曽根沼湖岸緑地~夏の観察路~
渡辺緑海
滋賀県
滋賀県立守山中学校
中学校1年生
全体説明
曽根沼は、彦根市のほぼ中央にある荒神山の西麓に広がる沼地です。琵琶湖の内湖のひとつで、外周が約2.5キロメートル、広さが約20ヘクタールあります。以前は96ヘクタールほどの広さがあったそうですが、昭和三十六年から始まった干拓で、五分の一ほどになりました。周囲の干拓地では、大豆やイネ、ムギなどが広く栽培されていますが、特に南側には広大な梨園があり、「彦根梨」として大変人気があります。
曽根沼は、滋賀県の「ヨシ群落保全地域」に指定され、沼の周辺にはヨシやマコモが広く群生しています。様々な水辺の動植物が見られ、朝早くから釣りに訪れる人がたくさんいます。
沼の東側は湖岸緑地公園として整備され、遊歩道や芝生広場、遊具なども設置されていて、小さいころから私の大好きな遊び場のひとつです。沼地ならではの自然の様子を、ぜひみなさんに紹介します。
観察ポイントごとの説明
1)緑地公園駐車場
観察のスタート地点です。東側には荒神山がそびえ、西側には曽根沼が広がっています。岸辺にはヨシやマコモが群生し、水生生物の格好の住処となっています。ヨシに巣を作る鳥「オオヨシキリ」の大きな鳴き声が聞こえましたが、残念ながら姿は見えませんでした。
2)ハンノキ
岸辺には、水辺を好むハンノキが自生しています。2センチほどの緑色の実をたくさんつけていました。秋に実が熟すと、野鳥の格好の食べ物になるそうです。
3)ラクウショウ
遊歩道を歩いていくと、岸辺に奇妙な物体を見つけました。沼の泥の中から茶色い鍾乳石のようなものが突き出ているのです。これは、ラクウショウの木の呼吸根で、根を水面から出すことで、酸素不足を補っているのだそうです。初めて見る呼吸根にびっくりでした。
4)ムカシヤンマ
この辺りは芝生広場です。いろいろな種類のトンボが元気に飛び回っています。私が特に気に入ったのはムカシトンボ。オニヤンマのような黄色とクロのコントラストが鮮やかなトンボです。沼地に架る遊歩道の手すりに止まって、じっとこちらを見ていました。
5)ニホンスッポン
遊歩道から沼の北側を眺めていると、水面に大きな影が現れました。ニホンスッポンです。体長40センチ程もあろうかというような、とても大きなスッポンは、水面で息をすうと、また静かに沼の下に潜り、姿を消してしまいました。
6)セミの抜け殻
沼の西側の遊歩道はメタセコイアの並木道になっています。メタセコイアを見てみるとセミの抜け殻がぎっしり。たくさんのセミがこの場所で羽化し、飛び立っていったと思うと感動的です。
7)水面のヒシ
沼の水面の大部分をヒシという水草が覆っています、名前の通り、葉は菱形です。このような水草は光合成を行い、水の中に酸素を供給します。水中生物は、その酸素を取り込み生きているのです。また、水生生物の産卵場所や隠れ場所としても、水草はとても重要な役割を果たしています。
8)コイ
釣りをしている人に何が釣れるのか尋ねると、コイだと教えてもらいました。コイは流れが緩やかな川や池、湖、沼に広く生息する大型の淡水魚です。
9)ヘラブナ
コイと並んでよく釣れるのはヘラブナだそうです。ヘラブナは琵琶湖が原産の淡水魚で放流によって現在は各地の湖沼に生息するようになったそうです。
10)ライギョ
早朝から釣り人の多くは、このライギョを目当てに県外から曽根沼に訪れているそうです。体長が1メートルを超える個体もいて、釣り人の中では有名なスポットになっています。私は釣りをしたことがありませんが、そんなに大きなライギョが釣れるのなら、挑戦してみたくなりました。