帰化植物の小道
板垣龍弥
青森県
青森県立名久井農業高等学校
高校3年生
全体説明
青森県南部街は県立自然公園を抱えるのどかな里山です。これこそ日本の古里という風景が続いていますが、足元の植物を調査していって驚きました。幼い時から見慣れている植物の多くが、かつて海外からやってきた帰化植物だったのです。なかには日本に小麦などの畑作が伝来したのとき、一緒に入ってきたといわれる古い植物もあります。私は農業高校で3年間勉強してきましたが、それよりもずっとずっと前から日本の畑で育っていた田舎の町が国際都市のように思えてきます。古里の植物を通して世界を考えることになるとは思いもしませんでした。
観察ポイントごとの説明
ヒメジョオン
明るい草原に生えています。北アメリカ原産のキク科。日本渡来は明治時代。ハルジオンにそっくりですが、草丈・花がやや小さく開花も遅いので、何度も観察するとわかります。
ハルザキヤマガラシ
春先、明るい植物や道端で黄色の花が咲いていました。ヨーロッパ原産のアブラナ科。日本渡来は明治時代。今では農業に被害を与える雑草として嫌われています。でも道端だったらじゃまにされません。
シロツメクサ
草丈の低い草原に生えています。ヨーロッパ原産のマメ科。江戸時代にオランダのガラス食器の詰め物として日本にやってきました。漢字では詰め草と書く意味がわかりました。
ハルジオン
ヒメジョオンと花も咲く場所もそっくり。北アメリカ原産のキク科。こちらは大正時代に渡来した園芸植物「ピンクフリーベイン」が野生化したものといわれています。昔は花壇や鉢花だったのですね。
アカザ
栄養分のなさそうな「いや地」にも生えていました。中国またはインド原産のアカザ科。麦栽培とともに渡来したといわれています。このように大昔に日本に帰化した植物を「史前帰化植物」というそうです。今回の地図つくりで覚えました。
ギシギシ
草原の中にあっても葉が大きいのですぐわかりました。ヨーロッパ原産のタデ科。渡来は明治時代。昔は北海道で多く生えていたそうですが、現在は全国各地で雑草化しています。こちらの方言では「牛の舌」(べこのした)といいます。葉が牛の舌に似ているからです。
セイヨウタンポポ
草原のふち、道路に近いところに群生していました。ヨーロッパ原産のキク科、渡来は明治時代。アルカリ性の土壌を好むため、コンクリート道路の割れ目からも生えていました。
ハコベ
明るい道端に生えています。ヨーロッパ原産のナデシコ科。こちらも麦栽培とともに日本にやってきたといわれる史前帰化植物です。とても古い歴史を持っていることになります。
ヒレハリソウ(コンフリー)
花は観察できませんでしたが、濃くて大きな葉が目印です。ヨーロッパ原産のムラサキ科。渡来は明治時代。最近、毒草に分類されたので、間違って食べないようにしましょう!
オオマツヨイグサ
明るく開けたところに生えていました。北アメリカ原産のアカバナ科。ヨーロッパに渡り園芸種となり、明治初期に日本に渡来。その後、野生化しました。世界一周旅行をしたかもしれません。
オオハンゴンソウ
道端で最近よく見る大きなキクです。北アメリカ原産のキク科で、渡来は明治時代です。現在、生態系に影響を与える「特的外来生物」として駆除対象になっています。
アメリカセンダングサ
道端で簡単に観察できました。北アメリカ原産のキク科。雑草扱いされていますが、こちらは大正時代にやってきた比較的新しい植物です。
オオイヌノフグリ
明るい道端で発見しました。水田のあぜ道や畑でも観察できます。青い花がきれいです。ヨーロッパ原産のゴマノハグサ科。日本にやってきたのは明治時代。今や全国に分布する雑草になりました。