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受賞作品一覧
優秀賞
第38回 中学生の部

私のまちの滑稽なコケたち

岩坪愛子

宮崎県
宮崎県立宮崎西高等学校附属中学校
中学校2年生

全体説明

人類が誕生するずっと前、そう、4億年以上前から存在している生物って何だと思いますか?
答えは、コケです。私たちの身の回りの木、地面、岩、塀にひっそりと生えている植物。見渡せば、必ずどこかに生えている小さな植物です。しかし、コケとは何かと言われると、「地味」だとか「暗い」だとか、そういうことを連想してしまう方もいるのではないでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。試しにそこらのコケを観察してみてください。色も形も特徴も異なった「滑稽」なコケが見つかるはずです。
今回は私の住む地域の面白いコケを、10カ所の地点にふり分けて書いてみました。ぜひコケの魅力やそのすばらしさを、感じてみてください。

観察ポイントごとの説明

①一号公園
この公園は、私の家の近くにある緑豊かな小じんまりとした公園です。同時に朝ラジオやゴルフにくる人、散歩をしたり遊んだりする人も多く、私の町の中の憩いの場でもあります。私が小学一年の時に引っ越してきてから、毎日のように、友達と家族と、昆虫や植物などの自然にふれ合い、育ってきた大切な公園です。
この場所は季節によって四季折々の変化をみせてくれる場所なのですが、その中でも私が毎年楽しみにしている季節があります。それは春です。春になると公園中に植えられている桜の木々の花が、大輪の花を咲かせ、その花びらがあたり一面をピンク色に染めあげます。 また、冬の間に冬眠していたコケがこい松葉色に変化し、木々を緑色のベールで覆い被せます。冬の真っ白な風景から一変、桜とコケが紡ぎだす春を感じさせてくれる、私にとって最高の一時です。

②街路樹の木
この場所は、道路と隣接しているため、その堺に街路樹が植えてあります。今回は、その街路樹の一つをじっくりと観察してみました。すると、ヒナノハイゴケやネジクチゴケが木をとりまくようにびっしりと生えていることに気づき、驚きました。またその下には、葡萄性蘚類であるヒノキゴケが生えていました。コケと街路樹、身近なものが多様に関わり合っていて、興味深かったです。

③通学路のブロック塀にて
小学生の時から、何百、何千と通っている場所ですが、今回の観察で新たな発見がありました。それは、この地帯に着生しているギンゴケやホソウリゴケは、秋から冬へと季節が変わると、銀色に姿を変え、冬眠の状態になるということです。脇の用水路にコケの数は少なく、ブロック塀の縁に沿ってコケが多いこともわかりました。コケも生きるのに必死なのだということも発見できました。

④団地の入り口
この辺りは、上の柵の方に、先ほど挙げたギンゴケやホソウリゴケ、下の方にはハマキゴケが生えていました。ハマキゴケは、道路やアスファルトなどの日かげとなる場所に生息しています。ここの地点は、気温もほかの地点に比べて低く、湿度も高かったので、「もしかして、気温や湿度の高さによってコケの種類も変わるのでは」と思いました。そう考えると、ますますコケを探したくなりました。

⑤急坂のブロック塀にて
ここのブロック塀は、③の通学路の塀より大きく、見上げてしまうほどの高さがあります。 そのため、崩壊してしまう危険性も充分にある場所なのですが、実はそれをコケがくい止めているといいます。長期にわたって成長し続けてきたコケが、ブロック塀の割れ目にくいこんで塗料のような役目を果たし、くずれるのを防いでいるのです。私たちの命をコケも守ってくれているのだと実感できました。

⑥道路脇の坂道
ここの坂にも街路樹が植えてあります。が、一つ決定的に違っていた点は、コケに何やら白い藻のようなものが付着していた点です。詳しく調べてみたところ、その物体は「ウメノキゴケ」であり、樹木が弱っているものについているといいます。ちなみに、コケと名前についているものの、コケの仲間ではないらしいです。

⑦商店近くの石垣
この場所は、私が散歩の合間の休憩に、と座った時に気がついた時点です。見てみると、ホソウリゴケが生えており、ジメジメとしていました。後で調べてみた所、ホソウリゴケは乾燥に強く、水分を長く溜めることができるそうです。私はもう一つ、気になったことがあります。それはゴミがやたらと多いことです。コケに限らず、地域を、環境を守るためにそういった気配りも行いたいです。

⑧交差点近くの道路脇
ここは交通量が多く、車の多く行きかう場所であり二酸化炭素濃度も他の地点と比べると少し高かったです。段々と積み重なる石垣の下には意外にも多くの種類のコケが生息していました。(ギンゴケ、スギゴケ、ハイゴケ、スナゴケなど)また、石垣の上に植えられている垣根には、春になると毛虫が大量に発生するため、注意が必要です。

⑨交通量の多い坂道
ここの二酸化炭素濃度は全地点の中で最も高い458PPMで、大気の状態が他と比べて良くありませんでした。その割にはエゾズナゴケ、ヒナノハイゴケなどを中心としたコケが多く着生しているようにも思えました。道中、ヤモリも見かけました。ヤモリはすぐ私に気づいて逃げさってしまいました。虹色と緑のコントラストが美しかったです。

⑩十字路
私はここで、ゼニゴケを見つけました。ゼニゴケは中1の時に学校で詳しく学習したのですが、実物を見て、父に「これがゼニゴケだよ」と言われるまで気づきませんでした。他のコケのように縦に伸びるのではなく、アメーバのように横に葉を伸ばしていることに魅力を感じました。今回は雄珠のみしか発見できず、雌珠のあの独特な胞子体を見つけることはできませんでしたが、良い経験ができました。

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