田んぼの生き物大紹介スペシャル
石川睦紀
愛知県
愛知教育大学附属特別支援学校高等部
高校3年生
全体説明
僕が毎日学校で使っている田んぼ道の絵地図です。田んぼは一年の間に環境が大きく変わるので、どんな小さな田んぼでも住んでいたり、季節ごとにやって来る生き物の種類や数はとてもたくさんなものになると思います。
田んぼ道の中で、どんな生きものに出会うか、どんな植物が生えているかを楽しく紹介します。
絵地図で工夫した所は、田んぼの一年を表した事です。ここの田んぼは、早生(わせ)種の稲を育てています。稲刈りは8月になります。絵地図の上から秋~冬~春~初夏~盛夏を表現しました。稲は一度刈った後また葉が伸びてきます。その後、稲穂が生えます。これを二番穂といいます。二番穂を目当てに生き物が集まります。田んぼを起こすと土の中の生き物を目当てに鳥が集まり、水が入ると、水を目当てに虫や鳥、水の生き物が集まります。田んぼの水が無くなると、また違う生き物が集まります。田んぼは大きなお母さんです。
観察ポイントごとの説明
<1>①-Aアメリカザリガニ、①-Bカワニナ、①-Cシジミ、①-Dオタマジャクシ
用水路の中の生き物です。流れがゆるくて少し深い所にいます。アメリカザリガニは大きくなると道路に出て歩いて住やすいところに移動します。カワニナはホタルのエサになる巻貝ですが、ホタルはいません。シジミは在来のマシジミと思われます。オタマジャクシはトノサマガエルのオタマジャクシです。
<2カワラヒワ>
キリロロ、キロロと独特の鳴き方をします。ぱっと見(み)スズメと区別がつきにくいですが、羽を広げると、黄色いラインが目立ってきれいです。大人は草の種を食べますが、ヒナは虫を食べて育ちます。夏の田んぼにいるのはヒナのエサをとるためのようです。
<3スズメ>
朝は鳴き声が良く聞こえます。田んぼ道を通るとたくさん飛び出してきます。
<4オオヨシキリ>
ヨシの中でギャッギャッグワッグワッと大声で鳴いています。最初はカエルの声かと思ってびっくりしました。声のする所に近づくと飛び出してきて、鳥だと分かりました。ヨシ原で子育てをする夏鳥です。
<5ヨシ>
元々はアシ(葦)だったが、「アシ=悪し」に通じるということで「ヨシ=良し」と呼ぶようになった植物です。ヨシの先の葉を引っ張って抜いてヨシ笛にして遊びます。ピーピーと音が鳴っておもしろいです。
<6シロスミレ>
田んぼの高いあぜの一部に白いスミレの群落があります。白いスミレの群落はかなり目立ちます。とてもきれいな真っ白いスミレです。葉っぱがとても長く、全体で28cmもあります。びっくりしました。
<7ヒバリ>
ピュルリリリリリと元気できれいな声で鳴きながら真っ直ぐ真上に高く飛んで行きます。昔話では、太陽にお金を貸して返してもらえず、高い空の上に逃げてしまった太陽に「金返せ」と言って上へと飛んでいるのだそうです。砂色の体は、地面にうずくまっていると全然見えません。飛ぶ時尾の縁の白色が目立ちます。田んぼのあぜの上で巣を作っていました。
<8キジ>
コウコウッと大きな声で鳴きながら羽を細かくふるわせてバタバタッと音を立てます。これはドラミングといいます。五月によく聞こえます。五月はオス同士がケンカをよくしていて、いきなり飛び出してきたりするのでぶつかりそうになりました。
<9コシアカツバメ>
名前の通り、腰が赤いのが特徴です。西日本から南にいる大きいツバメですが、最近増えてきました。夕方になると田んぼにたくさん集まって飛んでいます。巣の形が変わっていて、大きいドロバチの巣みたいです。
<10ツバメ>
僕の家にも巣があります。田んぼの泥をすくって巣の材料にし、田んぼの虫を捕ってヒナに食べさせます。米作りとセットの生活をしている鳥だと思います。
<11イタチ>
いきなり飛び出して道を横切るのでビックリします。田んぼの生き物を全部食べていると思います。バッタ、小鳥、鳥のヒナや卵、ネズミ、ザリガニ、カエル、魚、全部食べます。走るのがすごく速いです。水かきもあるので泳ぐのも得意です。
<12ヌルデ>
ウルシの仲間なので触るとかぶれます。田んぼのあぜの傾斜部分に大きな木が三本生えています。人が触るとかぶれるけど、夏は日陰を作ってくれて、ハトやスズメがたくさんとまって休んでいます。葉のない冬や春先は、てっぺんにチョウゲンボウがとまって周りを見ています。
<13チョウゲンボウ>
小型のタカです。ホバリングという、空中でじっとする飛び方が得意な鳥です。稲刈り後の田んぼの上でホバリングをしながら、小動物を狙う姿がよく見られます。スズメやネズミの他、ヘビやトカゲも食べます。
<14キジバト>
