応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第36回 高校生の部

出合い求めて道草歩めば ~縁緑の森 次郎長~

福田 太一

静岡県
KTCおおぞら高等学院
高校1年生

全体説明

私は、様々な動植物と出合った昆虫採集の道をご紹介します。ここは、富士山の麓、春夏秋冬様々な動植物達が、季節によって違う顔を見せてくれるそんな道です。私は生き物観察をして行く中で、生き物達の生命を身近で感じ取る事が出来るのは、やはり季節ごとの到来だと思いました。春になると、薄紫色の花を持つミツバツツジが咲き、寒い冬を越した生き物達は目を覚ます。初夏になれば、キジの若い雄同士が縄張り争いをして、その鮮やかな羽を、大きく振る舞う。秋には、ヒガン花やススキ、クリやアケビなど、紅葉や季節の旬や変わり目を感じる事が出来たり、冬に近づけば、葉を落したクヌギやコナラの木から「コツコツ」とキツツキが木をつつく音が聞こえて来る。季節が変わって行く事によって様々な生き物達と出合える近所の観察路です。

観察ポイントごとの説明

ポイント① スギ林で鳴く虫
夏になり、夕暮れが近づくにつれ、深い山々から、「カナカナカナ」と一日の終りを告げる、ヒグラシの声がして来る。涼しい風と共に聞えて来るヒグラシの声は、夏の暑さを忘れさせる夏の風物詩だ。ヒグラシ達が鳴く深い山は、スギ林が多い、スギの木に付くヒグラシは、スギ林の風景に溶け込み、スギ林が鳴いている様だ。

ポイント② 国鳥と蝶のランチ
日本の国鳥として、壱万円札の裏に出るほど、親しみ深いキジ、初夏になると、雄同士の縄張り争いなどを見る事が出来、体全体の鮮やかな色と、激しい動きに、国鳥たる所以を深々と感じ取る事が出来る。淡いもも色をした、明るく美しい色を持つツツジ、この花は様々な昆虫が蜜を求めて飛来して来る。その中には、羽に青く光沢の鱗粉を乗せたカラスアゲハなど美しい蝶も来る。

ポイント③ 冬の働き者
コナラやクヌギが葉を落とし、澄んで乾いた空気の空に、「コツコツ」とテンポ良く、木をつ突く小さな大工がいた。音はコナラ林の、あちこちから聞こえて来る。枝先ではコゲラが、木の幹ではアオゲラが、良い場所を見つける為に、つ突き回っている。音は澄んだ青い空に、余韻を残しながら響き、その場はもの悲しさと、切ない空間となる。

ポイント④ 夏の風物詩とつる植物
暑い季節、一段と笑顔を絶やさない花がある。ひまわりだ。夏になり、ヒマワリを植えてある場所で、明るく太陽の様な笑顔を、美しく咲かせている。そんなひまわりに、絡み付いた植物は、夏の終りに茶色の実をしたムカゴを付ける。夏の間コナラやクヌギを蹴るとクワガタが落ちて来る。ノコギリクワガタは多くの人が知っているクワガタでもある。

ポイント⑤ 陸と水中
梅雨に入り、近所の池で、ハイイロゲンゴロウの姿を見る。ゲンゴロウは、水生昆虫と呼ばれ、水の中で生活をする昆虫だ。普段目かけない昆虫を見ると、とても嬉しい気分になる。
地の上を走り回る昆虫を見かけた。体全体が、赤黒いメタリックな色をしている。この昆虫は、ヒメオサムシと呼ばれ、羽が退化して羽べない。色が様々で、赤黒いメタリックな色から緑のメタリック色をした個体もいる。

ポイント⑥ クヌギの酒場
梅雨明け頃クヌギの森から、甘酸っぱい匂いがして来る。樹木に近づくと、多くの昆虫が甘酸っぱい匂いに引き寄せられ、夢中で樹液を吸っている。カナブンは、緑から赤、黒茶色まで、様々だ。スズメバチも、樹液を吸いに来た昆虫だ、黄色と黒の縞模様はハチ独特の危なさを感じる。木の隙間にはヒラタクワガタがいた。大アゴが印象的で、ノコギリクワガタとは違った黒いボディをしている。

ポイント⑦ 昼と夜の動と静
昼間は、セミ中で一番早く羽化するニイニイゼミが鳴いている。鳴き声につられる様にツクツクボウシも鳴き始めた。辺りが暗闇に溶け込み始めた頃、羽音も立てず黒いツバメの様な影が飛び回る。街灯に集まった小さな昆虫を食べに来たコウモリだ、古い家が多い為、アブラコウモリが数多く住んでいる。

ポイント⑧ 草花と食す者
道端のフェンスや空き地に生えるヤブガラシ、立秋になると、小さいキンモクセイの様な花を咲かせ、ハチなどが、蜜を求めて飛んで来る。田畑の害獣として知られているシカ、シカは、出て来て、畑を荒して行く、人と目が合うと、しばらく固まった後逃げてゆく。五月中旬から、六月にかけ、山アジサイが咲く、アジサイは、青いアジサイが多く見られとても美しい。

ポイント⑨ 紫の脇道
林道には、ミツバツツジの花が咲き誇る。花は五枚の花弁からなり、薄紫色の物から、濃いピンクの物まである。冬を越したメジロやヒヨドリは、この時を狙っていたかの様に飛んで来る。メジロは、色が緑茶の様な黄緑色をしている。大きさは、十二センチ程度の小さい鳥だ。

ポイント⑩ 香る白花
秋が深まると、山ユリの花が、道端に頭を垂れる様に咲き始める。開いた花は、白と黄色が特長的で、白の花弁に黄色いラインが何本も通り、ユリに明るさを感じた。花が数多く咲いている所では、花からほのかに甘い香りがして来る。白くて美しい山ユリは、香りを楽しめたり、目で見て美しさを感じたり出来る。

ポイント⑪ 花のカーテンと神社
公会堂と神社は祭り場でもあり、みんなの憩の場である。神社内では、ふじの花が植えられており、五月中旬花が咲くとふじの花を見に行く。ふじの花は、ぶどうの様な房状となる為、しだれ桜の様に間近で見る事が出来る。花には、クマバチが蜜を求め飛んで来たり、秋にはアキアカネが集団となって飛び回る様になる。

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