応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第39回 高校生の部

塩江町さんぽ~自然と共に生きる道~

森杏華

香川県
香川県立高松工芸高等学校
高校3年生

全体説明

香川県内でも山方の方に位置する塩江町。桜まつりやホタルまつり、紅葉まつりなど、自然を楽しむことができるイベントも開催されている。また、「高松の奥座敷」とも呼ばれる県内最古の温泉郷でもある。

そんな塩江町の魅力といえばやはり自然豊かなことだと私は感じている。塩江美術館によく展示を見に行くのだが、その帰りに周りの風景を見ると美しい植物が目に入る。そして耳をすませると心地良い鳥の鳴き声や虫の鳴き声が聞こえてくる。少し散歩をするだけでも、豊かな自然に心がいやされて、再度訪れたくなる。塩江の自然は動植物が共に支え合って生きているからこそ私の目に美しくうつり、心をいやしてくれるのだと思う。今後も塩江の自然を保ってゆくために、共に生きている自然の動植物たちはどのようなものがあり、どのようにして生きているのか知りたくなり、今回塩江をじっくり散歩してみることにした。

観察ポイントごとの説明

<1>

道沿いにはソメイヨシノが立ち並び、春はピンク色の美しい道になる。夏にはホタル水路で成長したホタルが美しく光を放ち幻想的な風景に。秋は羽黒トンボを始めとしたトンボが飛びまわり、冬にはほとんど雪が降らない香川県内では珍しく雪が降り積もり雪景色となる。季節によって全く違う顔を見せてくれる場所であり、そんな自然を身近に感じられる場所でもある。

しかし、最近は地球温暖化や気候変動による影響で花の開花が遅れたり、季節はずれな虫の鳴き声が聞こえたりしている。準絶滅危惧種も生息する塩江の自然をこの先も残してゆくには小さな事でも始めなければ意味がない。エアコンの設定温度を守ったり、近場には車を使わずに行くようにしたり。自分にできることから始めていくことにした。私一人の力で地球温暖化等を止めることはできないが、源因を減らすことは可能だ。自然を残し、共に生きるために行動を起こすのだ。

 

<2>

塩江美術館の敷地内に小さな池のようなものがある。そこをそっと覗いてみると、エビやアメンボ、小魚が泳いでいる。水草や・・・も群生していて賑やかな感じがして楽しそうだと思った。同時に小さな水辺でさえ沢山の生物が生息していることに驚かされもした。また、水の中からコポ、コポと空気が上がってくる様子も見られた。立ち止まってじっと観察したことで光合成の様子を見ることができ、改めて植物への感謝の念を覚えた。

 

<3>

道路沿いのブロック塀付近ではヨウシュヤマゴボウを発見した。一見可愛らしい見た目で美味しそうにもみえるが毒性がある。美味しそうなのに残念だと思っていたが、食べた場合強い嘔吐や下痢、摂取量が多かった場合は中枢神経麻痺がおこってしまうという説明を見て恐しく感じた。見た目とのギャップのあるものを見つけることができるのも自然察観の良さだと気付くことができた。

 

<4>

周りはたくさんの木と植物で囲まれているが、その間や裏をのぞくと様々な種類のクモを見つけることができた。大きな巣をはるものや、葉っぱの表面にのみ巣を張っているものなど、同じクモでも種類によって獲物のとらえ方が異なるものだと感心させられた。たくさんクモがいたためか、食事中のクモも多く見ることができた。

 

<5>

塩江に流れる香東川ではつり糸を垂らすとカワムツやタカハヤがつれる。つり人に尋ねたところ、高松の方(塩江より下流域)になるとオイカワもつれるようになるらしい。香東川にかかる橋から下を見下ろすとカモが体を休めている姿を見ることもできた。人が近づくと逃げてしまうため橋の上から見る事が最良。河川敷にはイタドリなども咲いており、塩江美術館付近ではサワガニを見ることもできた。

 

<6>

夏はアジサイ、秋はモミジが美しい通路。川の流れる心地良い音も聞こえてくるためゆったりとした気分で散歩することができる。しかしスズメ蜂などが花の蜜をとりに来ていることもあるため刺激しないよう注意が必要。危険な虫がいることもあるが、それも含めて自然の美しさや良さを体験できる場所。

また、夕暮れ時になると山の巣に帰るカラス達の鳴き声もよく聞こえてくるため、どこか懐かしい気持ちにもなった。

 

<7>

白纓の滝は、黒い岩肌に白い紐のように滝の水が流れ落ちていることから冠の結び組の意味である「纓」の字が入っているそうだ。

細い水が流れ落ちる様子は幻想的な美しさがあり印象的だった。近くには源泉の流れる六角堂があり、近づくと硫黄の匂いがした。元は六角形の建屋だったが老朽化のためブルーシートがかけられており見ることができなかった。滝も源泉もこの先ずっと残しておくべきだと感じた。

 

<8>

使われなくなったであろう家屋の屋根の上にも沢山の生命が芽ぶいていた。ハナゴケなどのコケ類がその建物の屋根の色を緑色に変化させていた。人間が使わなくなった家屋を放置し、空き家が増えていることも問題になっているが、その空き家を埋めつくさんとするコケ類の、自然の生命力には本当に驚かされることばかりである。

 

<9>

この場所まで歩いてくると、車の音が聞こえなくなる。耳をすまして音に注目すると木々が風に揺られこすれあう音や鳥の鳴き声しか聞こえてこない。草木の香り、山の匂いがより強くなったようにも感じた。山の上の方向へ進んでいるためか、体感温度も低くなったように思う。道のわきに群生するシダがぴょこぴょこ道の方ににとび出ているのもおもしろい。体全体で自然を感じることができた。

 

<10>

少し薄暗く、ジメジメしているためかキイロチチダケの群生地があった。茶色のやわらかめの土に、上から降ってくるかれ葉が養分になっているのだろうかと考えながら耳をすませると、<9>の場所よりもよく鳥の鳴き声が聞きとれた。姿を直接見ることはできなかったが、塩江の方いはくオオルリがやってきているのだそうだ。この先もオオルリが安心して暮らせる森を保っていきたいと感じた。

 

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