さぁ行こう!みどりの教室 ~世田谷探索MAP~
三宅 結菜
東京都
明治大学付属中野八王子中学校
中学校2年生
全体説明
暑い。しかし木は葉を広げ、枝を伸ばしています。しおれている木はなく葉は元気いっぱい。私が住んでいる街には多くの自然が残っていて人間と動植物の共存する姿を見る事が出来ます。今の季節ケヤキや桜は木陰を提供してくれ、散歩する人達が腰を下ろして休んでいます。そんな私の街で今回の舞台としたのは、1975年6月1日(私が生まれる30年前)に開園した祖師谷公園です。北には駒澤大学のグラウンド、南には成城の閑静な住宅街が広がります。この公園内には仙川という川も流れ、小さな子供を連れた家族やスケートボードをする若者が集まります。この場所は元々防空緑地の一つとして計画されました。東日本大震災の経験を踏まえ、3月11日頃に防災設備の利用体験が開催されます。私は今年この体験に参加し、公園が豊かな自然、動植物を守っているだけではなく、人間の安全も守っていると知り魅力を感じました。さあ、これからこの公園をご案内しましょう。
観察ポイントごとの説明
観察ポイント① 母と一緒にはらっぱ広場の草むらの中を歩いたら音がしました。何かいるのかなと近づいてみると大きな瞳と長いしっぽが目に入りました。金蛇です。小学生の頃、友達と金蛇のメスを捕まえて冬眠の間まで育てたことがあり、懐かしく感じました。今では東京都と千葉県にて準絶滅危惧種相当の指定を受けているそうで愛嬌のある姿がいつか見られなくなるのかと思うとさみしくなりました。
観察ポイント② また金蛇!?と思ってしまいましたが、メタリックブルーのしっぽをもつ日本蜥蜴の幼体でした。顔を近づけてみたら目が合った気がしました。ですが何を悟ったのかすぐ逃げていってしまいました。会う度にちょっぴり幸せな気分になれる美しい生物ですが、すばしっこくてなかなか観察させてくれません。大人になると色が変わってしまうため、貴重な瞬間だなと感じました。
観察ポイント③ はらっぱ広場を通りすぎ林の中を歩いていたところ2つの木が巻きついてまっすぐと伸びている「合体樹」という大木を見つけました。エノキとエンジュでできているそうで初めて見る光景に私はとても驚きました。エンジュは白い花を咲かせています。またエノキの花言葉は「協力」「共存」の為、たとえ成長する過程で窮屈に感じられるときがあっても、二本仲良く大きくなってほしいです。
観察ポイント④ 湧水池では幼い子供達が虫網を持って池を取り囲んでいました。どうやら塩辛蜻蛉を捕まえたくてしかたがないようで元気に走り回っていました。私が見た種類は若いオスでしたが、年を重ねると白い粉を吹くそうで名前に塩とつくのもそれが由来となっているようです。また身近な生き物も興味を持って調べることで新たな発見をすることができ、勉強になりました。
観察ポイント⑤ 大輪の美しい酔芙蓉という花を見つけました。木槿の花によく似ています。私が見たのはピンク色でしたがのちに調べるとあることが分かりました。朝は白、昼はピンク、夜は赤になるそうで、一日花でありながら目まぐるしく姿を変えることに心うたれました。また移り行く様がお酒を飲んで頬を赤く染めていくように見えることから酔芙蓉と名づけられたという話も聞きました。
観察ポイント⑥ 先を見てみると花の蜜を吸う黒い蝶がいました。「あっ!!揚羽だ」ふわふわと舞うように飛ぶ黒揚羽を見つけました。そこへ別の黒揚羽がやってきました。2匹は宙へ舞い上がり、一瞬絡み合いますが、すぐに別れました。こうした蝶の行動は何を意味しているのでしょうか。大きさは10cmほどで、羽の表裏とも黒で、外側に赤い模様が並んでいます。
観察ポイント⑦ メインプラザにやってくると足元に小さな実がたくさん落ちていました。上を見上げるとメタセコイアが4本立っていました。円錐形の樹形をしている針葉樹で樹高は約25m(プールくらい)です。大昔から姿を変えずそのままの姿でいる為「生きた化石」とも呼ばれるそうです。私は小学生の時、塾のテキストでメタセコイアの化石をよく見ていたので、強い生命力を感じることができました。
観察ポイント⑧ 「ジージー」と油蝉の大合唱が聞こえます。足元には2cmくらいの無数の穴。木の幹だけでなくロープに数珠繋ぎにしがみつく蝉のぬけ殻。私はそんな蝉の一生懸命な姿を間近で感じることができ、とても感動しました。油蝉は東京では最もよく見かける蝉で、不透明な茶色の羽を持ち、午後から大きな声で鳴いています。パワーをもらい夏の暑さに負けず、元気に過ごしていきたいです。
観察ポイント⑨ 大きな羽音が聞こえ、びっくりして花の方に目をやるとずんぐりした体の熊蜂が飛び回っていました。体長は2cmくらいで胸には細かい毛が多く生えています。全身が黒く羽も黒いが胸部の毛は黄色です。彼らは温厚な性格でめったにスを襲わないのですが姿からは想像できないな!といつも思います。また35度の灼熱の太陽の下で蜜を求める姿に私は強いエネルギーをもらった気がしました。
観察ポイント⑩ テニスコートの裏へつながる小路の草をかき分け進んでいくと優美な花をたくさんつけた木に目が吸い寄せられました。一日花の木槿です。朝に咲き夜には散ってしまう儚さから芭蕉や一茶など多くの俳人に親しまれた花です。さて私はここで一句詠んでみることにしました。
「美しい花 今はもうない 虚しさよ」
ふと思った気持を句にしたためてみました。