰色で平べったくとても地味な姿をしています。体長は雄が約4cmで雌が約7cmです。鳴くのは雄だけで、5~8月頃に鳴きます。鳴き声は「フィフィフィフィ・・」と鳴き、鳥の鳴き声に似ています。また、カジカガエルはきれいな水のある所でしか生息出来ません。河川の汚染度を測る指標動物にもなっています。美山川はカジカガエルが生息できる清流です。

 

6)ヨモギについて

ヨモギとはキク科ヨモギ属に属する多年草植物で、若葉を食用にする代表的な春の山菜の一つです。繁殖力が強く、いたるところで育つことができるため、乾いた道端によく生えています。ヨモギの名前は「よくもえる木に由来するものといわれています。しかし、ヨモギは火をつけても炎があがらず、熱くなりすぎることなく燃焼する性質があります。

 

7)チョウザメ(古代黒耀蝶鮫)について

チョウザメはサメという名前ですが、サメの仲間ではありません。淡水で生息します。このチョウザメの卵を塩付けにしたものがキャビアです。祖父はこのチョウザメを池で飼っています。1mほどあるチョウザメが飼えると知って驚きました。

 

8)ホンモロコについて

ホンモロコとはコイ科の淡水魚です。体長は7~10cmです。また、祖父は元々田んぼだった所をホンモロコの池にして、そこでモロコを養殖しています。エサをあげると大量に寄ってきて水面で踊る姿は圧巻です。成長したホンモロコは毎年11月に水揚げされ料亭などに出荷されています。

 

9)ギンヤンマについて

ギンヤンマの体長は7~8cmで、水田やため池、沼などの水の流がない水辺などを飛んでいます。成虫は主に昆虫類を食べ、幼虫は水中でボウフラやミジンコなどを食べます。オスとメスの見分け方は簡単で、腹部と胸部の境目の色が、雄は鮮やかな青色で、雌は黄緑色をしています。他のトンボよりも大きく、発見したときは迫力がありました。

 

10)イナゴについて

イナゴの体長は2~4cmです。稲を食べてしまう害虫とされています。稲の茎や葉を食い荒らしてしまうとお米は絶滅してしまうため、イナゴから稲を守る必要があります。一方でイナゴは、稲の副産物として捕れる「ご馳走」とも考えられてきました。そのため今もイナゴを食べている地域もあります。

 

11)アカゲラ(キツツキ)について

アカゲラは体長が25~30cmほどで「ギーギー」と鳴き、低地、低山帯、亜高山帯の色々なタイプの樹林に住み、落葉広葉樹林のアカマツ林などの比較的明るい林を好みます。また、生木の枯れた枝や割れ目、枯れた木材、地上に落ちている枯れた枝などを好みます。くちばしで叩いて木の中をほじくり、枯死材の中にいる甲虫の幼虫を食べます。

 

12)ヒグラシについて

ヒグラシの体長は4~5cmほどで同じ蝉の仲間であるツクツクボウシと体の形や模様などがとてもよく似ています。ヒグラシとツクツクボウシの違いは、ツクツクボウシは全体的に黒っぽく、ヒグラシは全体的に茶色っぽいところです。また、スギやヒノキなどに止まり「カナカナカナ」と鳴きます。

 

13)カゲロウについて

カゲロウは最初に飛んだ虫で、3億5千年前から生きています。またカゲロウには口がなく寿命は極端に短い虫です。

 

14)ボンバナ(ミソハギ)について

ミソハギはミソハギ科の植物で、背丈は50~100cmほどです。ミソハギは小川沿いや田んぼのあぜ道などに自生する多年草です。花期は旧暦のお盆である7~8月頃で、お墓に供える花に使われることからボンバナと呼ばれています。僕もボンバナをお墓にお供えしました。

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