ヤマバトとも呼ばれるハトです。キジに首や翼の模様が似ていることからキジバトという名がついたそうです。草食性で稲刈り後の落ち穂や二番穂を食べに集まります。夕方よく鳴いています。
<15タヌキ>
暗くなると田んぼのあぜ沿いに歩いています。稲刈り後の用水路の水がなくなると、用水路の中を歩いていきます。用水路がタヌキの獣道になっているようです。
<16ハシブトガラス>
アー、アー、アー、と鳴きます。くちばしが太くておでこが出っ張っていて少し大きめのカラスです。最近数が減っているように思います。
<17ハシボソガラス>
くちばしが細いカラスで、鳴き声はア”ー、ア”―、アーと、ガラガラでにごった声で鳴き、やや体が細くて小さい感じがします。どちらのカラスも、田起こし・水張り・田植え・虫干し・稲刈りの度に群れでやってきて虫や小動物を食べています。カラスは真っ黒ではなく陽が当たると虹色のつやが光ります。黒は全ての色が集まった光沢のある最高位の色だそうです。カラスの羽はきれいだと思います。
<18ヒメスミレ>
スミレの中でも小さいスミレです。四月~六月にきれいな紫色の花を咲かせます。小さいですが、とても濃い紫色をしていて目立ちます。葉もハートの形をしていてとてもかわいいです。
<19オオタカ>
とても高い空を飛びます。田んぼの上に来ると、どんな生き物も一斉に逃げ出します。集団でタカをいじめるカラスも逃げます。オオタカは地上にいる生き物だけでなく、空中で鳥を捕まえることもできます。冬になると見通しの良い高い木や塔の上にとまっています。絵地図の左奥の5G電波塔にとまる姿を良く見ます。
<20ケリ>
飛びながらケリケリケリケリと鳴きます。名前と鳴き声が一緒なので覚えやすい鳥です。怒りっぽいのでいつも他の鳥とケンカをしています。田んぼで子育てをして初夏にヒナを連れて歩いています。ヒナはふわふわで足が長いので、耳かきが歩いているみたいでかわいいです。チドリ科の仲間では日本最大で、局地的にしか見られないといわれていますが、ここでは一年中たくさん見られます。
<21ギンヤンマ>
田んぼの上を一直線に飛び回ります。空中で虫を捕まえて、バリバリ音を立てて食べています。トンボの種類が減って、このような大型のトンボばかりになってしまっています。
<22トノサマガエル>
朝早くや夕方の涼しい時間に鳴き声がします。後ろ足が大きくて、水かきも大きい泳ぐのが得意なカエルです。アマガエルのように壁を登ることができないので、流れの速い用水路に落ちると流されてしまいます。
<23カルガモ>
草食性のカモで留鳥です。田んぼに水が入るといつも間にかやって来て泳いでいます。田植えをしたばかりの田んぼの中を泳ぐとせっかく植えた稲が浮かんできてしまいます。カルガモは田んぼの雑草を食べてくれて、その上防除もしてくれるので、カルガモが田んぼで泳ぎ回るのも悪い事ばかりではありません。番いや群れで移動して、いつもグァグァッとおしゃべりをしてにぎやかです。子育てが始まる前は、朝田んぼにやって来て、夕方どこかに帰っていきます。巣は見たことがありませんが、ヒナがかえると田んぼ近くから川へ移動します。ヒナが飛べるくらい大きくなると田んぼにまた戻ってきます。大きい田んぼの真ん中のあぜの中央あたりで親子でくっついて夜を過ごす姿も見られます。
<24アオサギ>
日本最大のサギです。一年中田んぼや川で見られます。田んぼでは主にカエルやザリガニを狙っています。稲刈り後の田んぼで虫やカエルを追いかけている姿も見られます。巣立ちしたばかりの幼鳥は、用水路の中に一日いて、一生懸命小さな魚やザリガニ、オタマジャクシ、トンボのヤゴまで食べます。
<25チュウサギ>
<26>のコサギと共にシラサギと呼ばれています。コサギより大きいサギなのでチュウサギと名前がつきました(一番大きいのはダイサギといいます)。春から秋にかけて田んぼで過ごしています。夏になると腰にレース状の飾り羽根が生え、くちばしの先の色が黄色から黒に変わり、目の色も赤くなります。飾り羽根は冬に抜け落ちます。
<26コサギ>
チュウサギより小さいのでコサギといいます。カラス位の大きさで、シラサギの仲間の中で一番小さいサギです。一年中田んぼで見られます。夏に頭と腰にレース状の飾り羽根が生えます。飾り羽は冬に抜け落ちます。足は真っ黒ですが、足首から下は真っ黄色です。泥の中から足を上げた時にはギョッとします。ペンキに足を突っ込んだのかと思うくらい目立ちます。この黄色の足でチュウサギと区別が目でつきます。
<27アサギマダラ>
鳥と同じように渡りをするチョウです。日本で唯一渡りをするチョウでもあります。移動距離は最高2500キロメートルにも及び、なんと世界第二位の移動距離だそうです。アサギマダラは羽根の浅葱色から名前がつきました。明るい水色に似た青緑色でとてもきれいです。