夏の日の朝~歩こう~
玉田朱
兵庫県
兵庫県立北条高等学校
高校1年生
全体説明
ここは三重県志摩市にある志摩市ともやま公園の遊歩道の一部です。ともやま公園は伊勢志摩国立公園の中央部に位置しています。三方があご湾に囲まれた自然公園です。園内にはいくつかの展望台があり、各展望台からは、静かな海とたくさんの無人島が見られる風光明媚な名所として知られています。また、昔から自然と人との営みとがうまく調和してきた公園でもあります。
このコースは全長が約3キロメートルほどです。遊歩道は全て舗装されています。ウォーキングロードとなっているので周囲には自然のままの森が広がっていたり、潮の香りがしたり、私も幼い頃よく遊んでいた子供広場などがあります。いくつか丘を登ったり、降りたりとコースを一周し、スタート地点に戻るころには出発時間から2時間ほど経っていました。
観察ポイントごとの説明
(1)
子供広場入口付近。ここには北海道から九州、韓国等に分布しているサルトリイバラが多く生息していた。他のマツの木や低木にからみつきながらはえていた。近年では森林の減少に伴いすこしずつ数が減っているそうだからこの公園では至るところで見かけることができた。サルトリイバラは柏餅のカシワの代用として地域の人々に愛用されている。祖母に柏餅の葉はこれだとよく教えてもらっていた。
(2)
長い坂を登りきった先にある天文台。その近くでツユクサが咲いていた。早朝五時頃に開花し、ほぼ午前中には閉じてしまうこの花。私がツユクサを発見したのは、早朝六時前。朝早くから観察に来てよかったと思わせ、また眠気も飛んでゆく程花弁のあざやかな青色は、小さいながらにして緑色の森林の中でひときわ輝きを放ち、大きな存在感だった。
(3)
ゆるやかなか下り坂。その右側には芝生が植えられている。小さな花の咲いている草や、花の咲かない草が芝生にまじえて生えていた。そんな中、池の近くで小さな黄色い花をつけた草、キツネノボタンを発見した。農業用水路やため池などに昔はよく生息していたそうだが最近は少なくなっている。この池もコンクリートで三方を囲まれているためかたくさんとまでは見つけられなかった。黄色の小さな花がぽつんと咲いているだけだった。
(4)
大きな池と小さな池。その間にはまだ若い緑色があざやかなアラカシという種類のドングリがありました。この公園は秋に来るときは必ずといってもよいほど袋を持っていっては袋いっぱいにドングリをつめて持って帰った幼い頃の記憶がある。まだ若い緑色の実と葉を見ると夏を感じた。この木はよく生け垣に使用されることが多く、園内でもたまに目にする。
(5)
池の向こう側にひときわ目立つ色をしている大きな花が一輪咲いていた。ハマカンゾウはとてもキレイなオレンジ色をしていて周囲の朝の静けさを感じさせていなかった。この池の周辺にはコオロギやトカゲ、カマキリやアカテガニのような森のカニも集まってきていた。このポイントだけは他のポイントはかなり違うパーティーのような雰囲気を出していた。
(6)
くるりと池を一周した所。ここには多くのツワブキが生えそろっていた。常緑の植物であるだけに緑は濃かった。10~12月にツワブキの花が咲くためには生まだ咲いていなかった。同じ池を一周しただけだったがコオロギなどポイント5の生物は確認できなかった。まわりも新緑。きれいな緑色にかこまれながら一層濃い緑色を放っていました。
(7)
車が走ることのできる道路に入る手前。ここはだいぶん整備されていた。芝生も美しく生えているし、人の手が少し加えられていた。そんななか大きく長い葉をしたハマオモトが生えていた。葉は長く肉厚でした。公園や日あたりのよい場所を好みさらには、温暖な海浜でしか見られないこの植物。まさにここは丁度の生育地であると私は思った。
(8)
道路を歩くこと15分程の場所。両側には緑の茂る森林が広がっていた。朝日に照らされて一本の木が目についた。トベラ。常緑の低木で高さは数メートル。道路や公園の緑化のために植えられることも多い植物。これが自然のなかにはえていた。朝日に照らされたあの美しい黄緑。低木ながらにしてとても大きく感じた。葉は枝の先端部にあつまっているので朝日をあびる姿はなんとも言えぬ美しさだった。
(9)
道路からあぜ道へ入ってみた。そこにはポイント8とは別世界があった。小さな草たちが茂っていた。8のように大きな木が茂っているのではなく陰になっている所で草がのびのびと生活しているようだった。そこにみつけたイヌタデ。ピンク色の花が可愛らしいこの草は緑色の草が茂るなかでのアイドルのようなオーラを放っていた。みつけた瞬間、おもわず「あ…」と声に出して驚いてしまった。
(10)
再び道路に出て出発地点へ戻る。その道の両側は低木が茂っていた。そんななかついに白い花、クチナシをみつけた。遊歩道の中ではクチナシの実を見ることしかできなかった。初夏に芳香を放つ純白のクチナシを見つけたときは見とれてしまう程だった。緑に囲まれたなかの純白もなかなか目立ち、きりりとしていてより緑を目立たせてくれる存在のようだった。