城下町をそぞろ歩き
茂理さや
兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生
全体説明
私の住む兵庫県は自然が豊富で瀬戸内海に面しており、山や海どちらの環境に恵まれていて、たくさんの生物が生息しています。兵庫県といえば、神戸港やコウノトリ、姫路城といろいろな名所がありますが、やはり特に知られているのは姫路城かと思います。姫路城周辺は私がものごころついた頃から歩いて来た道なので、なじみがあり、高校生になった今でも通学路として使っている道でもあります。数えられないほど何度も通った私でさえ、気付いていなかった新しい発見がいっぱいで、毎日毎日新しい姫路の街に変化していっているのです。日々新たな発見の絶えないこの街の良さは、ここに住んでいない人々にも伝わるすばらしさです。より多くの人達に私の生まれ育った街、姫路を知ってもらいたい。誰からも愛される、人間と動植物が調和し、共存している城下町姫路の美しい自然をみなさんと一緒に歩いていきたいと思います。
観察ポイントごとの説明
(1) ツバメ
毎年夏になると、ツバメが街を行き交うようになります。至る所に泥とワラをかためたお椀形の巣を見かけ、その中には可愛らしいツバメのヒナが親からエサを口をいっぱいに開いて待っています。燕尾服を連想させる深く切れ込んだ尾が美しく、翼もスマートで光沢のある紺色がひときわ目を引きます。次の代の子供たちがまた戻ってくるように、街のみんなで見守っているのです。
(2) メジロ・ウグイス
春になり閉め切っていた窓を開けると庭木の辺りから可愛い声が聞こえて来ます。声の主を探すとまん丸の目とその周りを囲む様に白い輪がついている緑色の鳥が見られます。メジロです。ウグイスも春の同時期に行動するのでよく混合されますが、メジロの方がウグイスに比べ警戒心が弱く民家の花の蜜を目当てにやってくるので比較的目にすることが多く、一方ウグイスは木の実などを食べます。
(3) トビ
ふと北側の男山を見上げると、ピィーヒョロヒョロと鳴きながら、大きな弧をいて旋回しています。このことから「トンビが輪を描いて…」と言われているそうです。トビは尾の形が特徴的で基本的に三味線のばち形ですが、開き具合によって丸尾にも燕尾型にも見えるのです。ひとつの種類の動物がいろいろな姿を持っているなんて、全ての姿を見てみたくなります。
(4) ハクセキレイ
街の浅い水辺をじっくりと見てみると、小さな白と黒の色をした鳥が尾を動かしながら歩いているのが見られます。セグロセキレイとよく似ていますが、額から眉斑、喉から頬が白く、黒い透過線が目立ちます。ハクセキレイはたいがいつがいでいることが多く、2羽どうしのペアでよく見ることができます。大群で生活するよりも少数で行動する鳥なのです。
(5) ユリカモメ
あたりが寒くなり、冬が近付きはじめたと感じる頃になると、信号機の上に並んでとまっている白い鳥をよく見かけるようになります。赤い口ばしと足が印象的な、ユリカモメで、渡り鳥として毎年この時期だけやってくる鳥です。寒い所を求めて北上していくユリカモメは夏羽になると冬は真っ白だった羽の頭部が黒褐色に変化するのです。
(6) ボタン(牡丹)
姫路城の中には「千姫牡丹園」という場所があります。牡丹だけではなくいろいろな種類の植物が植えられている、大きな庭園なのですが、それでもやはり一番目立っているのが、牡丹なのです。白と桃色の美しい牡丹は、千姫の美しさをそのままあらわしているかのように咲き誇っています、葉の緑色との調和がすばらしく、満開の時期にはたくさんの人々が牡丹を見に訪れます。
(7) マガモ
マガモと言えば、雄の光沢のある青緑色の頭と首輪のような白い羽、お尻の近くのカールした飾り羽を思い浮かべます。実はこの派手な羽は繁殖期にのみ現れる現象で、この時期を過ぎると雄も雌と同じような地味な色の羽に生え変わります。この地味な羽をエクリプス羽と言います。その時期の雄雌の違いは、雄の明るいくちばしで、黄色いくちばしをしているので見分けられます。
(8) チュウサギ
流れる川や田んぼの中、一羽だけ凛と立っていたり、青い空に大きな翼を広げて飛んでいく姿に目をひかれることがあります。水辺に生息しているチュウサギは、シラサギ類の中で最も短い口ばしを持っています。夏羽では黒く目先は黄色ですが、冬羽になると黄色に変化し先端だけがわずかに黒ずみます。くちばしの色は変化しますが、足は一年中黒いままのようです。
(9) ヒヨドリ
春、あたたかくなりあたり一面が桜でピンク色に染まると、その甘い香りに誘われてヒヨドリがやってきます。桜の枝にとまって、花の蜜をすう姿は、姫路城の春の風物詩とも言えることでしょう。全体的に灰色がかった羽と頬の部分の茶色に何ともいえない可愛いらしさがあります。桜といえばヒヨドリ、小学校の入学式にも現れるヒヨドリは私たちの成長を見守ってくれているのかもしれません。
(10) カルガモ
日本ではファンの多いカルガモ。親鳥の後ろをよちよちついていくヒナの姿はいつ見ても微笑ましいです。全体的に地味な印象ですが、くちばしの先端が黄色く、足が橙色で次列風切の一部の翼鏡と呼ばれる部分が光沢のある青色が特徴です。まれにマガモと交雑し、顔はカルガモで、くちばしはマガモといったような、通称マルガモを見かけることもあります。
(11) コハクチョウ
姫路城をぐるりと囲むお堀には、たくさんの生物が生息しています。その中でも特に大きなコハクチョウは全身が雪のように真っ白で首が長く、オオハクチョウより体が小さくくちばしの黄色い部分が小さく、先端にまるみがあります。他の家族と群れになって、コォーッコッコと大きな声で鳴きます。地域の住民や観光客などの人々に親しまれているのです。