応募期間

今年の募集は2025年6月1日 (日)から開始します。

受賞作品一覧
優秀賞
第42回 高校生の部

残り続ける棚田と自然

阿知波ハル

静岡県
浜松学芸高等学校
高校1年生

全体説明

自然が豊かな棚田、僕の散歩道は久留米の棚田です。久留米の棚田では春から秋にかけて多種多様な生き物が暮らしているのを見ることができる場所です。標高の高い山の中にあり、棚田の周囲のクヌギの樹液にはミヤマクワガタやカブトムシを観察することができます。田んぼのあぜ道には、アマガエルやダルマガエルなどのカエルや、それを狙うヤマカガシも観察できます。久留米の棚田の特徴は、貴重な生き物を観察することができるところだと思います。その一つが水生昆虫です。多くの昆虫が農薬の影響や、外来種の侵入などによって生息地が減少しました。その中で、絶滅危惧種に指定されたクロゲンゴロウやタイコウチ、ミズカマキリが田んぼや池で暮らす姿を夏から秋にかけて観察することができます。今もなお貴重な生き物が減少する事なく、多くの生き物が暮らす素敵な棚田となっています。

観察ポイントごとの説明

<1>の観察ポイントでは、タイコウチという水生昆虫を観察することができました。タイコウチは日本に古くから生息する水生昆虫でしたが、ここ30年間で農薬や外来種の侵入によって数を減らしています。タイコウチは大きな前足で小魚や他の水生昆虫をとらえて捕食します。実際に、観察されたタイコウチの中でオタマジャクシを捕食している個体も見られました。全国で数を減らしている中、久留米の棚田では数多く生息していました。棚田を管理する農家さんも「田んぼで幼虫が泳いでいる姿を夏場はよく見かけることが多くなり、貴重な環境がここには多くある。この風景がいつまでも見られるといいなと思う。」と話してくれました。この久留米の棚田のような環境が続き、5年後、数十年後も子供たちが田んぼや水路、池などで観察できるようになるまで生息数を回復していってほしなと思います。

<2>のポイントではクロゲンゴロウを観察できました。タイコウチと同様、全国各地から数を減らしている水生昆虫です。ゲンゴロウ類の中でも大型の部類にされており、全身が黒色なのが特徴です。僕の地元の周囲の田んぼからも姿を消してしまい、観察できる場所が少なくなってきたと実感しました。これからも田んぼで悠々と泳ぐ姿が見られるように、久留米の棚田の自然が守られ続けてほしいと思います。

<3>のポイントではアカハライモリを観察できました。アカハライモリも絶滅危惧種に指定されていますが、里山の田園地帯などでよく見ることができます。赤いおなかが特徴で、春から夏にかけて個体数が多くなります。<3>のポイントでは、アカハライモリの幼体もたくさん生息しているのを観察することもできました。幼体が無事成体になり、これからも夏に田んぼで暮らす姿を見続けられることを願います。

<4>のポイントではハイイロゲンゴロウを観察する事ができました。ゲンゴロウ類の中でも小型の種類とされており、水生昆虫の中でも普通種で、学校のプールに飛来する事もあるほど身近な昆虫です。田んぼや池で水面を泳いでいる姿や、水面に落ちた昆虫を食べている個体もたくさん見る事ができました。他の大型種のゲンゴロウと全国の田んぼや棚田で暮らす姿を見られるようになるように数を増やして欲しいと思います。

<5>のポイントでは、ナゴヤダルマガエルを観察する事が出来ました。中型のカエルで、静岡県では絶滅危惧種に指定されています。春にはオタマジャクシ、夏には成体となった小さな姿で田んぼの中を泳いでいる姿を観察する事ができました。絶滅危惧種に指定されていることを忘れてしまうほどの個体数が生息していました。棚田が人の手によって大切に管理されているという事を気付かせてくれた生き物でした。

<6>のポイントではヤマカガシを観察できました。茂みの中から突然現れたと思うと、口にはカエルを食べていました。ヤマカガシは日本に生息する毒蛇の一種であり、体の赤と黒の模様が特徴のヘビです。観察の為に少し接近した時に、体を平たくし、威嚇ポーズをするヤマカガシを観察する事もできました。カエルが多く発生する6月に沢山の個体が田んぼを泳いでいる姿を見る事ができました。

<7>の観察ポイントではサワガニを観察する事ができました。田んぼのあぜ道、用水路に沢山の個体が集まっており、近づくと岩の隙間や苔の下に隠れる姿もたくさん見る事ができました。サワガニは綺麗な水に生息するとされており、最近は里山や山の中の川の付近で暮らす姿を見る事ができます。久留米の棚田全体で見る事ができ、久留米の中に流れる水がとてもきれいだと言う事を教えてくれました。

<8>の観察ポイントではオオカマキリを観察する事ができました。日本に生息するカマキリの中でも最大級の大きさを誇る種類とされています。田んぼのあぜ道の枯れ木で獲物を待ちかまえているように感じました。普段見る事が多い緑色型ではなく、褐色型の個体でした。諸説ありますが、周りの環境で色が緑色型、褐色型に変化するとされており、久留米の棚田で見られるほとんどの個体が緑色型のため、珍しい気分でした。

<9>の観察ポイントではコガネムシを見る事ができました。小型の種類に部類されており、水生昆虫の中でも比較的環境の変化に強い種類のため、比較的どこでも姿を見る事ができます。久留米の棚田でも田んぼや用水路だけでなく、水たまりに飛来してきた個体が泳いでいる姿も見る事ができました。数多くの水生昆虫の種類が数を全国で減らす中、どこでも見ることがいつまでも続き、他の水生昆虫も数を回復して欲しいと願っています。

<10>の観察ポイントではヤマトカブトムシを観察する事ができました。日本に生息するコガネムシの種類の中で最大級の種類であり、日本の夏を代表するほど有名な昆虫です。田んぼの周囲に生えているコナラの樹液に集まっている姿を見る事ができました。ヤマトカブトムシが樹液に集まるとカナブンなどを角で投げ飛ばす力強い姿も見ることができました。夏の風物詩とされるカブトムシがこれからも見られるように久留米の環境がこれからも守られることを願います。

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