応募期間

今年の募集は終了しました。ご応募ありがとうございました。

受賞作品一覧
入選
第39回 中学生の部

香寺健康の森観察路

岡松孝樹

兵庫県
淳心学院中学校
中学校1年生

全体説明

僕の住んでいる姫路市香寺町は、自然豊かなところです。「こうでら健康の森」は、自然の運動公園です。兵庫県で初めてスイスのヴィタパルコースをモデルとして作られました。木製器具がコース内に設置されていて、森林散策を楽しみながら運動することができます。器具は鉄棒や丸太渡りなど簡単なものなので、親子や家族で行くのもおすすめです。自宅から少し歩くと、二ヶ所登り口があるので、僕も家族と一緒にいろいろコースをかえながらウォーキングを楽しんでいます。この森は香寺総合公園スポーツセンターにもつながっています。グラウンドや体育館、武道館、テニスコートなどがあります。冒険の森の中の児童公園には、昆虫の形の遊具があって小さい子に人気です。春の桜、初夏の藤、暑い夏は虫採り、秋の紅葉、年齢を問わず、四季折々の自然が楽しめ、運動以外にもゆっくり過ごすことができるすてきな場所です。今から紹介します。

観察ポイントごとの説明

1)ここは、三月から六月には、ツルニチニチソウの青紫色の花でいっぱいになります。花弁が少し傾いていて扇風機の羽のように見えます。茎が地面を這ってのびます。とても繁殖力が強いです。夏の夕方からは、オシロイバナの赤紫色の小花が咲き乱れます。黒い種がこぼれ落ちて、次々と増えています。その中に数本、ジュズダマが残っています。母は子どもの頃、祖々母にジュズダマのお手玉を作ってもらったと教えてくれました。

2)水田には、シラサギがいます。シラサギは全身がほぼ白いサギ類の総称です。コサギ属の旧名でもあります。首が長くて飛んだ時に大きかったので、ダイサギだなと思いました。夏羽になり、くちばしは黒色になっています。シラサギ類の多くは、水田や湿地、川などで見られます。カエルやバッタ、トカゲ、ザリガニを食べるそうです。この辺りの水田には、水がなく、カエルやショウリョウバッタが跳ね回っています。水田に水がないのは、「中干し」といって、品質をよくし、収穫量を上げるために五~七日間水を抜いている、ということを営農組合の方に教えてもらいました。「白鷺城」で有名な姫路城の近くの雑木林では、シラサギが集団で巣を作り、フンや臭いの被害が出ていて、共存のための方法を探っているそうです。七月から八月上旬は、ヒナが生まれ、親鳥は子育ての真最中です。この近くでも、ヒナがすくすくと育っているのかなと思います。

3)恒屋川の水面では、アメンボがすいすい歩いています。水が淀んでいるところもありますが、流れているところは川底まで見えます。カワムツを見つけました。カワムツは、流れの緩やかな河川や湖底に生息し、縄ばりを形成して日中に活動します。水草や藻類、水生昆虫、小魚なども食べます。体にオレンジ色の部分があるのは、雄の婚姻色です。五月から八月が産卵期で、川底の砂礫の中に産みつけます。

4)ジャコウアゲハは姫路の市蝶です。「播州皿屋敷」のお菊さんの化身が、「お菊虫」。ジャコウアゲハのさなぎです。幼虫は黒い体の中央に白い横帯が斜めに入り、イボ状の突起があり、個性的です。ウマノスズクサしか食べないので、農作物への害がありません。オスの成虫は翅が全体的に黒く、後翅が細長く伸び、紅紋があります。腹部の先端から出す麝香(名前の由来)のような匂いを嗅ごうと手を伸ばすと、優雅に飛び立ちました。

5)アマガエルは、沖縄を除く日本全土に分布しています。体長は2~4cm、雄より雌の方が大きいです。前足に四本、後ろ足に五本の指があり、指先の吸盤でガラス面を垂直に登ることもできます。環境に反応して、色を変えます。枝の茶色と同化した時は、見失いました。繁殖のために水田を訪れますが、それ以外は畑や草むら、森林で過ごします。肉食性で、吸盤でイネに上り、害虫を食べてくれるので助かります。

6)森に入り、ヒノキ、クヌギ、コナラなどの木々の間の道を登ります。カブトムシの雌が木の幹でじっとしています。「昆虫の王様」と呼ばれ、人気があります。僕も育てていました。雌雄の違いである角は、餌の確保や雌の獲得のために必要な武器です。その角が、幼虫からさなぎになる間の時期に形成されることが研究でわかったそうです。また、ごくまれに雄と雌の混ざった体をもつ個体が生まれるそうです。一度実物を見てみたいです。

7)カブトムシの好きなクヌギは、大きめのまるいドングリをつけます。地面には、たくさん落ちています。こまにすると、よく回ります。大昔は、重要な食料のひとつでした。クヌギの葉は、周囲がのこぎりの刃のようです。クリの葉と似ていますが、その部分の色が抜けているのがクヌギだそうです。また、ドングリの形はアベマキと似ています。葉の裏に毛があるのがアベマキと初めて知りました。葉を観察するのも楽しいです。

8)ウグイスは春告鳥とも言われています。でも、山では夏にも「ホーホケキョ」という鳴き声が聞こえます。これは、巣に餌を運ぶ雌に、雄が「安全だよ」と合図しているそうです。僕が森の中を進んでいると「ケキョケキョ」と鳴き声が変わることがあります。これは、侵入した者や外敵への威嚇なのだそうです。姿を隠してしっかり見張っているのです。秋冬には、庭や公園にもいて「ジャッジャッ」と鳴いていることも初めて知りました。

9)木の下に入ると、クマゼミの大合唱です。「シャンシャンシャン…」暑さが倍増します。6~7cmもある日本最大のセミで黒光りする体は貫禄十分です。大暑から立秋が最盛期です。午前中は、鳴き声が聞こえるのに、午後はほとんど鳴かなくなるので不思議です。クマゼミの鳴き始めは、五月から六月の気温が暖かいと早いそうです。今年は梅雨明けが早かったので、早く鳴き始めたかもしれません。

10)サクラの品種はソメイヨシノです。日本生まれのサクラです。今年の四月二日にここへ来たときもきれいでした。咲き始めの花は薄いピンク色ですが、咲いている花は白っぽかったです。今は、葉の緑色がきれいです。秋には紅葉します。赤くなると思っていましたが、本来は黄色で、赤く見えるのは病気の葉であることが多いそうです。サクラはデリケートなので、枝を切る時、枯れたり弱ったりしないように、父は切り口に薬を塗ります。

11)用水路に沿って歩くと、水田の稲に花が咲いています。シオカラトンボがいます。成熟して水色になった雄です。トンボは胸の筋肉で前翅と後翅を別々に動かして、空中で止まったり、急に方向転換したりします。「トンボ返り」は、トンボが身を翻すのが語源だそうです。もっと成熟すると体が白っぽくなります。この色の正体は、ワックス質の粉で、紫外線を反射するそうです。だから暑い夏でも元気なんだなあと思いました。

 

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