わたしの思い出さんぽ道
金澤 さゆり
愛知県
愛知県立岡崎高等学校
高校2年生
全体説明
私が済む坂崎地区は自然豊かな幸田町の中でも特に美しい自然が残る地域である。この道は保育園生の時から何度も散歩した道だ。相見川沿いの林の中の道は特に思い出深い。自然の生命力や神秘的な雰囲気を感じることのできるその林を、友達の間では「妖精の森」と呼んでよく探検に行ったものだった。しかし中学入学以降行かなくなっていた。自然観察路の場所を考えていた時この道のことを思い出し、即決定した。実際に訪れてみると懐かしい自然に再会出来た。けれど変化した部分もあった。外来種のミシシッピアカミミガメは以前はいなかったし、林の中は暗くなったように感じた。時を経て環境が変わるのは当たり前だが、人間の手によって自然が失われてしまうのは悲しいと改めて思った。これからも時間を見つけてここを訪れ、自然の大切さを忘れぬようにしたい。
観察ポイントごとの説明
エリア①住宅
グラウンドや住宅があり、野生の植物が生えることのできる面積はわずかと思われるが、日当たりが良いので、土屋水が少ない環境でも生育可能だという、スズメノヒエやメヒシバなどの単子葉類が見られた。また、住宅と塀の間に巣を作って生活しているコガネグモを発見した。美しい円網、黄色と黒のはっきりした模様、糸を出す部分である赤色の糸いぼが近くから観察できた。昆虫などの獲物がたくさん通りがかるのだろう。
エリア②日陰
混交林の中を道が通っているため、木漏れ日が当たるところもあるがほとんどが日陰である。半日陰に生えるというドクダミ、帰化植物であるヨウシュヤマゴボウ、道端に多く生えるというツユクサが見られた。ヨウシュヤマゴボウはエリア⑤でも発見されたが、こちらは日当たりが悪いので発育が遅れているのであろう、エリア⑤のものには実がつき茎が桃色をしていたのに対し、花がまだつぼみで茎は黄緑色をしていた。
エリア③セミ
道の曲がり角に立っている電柱にセミが止まっているのを発見した。私の背より高いところではあったが、比較的低いところに止まって鳴いていたので肉眼でも形がはっきりと見えた。シャアシャアという鳴き声、透き通っている羽やからだの大きさなどからクマゼミだと考えられた。セミの声はどのエリアからも確認することができ、鳴き声から、この辺りにはアブラゼミ、ツクツクホウシなどがいると推測できた。
エリア④林と畑
左側は林、右側は畑という道である。畑には何も生えておらず耕されて整えられているという感じであった。カラスが十数匹ほど畑の上を歩き回りながらエサを探しているようだった。歩き方、鳴き方、嘴の形などからハシボソカラスであったと考えられる。林には何種類もの植物が生えていた。木にはクリやウラジロガシ、クスノキなどがあり、これらの実は秋に成熟する。今はまだ青く小さな実をつけていた。
エリア⑤野の花
道の右側の畑のちょっとした空き地にたくさんの植物が茂っているのを発見した。セイタカアワダチソウ、アキノエノコログサ、コセンダングサなどである。セイタカアワダチソウの花はまだ咲いていなかったが秋になると絵地図に描いたように黄色の花をつける。アキノエノコログサはエノコログサより稲が大きく、垂れ下がっているのが特徴である。道の左側で発見されたヨウシュヤマゴボウは実をつけていて、すでい熟して紫色になっているものもあった。
エリア⑥オオバコ
混交林の中を通る道で日当たりは良くなく昼間でも薄暗い。川沿いのせいか同じように林の中の道であるエリア②、③よりも涼しく感じられる。この道はコンクリートで固められていないため、道中にオオバコが生えていた。オオバコは草丈が十~四十センチメートルと比較的低いので他の植物との競争には弱そうだが、踏まれた固い土でも生育できるので、このように道の上に生えているのであろう。
エリア⑦カメ
頭部に赤い筋の入ったカメを発見。目と鼻を水面に出した姿勢でじっとしていた。近づくとこちらに気づいたのか川底へ潜ってしまった。調べてみるとミシシッピアカミミガメと判明した。元々日本には生息しておらず、ペットとして飼われていたものが捨てられたり逃げ出したりして問題になっている通称ミドリガメと呼ばれるカメだそうだ。これが元々日本にいたクサガメやニホンイシガメの卵を食べてしまうのだという。
エリア⑧林をぬけて
林をぬけるとまたコンクリートの道となる。周りに建物がないため日当たりはとても良い。川にはヒシやヨシが見られた。トンボが何匹も飛んでいたがほとんどがシオカラトンボで、交尾しているものも発見した。交ざってアキアカネもいた。道沿いにはエノコログサなどの単子葉類が生えていたため、それを食べるショウリョウバッタなどのバッタがたくさんいた。ハルジオンはヒメジョオンとよく似ているが花や茎の様子から判断した。
エリア⑨クズ
日当たりはとても良い。道の左側にはセイヨウタンポポ、カタバミ、よもぎ、セイタカアワダチソウなどが、左側にはクズなどが生えていた。クズは元々日本にあった植物であり無害だが、アメリカでは日本から移入したクズが増えすぎて問題となっているそうだ。田舎へ行けば必ず見かけるというくらいよく繁殖するクズはアメリカでは他の植物を枯らしてしまうほど茂ってしまい有害になってしまったのだ。
エリア⑩ツル
住宅はあるが日当たりは良い。ツル植物であるヘクソカズラやヤブガラシが地面をはうようにして生えていた。絵地図には描かなかったが、ヤブガラシにはマメコガネが何匹もいた。調べてみるとマメコガネじゃ植物の葉を食べるようなので、見た時はよくわからなかったが、ヤブガラシの葉を食べていたのかもしれない。その他にハナアブやアゲハ、ヤブカなどの昆虫が多く発見された。これらの虫がエリア①のコガネグモのえさとなっているのだろう。