梅ヶ久保周辺 里山歩き
丸山 輝記
長野県
松本秀峰中等教育学校
中学校2年生
全体説明
今回私は、梅ケ久保周辺を散策することにした。昨年は自宅周辺を確認しレポートした。梅ケ久保公園は自宅から二キロほど西に位置し、学区内であるが坂がきつく、山のふもとにあるので、自宅周辺とは違う発見ができると思いこの場所を選んだ。
梅ケ久保公園は、標高千二百メートルの笠松山の登山口でもある。私も小学五年生の時にここからスタートして登ったことがある。その時はまわりの景色や植物を見る余裕がなかったが久しぶりに訪れ、近くにこんなに自然が美しい所があることに感動した。森林の空気のおいしさや、自然の心地よさを肌で感じることができた。また、この辺りは貴重な植物が自生していて、地元の人たちに大切に守られていることを知った。
今回は8月ということもあって、見ることができなかった植物がいくつかあったので、春先、もう一度里山歩きをしたいと思う。ザゼンソウをこの目で見たい!
観察ポイントごとの説明
①広域農道を渡ると道が二つに別れており、まずは「カタクリの里」とかかれた方へ進むことにした。少し歩くと、里山の景色が目にとびこんできた。山から流れてくる階段式の川。そこにかかる古びた丸太の橋。橋を渡ると川に沿って遊歩道が続いている。整備されすぎていないところがいい。ここはカタクリの自生地で、カタクリは三~四月に見頃を迎え五月には枯れて地上から姿を消してしまうため残念ながら何も見ることはできなかった。
②階段式に流れてくるこの川は滝沢川という。川幅は広くないが、段々と流れてくる様子はとても幻想的だ。水は透明で、川底の石ころがみえる。このきれいな川には、アナゴやフナがはっきりと見えた。上流の方にむかって遊歩道を歩いて行くと小さな滝がある。私は秘密の場所を見つけたようなうれしい気持ちになった。三~六月にかけて、遊歩道のわきに咲くカタクリやササユリを見ながら、散歩を楽しむことができる。
③別れ道まで戻り、次は梅ケ久保公園方面へ向かった。この辺りにはりんご園がある。広域農道の周辺にはフルーツ農園がたくさんあり、りんご、なし、桃、さくらんぼなど、シーズンになるとフルーツ狩りのお客さんが訪れる。ここのりんご園の向かいにはブルーベリーの農園もあり、手入れをしている様子をみることができた。農園は一面ブルーの網で囲まれていた。この辺りはイノシシやクマが目撃されているので作物が荒らされるのだろう。
④梅ケ久保周辺はササユリの自生地として知られている。全国的に自然に見られるササユリが減少しており、希少野生植物と指定されている。ササユリは五~七月に開花するためカタクリ同様花を見ることはできなかった。しかし、ササユリの茎1本1本に赤いリボンがつけられていて、目印のようにたくさんの茎をみることができた。愛護会の人たちが保護のために付けたもので、地元の人たちによって大切に守られていることがわかった。
⑤しばらく山道を歩くと梅ケ久保公園の駐車場がある。この辺りでは、いろいろな木や植物を見ることができた。岩の間に紫色に咲いているのがガクアジサイ。大きな1本の栗の木からは、いがのついた栗の実がいくつも落ちていた。また地域の人たちによって植樹された、イロハモミジや、カスミサクラ、ヒガンザクラの木もある。桜の季節や、紅葉の季節には、きれいな姿をみることができるのだろう。
⑥駐車場の奥にはザゼンソウの群生地がある。私が今回一番興味を持ったのがザゼンソウだ。雪解けから3月頃姿を現すという。写真でみると、名前通り僧侶が座禅を組んでいるようだ。ザゼンソウは花自身が発熱しているため周りの雪を溶かしていち早く地上に姿を現すそうだ。また花が咲くまでに十数年もかかるという大変貴重な植物でもある。痕跡はないかとかなり奥まで歩いてみたが何もみることができなかった。是非この目で見たいと思う。
⑦ここまで、カタクリ、ササユリ、ザゼンソウと開花しているところを見ることができなかった。そんな中、キキョウとホタルブクロを見ることができた。キキョウは、熱い日差しの中でも、きれいな薄むらさき色の花を咲かせていた。ホタルブクロは昔、子供が蛍を花の中に入れて遊んだことからついた名前だといわれている。蛍の光が花からすけてちょうちんのようにも見えたのだろうかと想像した。
⑧梅ケ久保神社の手前には屋根のついた休憩所がある。ここは南アルプスを一望できるスポットだ。この辺りを散策すると小さな発見がいくつかあった。草むらにはたくさんのセミのぬけがらを発見。大きさや形からニイニイゼミと思われる。ゴマダラカミキリもいた。体がごま模様で触角が長くきれいなカミキリムシだった。蝶も何匹もみたが、アゲハチョウは感動した。コウモリかと思うくらい真っ黒で大きかった。他とは違う迫力があった。
⑨最終ポイントは梅ケ久保神社。境内にある丸太の柵に非常に長い長いありの行列を発見。よく見るとすべてのありが卵のようなものを運んでいた。調べて見るとアミメアリと思われる。倒木などをすみかにし、頻繁に移動する放浪のアリらしい。雨が近付くと安全な場所に移動するためアミメアリが始動すると雨が降るといわれている。そういえば、この日は遠くの方で雷がなっていた。この説は本当かもしれないと思った。
⑩私が里山歩きをした二週間後、梅ケ久保付近から笠松山へ向かう登山道でクマに襲われたとニュースになった。出没したのは体長六十センチほどのツキノワグマの子熊だった。八月下旬ごろはエサを求める熊が里山へ出没することも多くなるという。小学生の頃から熊には警戒するようにと言われ、鈴を持って登下校することもあったが、本当にこんなに近くまで熊が出没することに驚いた。