日野の宝・達目洞
杉原 理沙
大阪府
関西創価高等学校
高校1年生
全体説明
私の住む日野には、達目洞という場所があります。金華山の東山麓に位置しています。
達目洞には、金華山からの湧水を水源とする逆川が流れ、絶滅危惧種のヒメコウホネが見られます。それでも、柵で囲ってあるなど、散歩制限もされていないので、小学校の頃は、よく遊びに来ていました。
達目洞には他にも、珍しい植物や昆虫がたくさん生息しており、大変ひきつけられた記憶がありました。小学校以来訪れていなかったので、久しぶりに訪れてみたところ、ヒメコウホネは変わらずきれいに咲いており、地域の人たちの手によって守られ続けているのだと、改めて感じることができました。
観察ポイントごとの説明
①達目洞の入り口まで来ると、私と妹の会話がかき消されるくらいアブラゼミの鳴き声が聞こえてきました。当たり前に手に取っていたアブラゼミですが、褐色で不透明な翅を持つ、アブラゼミは世界でも珍しいそうです。
②ノリウツギの群落を見つけました。美しい、白い花が咲き誇り、とても迫力がありました。
ノリウツギの蜜を求めてきたのか、ハナムグリがたくさん集まっていました。ノリウツギにとって、ハナムグリは花粉を運んでくれる大切な存在であるので、お互いに助け合いながら生きているのだと感じました。
③川の近くでウスバキトンボの大群が上空を飛び回っていました。一緒に行動するというより、個々で自由に飛び回っていました。目で追いかけようとしてもすぐに見失うくらい、方向転換が速いです。どこかに止まって休むという姿も見られませんでした。
④アメリカセンダングサという外来種を見つけました。これは要注意外来生物リストに載っていました。外来種は、在来種や希少種などとの競合・駆逐のおそれがあります。達目洞の昔ながらの自然を破壊しないためにも、外来種はできるだけ取り除きたいです。妹と二本抜いときました。
⑤おもしろい形の植物がありました。カラスビシャクです。大きさは30cm~50cmほどで、緑色の細い仏炎苞、そこから伸び上がる付属体が特徴的です。感じで書くと烏柄杓で、この仏炎苞の形を柄杓に例えて、烏が使うくらいの大きさだからというのが名の由来であるそうです。
達目洞の木道散策路のある場所から金華山の登山道へ行く道にキツネノカミソリが咲いていました。葉の形がカミソリに似ていることが名の由来だそうです。
⑥春の七草の一つでもあるホトケノザが見られました。その近くには、ヒノキ林の中にある妙見宮がありました。ここは一六五九年に臼井岩入に建立し、現在は岩入氏から臼井家の方たちに引きつがれながら守られています。
⑦モチツツジが見られました。花期は3~5月なので、散歩の時は見られませんでしたが、5月頃はピンクの鮮やかな花が見られます。
⑧ヒューイ、ピョーイ、フィフィピリフィフィピ多彩な鳴き声が聞こえてきました。キビタキという名の渡り鳥です。
⑨逆川の中にいくつかヒメコウホネが可憐な黄色い花を咲かせていました。ヒメコウホネには「東海型」と「西日本型」があり、達目洞のヒメコウホネは「東海型」です。東海型は全国で2ヶ所しか生育しないので、とても貴重です。発見されてから20年以上、地域の人たちの努力によって守られていることにとても感動しました。
⑩逆川にどじょう、本メダカ、アブラハヤなどの魚やサワガニが見られました。これらの生物は水がきれいなところでしか生息できません。調べたところ、達目洞(逆川上流)は「名水百選」に加え、「平成名水百選」にも選定されているくらいなので納得できました。確かに小さい頃、6月にはよくホタルを見に行ったものでした。