応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第37回 高校生の部

関東ふれあいの道 〜太平山〜

今泉 くるみ

栃木県
栃木県立栃木農業高等学校
高校2年生

全体説明

私が観察を行った太平山は、学校のそばにある山です。ハイキングやマラソンなど学校行事等で毎年訪れています。そして私が学ぶ学科では、太平山を通る関東ふれあいの道のコースの一区間を人力で整備しています。豪雨によって破壊された植生が、砂利の多い裸地からコケやシダなどの植物が少しずつ増えて遷移が起こる様子を体感しています。この整備した区間を通りアジサイで有名な太平山神社を登る道を、アジサイに隠れて普段は気にしない動植物を観察しました。
私は、一年間で植物の芽吹きからアジサイ、キノコ、昆虫から様々な生き物を見つけています。ただ、登るたびに見かけたことのない生物を発見することから、太平山は隠れた生態系の豊かな場所だと私は考えています。イノシシのフィールドサインを見つけると、大きさを想像しながら足跡を辿ります。私は今後とも学校で少しずつ整備を進め、ハイカーや観光客が気楽に楽しめる道に変えていきたいです。

観察ポイントごとの説明

観察ポイント①
私の通う高校の生徒の手で整備している関東ふれあいの道の一部分は、舗装されておらず普段昆虫や植物が多く生息しています。この区間は木陰の部分が多くジメジメしているため、道のあちこちで菌類が多くみられる場所です。これらの菌類の中で目を惹かれたキノコがあります。キウロコタケは台風で倒れた樹木にひっそりと生えていました。樹木の腐敗した色とは逆に明るいオレンジ色で、辺りを見渡すと点在していることに気づきました。私は、これから太平山のルートを通る関東ふれあいの道が始まると思うと胸の高鳴りが止まりませんでした。私はこれから続くこのルートが、今後ハイキングの定番コースになってほしいと思っています。そのためには、ハイキングが楽しくなるように木の人形である木人づくりやぬかるみを解消するため土のうを使って林道整備を日々進めていきたいと思います。そして、太平山を管理し人と自然が共生する林道を守りたいと考えています。

観察ポイント②
関東ふれあいの道を登っていくと、台風による大雨の影響によって深くえぐられている道に差しかかります。この部分は、雨の後はぬかるんでいて非常に歩きにくい場所です。ですが、段々と擬木で作られた階段がありハイキングにはもってこいの場所に入ります。よく、ザトウムシが樹木でうろうろしています。そんな道で飛び交っているホタルガがいました。場所によって絶滅危惧種に指定されているそうです。

観察ポイント③
このポイントは、伐採された倒木などが集積されている場所。少し動かすと倒木の中でひっそりと過ごしていた昆虫が顔を出していました。そんな中、半透明で今まで見たことのないキノコがありました。見たことあるような気がして調べてみると、シロキクラゲであることが分かりました。黒いキクラゲは私の大好物。林道にあるキノコを食べることは躊躇してしまいますが、いつか食べてみたいと思います。

観察ポイント④
林道の階段を駆け上がっていくと、そこには森林と草地の境目の部分にたどり着きます。この場所で興味を持った生物が、薄紅色のキノコ。紅色の鮮やかなキノコは、おいしそうに見えても毒キノコだと思い、じっくり観察しました。直接触らないように木の枝でつついてみると、思ったよりもちぎれやすいキノコだと思いました。毒キノコと食用キノコを見分けるポイントの1つであるのか疑問に感じました。

観察ポイント⑤
キノコが私の想像よりも多いと感じながら歩いていると、私がキノコ図鑑でいつか見てみたいと思っていたキノコを見つけました。それがベニテングダケ。作り物かと思うくらいきれいな赤い色で驚きました。ただ、特徴である白い点がありません。雨に落ちるとか。毒があるけれど食べられるらしい。ただ、キノコの種類を特定することはかなり難しいと聞いています。今は食べるのをやめておこうと思います。

観察ポイント⑥
アジサイが咲く時期になると観光客に大人気な太平山神社まであと少し。疲れた足をいたわりながらゆっくり林道を歩いていると、図鑑で見たことのあるキノコを発見。タマゴタケでした。白い皮のようなものに包まれて、今まで見たことのあるキノコとは少し様子が異なっていました。生育途中のようで、生まれたての子どものように見えました。これからどのように成長していくか観察したいと思います。

観察ポイント⑦
太平山神社で休憩した後は、下り坂になります。舗装されている道路ではありますが、少しずつ樹木で生い茂っている景色が見られます。舗装された道路を下っていくと、たくさんの朽木がありました。登っているときと異なる生き物がいないか、辺りを調べているとかなり目立つ紺色の形が様々なキノコが生えていました。これらの朽木には、緑のコケがびっしりと生えていることもあって特に目立っていました。

観察ポイント⑧
さらに下っていくと学校林の周辺につきました。コケに覆われた創立記念の石碑と共に伐採されたスギやヒノキの丸太が転がっていました。シダが林床で生い茂り、私が太平山を登るときに絶好の休憩ポイントだと私は勝手に指定しています。ヒノキゴケがきれいだなと思っている矢先、巨大ななめこと見違えるキノコを見つけました。よくよく調べてみるとなめこではありません。触ってみると柔らかく見た目が丸くてかわいく見えました。

観察ポイント⑨
サクラ並木通りに入りました。ここは、4月になると地元住民や観光客で毎年にぎわいます。サクラの根元を見ると、腐っていたりキノコが生えていたり。いつまできれいなサクラを見ることができるのだろうか。私は、少しだけ悲しい気分になりました。そんな時、白いガが飛んできました。それが、シロツバメエダシャク。プミラの新芽に卵を産む害虫だそうです。そんなことも知らないで私は見とれていました。

観察ポイント⑩
学校のそばを流れる永野川で、鳥が魚を狙っている様子を見かけました。普段はアオサギやシラサギを見かける永野川で青い色をした鳥を見つけました。それがカワセミ。すごくきれいな水質の中でしか生息していないと思っていたが、目の前で魚を捕食する様子を見ることができました。今でも本当に見たのか自信がないくらい。私の学校のまわりにカワセミが生息していると思うと嬉しくなりました。

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