応募期間

今年の募集は終了しました。ご応募ありがとうございました。

受賞作品一覧
優秀賞
第30回 高校生の部

鳥の小道

村留梨花

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

兵庫県宍粟市千種町千草は昔、ツチノコ出没地として有名となったほど、自然豊かで、流れている千種川も澄んだ水の中に、メダカやカニが見えるほどです。夜には、街灯や木にとまったカブトムシやクワガタが見え、山に入ると、鹿やタヌキ、イノシシを見ることができます。その中でも私は、夕暮れ時に空に響くトビの声や電線に群れで止まっているツバメ、姿は見えなくても、それぞれに美しく鳴いている鳥たちに目を向けてみました。激しく流れる千種川のほとりには尾を上下に振り歩くセキレイたちや、夜にエサを求めてやってくるゴイサギ、深い緑の山には、鮮やかな色のヤマガラや、枝に仲よく止まっているメジロや急しそうに飛び回るワインレッドの腹をもつエナガなど、目と耳でたくさんの鳥たちに出会うことができました。今度は私街地の鳥たちにも見を向けてみたいと思いました。

観察ポイントごとの説明

1. スタート地点のすぐ近く、チュピーとするどく鳴く声が聞こえます。しかも、たくさん。見上げると、民家の軒下でツバメのヒナが親鳥にエサをねだっています。黒いスマートな体にレンガ色ののどをもった親鳥は急しそうにヒナへとエサを運びます。町中でも見えるこの光景は夏を知らせる風物詩ですね。よく見ると他にも巣があった跡が。虫がとれる川の近くにあるこの家の幹下は、ツバメの親子たちの特等席のようです。

 

2. 橋の下から川をのぞくと、黒くて長い尾を上下にゆらし、いそがしそうに川の浅瀬を歩く、ハクセキレイがいます。白黒の翼に黒い胸、白い顔には眼をつき突ける黒い線の模様がりりしく、チュンチュンと鳴きながら身軽に飛び回ります。町の水さな川や公園の水辺でも見ることができ、近傾では駅前のビルの窓枠など、にぎやかなところにもすみかをつくる、都会でも見ることのできる鳥です。普通に道路なんかも歩いていますね。

 

3. ハクセキレイを眺めていると、後ろからチチン、チチン、と可愛い声が。見てみると、ハクセキレイよりもややスマートな感じで、おなかの色が鮮やかな黄色で、灰色の顔をもったキセキレイです。渓流や河川、夏には山奥の細い流れにも住み、鳴き声と見た目以外はハクセキレイやセグロセキレイとほぼ同じでこちらも水辺でエサを深しているようです。

近づくと、ひらひらと上みたいに軽く飛んで行ってしまいました。

 

4. 森と川の間の小道を進むと、低木のてっぺんで、よく通る澄んだ声でチチチッ、チチッと2回ずつさえずる小鳥がいます。ホオジロです。名前の通り、ほおが白く、赤茶色の腹にこげ茶をもっと暗くしたような色の頭でスズメにそっくりです。違いは民家の方には住まず、暗くない林や畑の周辺でよく見られることです。木の上で胸を張ってチッチとさえずる、スズメと見まちがえそうな、すこし難しい小鳥ですね。

 

5. はるか上空でゆっくりとまわっている大きな鳥がいます。ピーヒョロロ―という独特な鳴き声から、それがトビであることを示しています。全身こげ茶で、翼には左右対称の淡色の点があり、尾はバチの形をしています。くちばしから尾まで60センチほどもある、大柄な体で、羽ばたきをせずにゆうがに空を舞う姿は、自然の中に生きる威厳と自由さを現しているようで、ずっと眺めていられるようです。

 

6. 鮮やかな青と白の翼に、はげているような頭、するどく光る目つきが特微的なハトくらいの大きさの鳥がこちらを見つめています。カケスです。林の上をふわふわとゆっくり飛び、鳴き声はジェー、ジェーッと濁っているようで、見つけることに苦労はしません。日本の身近なところに、こんな鮮かな鳥がいることに驚きました。もしかすると身の周りをよく見ていると意外と隣で羽ばたいているのかもしれません。

 

7. 電線の上に、ゴマのようなものが、たくさんひっついています。短い尾に、白い腰と腹、黒い背中は、イワツバメです。朝と夕方に大量のイワツバメが飛ぶのはなかなかの迫力です。ツバメよりもふっくらしていて、建物や洞窟に集団で、深いどんぶりの形の巣をつくります。ジュルルッ、チョビッで大勢で鳴き合う姿は何とも仲むつまじいようで、気持ちがほっこりしてきます。その間にも電線のゴマ粒はどんどん増えていきます。

 

8. 川のそばの畑に、くすんだ黄緑色が動いています。カワラヒワです。全体にスズメよりふとく、大きく短い口ばしをもっています。飛びながらキリキリコロと鳴き、翼の黄色がチラチラとすけて見えるところはとても美しく、木のてっぺんに止まり、キリコロの合間に入れるピィーンやピィーッという鳴き声も愛きょうを感じます。畑で遊んでいたカワラヒワもカメラのシャッター音に驚き、キリキリコロと別れを告げられてしまいました。

 

9. 歩いていると、目の前をすばやく通り抜ける緑と青のもようが。頭に黒い幅子をかぶり、白いほっぺ、首から胸にはネクタイをたらしたようなはっきりとした特微があり、ジュクジュクジィク、チーチーチ、ツツピンツツピンなどいろんな声で話してきます。山の林以外にも公園や市街地でもお見にかかれる小鳥で、巣箱をかけておくとよく入ってくれるそう。今度見るときは、都会で会えたらいいですね。

 

10. 長―いしっぽに、ワインレッドのお腹、群れでちょこまかと急しく動きます。カメラが追いつけないくらい。大きさもスズメよりも小さく見えるこの可愛らしい鳥はエナガです。名前の由来もヒシャクの柄のような長い尾から来たそうです。鳴き声はツーツーまたはジュルルッと小さくおしとやかに鳴きます。

北海道のエナガには目の上の黒いラインがないそう。そんなことを言っている間に、もういなくなってしまいました。

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