聖徳太子ゆかりの地散策 猛暑の中で
津田直暉
兵庫県
兵庫県立大学附属高等学校
高校1年生
全体説明
僕の住む揖保郡太子町は、兵庫県の南西で、東・南・北の一部は姫路市に、西・北はたつの市にそれぞれ接しています。おおむね平坦な土地が多いが、北・東には標高百メートル以上の山が連なり、揖保川および林田川下流の沖積平野に立地しています。
この地図で示した鵤地区は、古くから聖徳太子ゆかりの地として、斑鳩寺を中心に栄えてきた街です。近年では播磨灘工業地帯の発展によって、太子町がベットタウン化する中で、鵤地区も農業地の宅地化と人口増加によって都市化が著しく進んで行きました。
住宅は、マンションやハイツよりも一戸立てで庭つきの家が多く、庭には松やもみじ、カクレミノなど植樹していたり、ガーデニングや休耕田を利用し家庭菜園をしている家庭が多い為、自然と共存し四季折折の動植物を楽しむ事ができる環境に良い街です。
観察ポイントごとの説明
(1)小学校
子どもの頃通っていた斑鳩小学校には、センダンの大きな木がありました。樹齢は百二十年以上です。五月から六月頃美しい薄紫色の花が咲き、夏は涼しい木陰になり、クマゼミやミンミンゼミ、ツクツクボウシなどがせわしく鳴いていました。秋には青空に果実だけが目立つ頃、ヒヨドリなどの鳥がやってきて、大きな果実を丸呑みにしているのを見かけました。
(2)町民のオアシス
僕の家の近所に西光寺があります。そのとなりに井戸があり、ドラムカンに水を貯めてすいかなどが冷やしてあったり、子供達が水遊びをしたりと、ちょっとした憩いの場所となり、近所の人たちは、三々五々世間話に花を咲かせています。
7月に入り、朝、ウグイスに起こされる事がありました。この鳥は春をつげる鳥と知られているので、夏にいるのかと眠い目をこすり、窓の外を見ると、電線に止まり「ホーホケキョ」と鳴いているのを見て驚きました。
(3)野菜畑
野菜畑では、ピーマン、トマト、キュウリ、かぼちゃなど、地元で収穫出来る物が栽培されています。特に祖父が作ってくれる、とれたての野菜は無農薬で、新鮮で水々しくおいしいです。もうすぐ枝豆がとれるそうです。他にもケイトウ、スカシユリ、グラジオラスの花がきれいに咲いていました。
(4)ピクニックゾーン
太子山は標高四十七メートル、頂上からは太子町の大半と、林田川を越えて西と北西はたつの市域を眺望することができます。特に鵤地区はほとんど一望できます。クヌギやコナラなどの落葉広葉樹が多いので、コゲラやエナガなどの鳥が飛んできて、木の実や、昆虫を食べています。
(5)ミニ桜の名所
太子山の麓に太子山公園があります。乳幼児や児童の遊び場でもあり、地域の人たちの散歩コースになっています。疲れるとベンチで休憩したりのんびりできます。特に桜の花が咲いている春が一番きれいです。また、サンゴジュの木が多く植えてあるのは防火樹の役割があることを、この課題を通して知りました。
(6)水辺のせせらぎ
フナやドジョウの稚魚がいるフケノ川では、今でも幼稚園児たちが、網をもって捕まえている姿を見つけ、自分たちがしてきた遊びが今でも受けつがれている事に、懐かしさや、一喜一憂していた純粋な気持ちを思い出させてくれました。人々は自然に生かされているんだと改めて痛感しました。
現在、地球温暖化や環境問題など、毎日のように新聞やニュースで取り上げられています。古来から人々は、自然を尊び、その恩恵に感謝しつつ共生してきた歴史をもつことをふまえて、少しでも後生に残していけるよう努力していきたいです。
(7)閑静な住宅街
この地区は、住宅街で保育園から中学校まで、学校が多い事もあり、プランターや花壇にガーデニングをして、日々草、朝顔、マツバボタンなど色取り取りの花が咲き、行き交う人の目を楽しませてくれます。庭木は、観賞用としてムクゲやサルスベリなどが植えられたり、マツやカクレミノは古来から神の宿る木として尊ばれました。庭師の話では、近年子供の誕生日に月桂樹の木を植える家庭が増えているそうです。
(8)花畑
昆虫ポイントでは、アゲハ蝶もいないだろうと思っていましたが、家の外へ出る時、観察するようになってから、キアゲハやクロアゲハなど見かけるようになりました。また、コガネムシが家の中に迷いこんだり、八月もお盆をすぎると、トンボを湿地や水田でよく見かけます。オニヤンマなどの大きなトンボは、あまり見かけないけれど、シオカラトンボやたまに赤トンボを見かけます。
(9)イチジク畑
この地図の中で一幹だけイチジクを作っていました。鳥や虫が食べないよう木のまわりをネットのような物で覆ってありました。そのとなりにはトウモロコシやさつまいもなど栽培していました。
(10)田園風景
田んぼなどの用水路で、幼少の頃毎日網とバケツを持って、オタマジャクシ、カブトエビ、ザリガニを捕り、虫かごを持っては、トンボや蝶を追いかけて遊んでいました。ザリガニは、家で飼育していました。最初はよく分からず蓋をしていなかったら、夜逃げられたり、共食いしたり、脱皮の瞬間は見れなかったけれど、脱皮のからは食べてしまったりと、当時、幼いながら貴重な体験をしたように思います。
(11)歴史遺産の古刹
斑鳩寺は、鵤地区の中央部にあります。この地を守るため、聖徳太子が建立した法隆寺の別院です。三重塔や釈迦如来像など、数多く重要文化財に指定されています。境内の中には、たくさんの樹木が植えられ、その中でも指定樹齢三百年の山茶花二本があり、花木としては極めて珍しい老木があります。このような場所にくるとなぜか背筋がピンとし、気持ちがゆったりと安らぐ、元気や癒やしを与えてくれるパワースポットのようなところです。