家のまわりの田んぼさんぽ道
早坂七穗
青森県
八戸工業大学第二高等学校
高校1年生
全体説明
私は青森県の七戸町という田舎の町に住んでいます。その中でも私の家は、中心街から4km程離れた、周りには木と田んぼしかないような所にあります。しかし、こんなに自然に囲まれているのに、私にはその自然と触れ合うことがほとんどありませんでした。保育園の頃は家までバスが迎えに来てくれており、小・中学校の頃も坂の上のバス停に車で行って、そこから学校まではずっとバスでした。高校生になった今も、バス停の位置が変わっただけで、学校へは車とバスで行きます。街までも遠いので、今まで徒歩でどこかへ行くというようなことはありませんでした。
青々と生い茂る木々、広大な田んぼ、毎朝車からちらりと見える川。そんな豊かな自然の中を、今日初めてゆっくり歩いてみました。出会った生物について調べると、知らなかったことばかりでどれも興味深かったです。これからもこの町は人々の豊かな心を育てる手助けをしてくれる場所でありますように。
観察ポイントごとの説明
<1 イシクラゲ>
これについてはずっと前から気になっていました。雨が降ると、庭の石にワカメのようなものがくっつくのです。イシクラゲといい、一応ワカメと同じ藻類だそうです。一応同じといっても、生きるところが海か陸かの差があるため、藻類の中では結構離れた位置にいるそうです。イシクラゲもうまく調理すれば食べられるようですが、一体いつからここにいるのか分からなくて怖いので、やめておきます。
<2 オオハンゴンソウ>
家を出てすぐの少し開けた土地に、背の高い花が固まって咲いていました。ここだけではなく、他の場所でもそこらじゅうで見かけたことがあるこの花は、特定外来生物のオオハンゴンソウです。物凄い繁殖力で駆除が推進されています。本来の自然の姿を保つために人の手を加えることが必要になるというのが外来種の異常なところです。それぞれに合った外来種との接し方を身につけていきたいです。
<3 ハグロトンボとサギ>
川沿いを歩いていると、翅が真っ黒のトンボを見つけました。ハグロトンボです。蝶のようにパタパタと飛ぶのがきれいで追いかけていると、突然川の方からバサバサと何かが羽ばたく音が聞こえました。木の間から見えたのは大きな鳥でした。母によると、あれはサギだそうです。サギは割とどんな川にも来るそうですが、折角ならきれいな方が良いですよね。観察地点の川は茶色く濁っていました。
<4 クサフジ>
オオハンゴンソウに紛れて可愛らしい紫色の小さな花が咲いていました。クサフジというそうです。これとそっくりなナヨクサフジという外来種がいるそうですが、どうやらそれはナヨナヨとして弱いと思われたようで、弱(ナヨ)クサフジという名前が付けられたそうです。ですが実際そんなことはなく、繁殖力が強いため駆除が推進されている地域もあります。七戸町についても後で調べてみます。
<5 ムラサキツメクサ>
アザミかと思いましたが、近づいてよく見てみたら違う花のようでした。ムラサキツメクサというそうです。シロツメクサがピンク色になったモモイロツメクサかとも思いましたが、葉の付き方が違ったのでムラサキツメクサで確定しました。植物って本当にたくさんあるけれど、どれも正確に分類されているのですね。普段はなかなか感じることのできない、専門家の方々のすごい努力を知りました。
<6 アキアカネ>
アキアカネ、通称赤とんぼです。秋の虫というイメージがありますが、実は6月頃に羽化しており、気温に合わせて活動場所を変えているそうです。羽化した直後は黄色ですが、オスは成熟する過程で、赤色へと変化していきます。なんとこの色の変化の仕組みは、初めて発見されたとても珍しいものなのだそうです。身近な生物なのに知らないことだらけでした。興味を持つって大切です。
<7 クリ>
クリの木の葉が道のちょっとした屋根になっており、その下に少し気の早いクリの実が落ちていました。この辺りは結構クリが自生しています。買ったクリの実ではなく、自分で採ったクリの実を毎年食べることができます。そう考えると、自然豊かな所に住むことは体にも良い事だなと感じます。ご近所さんもよく採れたての野菜を分けてくれるので、うちのご飯は新鮮な旬の食べ物でいっぱいです。
<8 ナガコガネグモ>
道の横の水路にはなぜかクモの巣がたくさんありました。巣が張りやすいのでしょうか。興味を持ってみると、クモってなかなか不思議で面白い生物です。黄と黒のなぜかカラフルな体、芸術的な巣、まず自分で糸を作り出せるというのが不思議で仕方ありません。進化の過程で生み出した彼らなりの最強の体の構造が、それぞれ現在のクモたちなのでしょう。興味を持つって大切です。(2)
<9 スギ>
私が住んでいる地域はスギで囲まれています。絵地図上の、深い緑の細長い木は全てスギです。私はスギの花粉症なので、花粉が飛ぶ時期は毎日目が真っ赤になります。ですが、スギ林の中の青くて涼しい空気感は好きなので、近くで伐採されている姿を見ると少し寂しくなります。しかし、どうやら調べてみると、スギがあちこちにあること、花粉症の人が急増していること、そしてそのスギが少しずつ伐採されていること全てに理由があるそうです。戦争で大量に使われた木材を増やすため、全国でスギの植林が行われ、その大量のスギが現在花粉を出しているのだそうです。その花粉が昔と比べてすごい量なので、必然的に花粉症になる人も増えているそうです。そして一番の問題が大量のスギの扱い方です。地球温暖化対策で残しておくのも、国産の木の使用率を高めるために伐採するのも大切です。まずはその知識を持つことが私たちには必要です。
<10 サクラ>
家から坂の上を少しのぼった所にあるサクラの木です。春はこの辺りのサクラの木の中で、一番長い間花を咲かせるので、家族の中ではかっこよく「伝説の桜」と呼んでいます。親しみのある木ですが、品種を調べたことはまだありませんでした。夏の間の青い葉、秋の紅葉、冬の雪の葉付を楽しみ、そして来年の春、満開の桜の花を見て、この木とまわりの自然ともっと触れ合いたいと思います。