応募期間

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受賞作品一覧
入選
第32回 中学生の部

お滝不動山周辺 虫と植物の観察路

山下 詩織

宮崎県
宮崎西高等学校附属中学校
中学校1年生

全体説明

私が住んでいる地区の南側にある山は、お滝不動尊という滝がまつられている。そこからふもとにかけて流れる湧水はとてもきれいで、主に田や畑に使われている。私は近くに住んでいながらもあまり来ることがないから、これを機会に探検したいと思い、この山にした。山の中にはヤブミョウガやシロバナヤブランなどの多年草が多く生息している。また、色あざやかなハンミョウ、鉛筆ほどから針のような太さのトンボが飛んでいた。これらの動植物は私が見ただけでも七十種類は超え、中でも初めて見る昆虫や名前は知っていても見たことのない植物が多い。また、山の中から見える木々は日の光や湧水によって、外から見るのとは別世界に感じた。これらの他にも新しい発見はたくさんあったから、他の人達にもぜひこの山に目を向けてほしい。

観察ポイントごとの説明

①この田ではアメンボなどの虫も多く見られたが、一番最初に見られるものはスクミリンゴガイの卵だ。ジャンボタニシの卵ともいわれる。あのあざやかな桃色の卵から生まれてくるスクミリンゴガイは、稲を食べるから害虫、とされている。数十年前に日本に連れてこられ、野生化をしたらその捨てた人間たちに悪く言われている。そう考えると、少しかわいそうだ。

 

②この道のわきには、直径七〇センチメートル程の大杉が、斜面の土地から太陽に向かって体をくねらせ、一列に並んでいる。その木の上からは「ツクツクボース」というセミの鳴き声が聞こえてくる。他のセミも鳴いているが、このツクツクボウシの声が一番聞こえやすい。

 

③この道路に複類ある青の線は湧水が流れている所で、車があまり通らないからか、そこには水を飲みに来た虫が多くいた。中でもモンキアゲハは十匹近くおり、羽を休めるたびに白い模様が上羽に隠れ、最初に見たときは模様が消えたかと思って、驚いた。また、ある特定の葉にだけ止まる光景も見られた。その葉には穴がいくつもあいていたから、モンキアゲハの幼虫はこの葉を食べて育つのかもしれない。

 

④道のわきにはお滝不動尊から流れる用水路があり、その中には赤っぽい石とシダの葉に身を隠すようにサワガニがいた。今まで小さな黒いカニは何匹も見てきたが、こんな山の中で明るい色のカニが見つけられることは、正直意外だった。

 

⑤この場所は一面を濃い緑の単子葉類でおおわれている。その中でも目をひくのは、ヤブミョウガの白くて小指の爪ぐらいの小さな花の集まりだ。中には、玉のような白い実をつけているものもあった。ちなみに、ヤブミョウガは花かさく前には食用にもできるそうだ。食料が足りない時の非常食とされていたのかもしれない。

 

⑥⑤から少し進むと急に山が開けて、温かい気候になっている。空には、約三十匹のアキアカネが大人もとどかない高さを飛んでいた。先ほど見かけた青くて細長いモノサシトンボとは対称的に、暖色で短く、丸っこい。しかし、一匹写真に写してよく見ると、「アカネ」というほど赤色でなく、茶色と赤色が五分五分だった。

 

⑦サクラが数本生えている。8月だから葉はほとんど黄色で、緑色の葉はほとんど残っていなかった。その下辺りでは、一匹のハンミョウが別のハンミョウをおぶって暴れているという光景を見た。その時はオス同士がなわばり争いをしていると思っていたが、どうやら、授精をしていたようだ。現在は激減しているハンミョウは、とても貴重な昆虫のようだ。

 

⑧この地点は下とちがってかなり日当たりがよい。そのため、畑があり、しそやゴーヤ、とうもろこしが大きく、立派に育っている。その周りは西に杉林、北東に竹やぶがあり、東の方には細い道があったが、草がおいしげっていて通らなかった。残念だと思える。

 

⑨池の水は黒っぽい緑色で、少しも下が見えないほどにごっている。アメンボしか姿が見えなかったが、セミや鳥の鳴き声があり、水草も生えていたから、他の生き物が住んでいるかもしれない。また、すみの方に水神様を祭る石碑が置かれていた。人間の暮らしは、昔から水を敬っていることが分かった。

 

⑩北側に、④のような用水路が流れている。周囲にはナンテンの木々やモノサシトンボなどの青いトンボが多く見られた。大きなシダも岩一面に生えていた。一番奥には二メートル程の滝があった。そこからあざやかな緑や茶色のコケが広がっている。きれいな水が流れている印だと私は思う。

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