応募期間

今年の募集は2025年6月1日 (日)から開始します。

受賞作品一覧
入選
第42回 団体の部

奈良と京都の県境 歌姫山散策マップ

奈良高校 四人十色 (高校2年生4名)

奈良県
奈良県立奈良高等学校
高校2年生

全体説明

ここは、奈良と京都の県境の丘陵地です。歌姫山という標高106.9の小さい山があります。山頂には二等三角点があります。この山を含めたあたりは、平城第二号公園(朱雀ふれあい公園)として整備されています。地図で見ると、宅地開発のときにできたであろう真四角に区切られた公園だとわかります。でも侮るなかれ。昔の丘陵帯の起伏や森の一部がそのまま残され、周囲が住宅地であるにもかかわらず、さまざまな樹木があり四季折々の花が咲き、野鳥が飛び交う素敵な公園になっています。地域の方々によって整備されており、テニスコートや大きな遊具もあり、子どもを遊ばせる人、犬の散歩をする人、散策をする人などが日々訪れています。いい感じです。私たちの奈良高校は、この公園の隣にあります。公園からやってくるのでしょうか。学校の中でも多くの野鳥や昆虫を見ることができます。奈良高校の正門から歌姫山まで歩きましょう。

観察ポイントごとの説明

<1メタセコイアの並木道>

生きている化石として知られるメタセコイア。公園と学校のあいだがメタセコイアの並木道になっているので、これは植えられたものだと思います。かなり高く成長しており、春から夏の黄緑色の葉も、晩秋のうす茶色の葉もきれいです。秋にはたくさんの実が落ちています。おもしろい形をしているので、アート作品に使えるかもしれません。

<2コナラの林>

公園内にはコナラの木がたくさんあります。コナラのあるところは明るい林になっています。秋には、ものすごい数のドングリが落ちています。落ちたまま減るようすがないので、公園にはコナラのドングリを食べる動物がいないのかもしれません。ドングリの形が周囲のアラカシやシラカシとはちがって細長く大きいので、コナラのドングリだとわかります。

<3コデマリとホシミスジ>

コデマリは四月頃、白い花を咲かせます。花は、小さい花が数個から二十個くらい集まって、球状になっています。公園では、アオスジアゲハ・キチョウ・ツマグロヒョウモン・ウラギンシジミなどの蝶をよく見ます。ホシミスジという蝶の幼虫はコデマリの葉を食べるので、このあたりではホシミスジが飛び、地面で水を吸う姿が見られます。

<4マツムシが鳴いている>

夏の終わりから秋にかけての夕方、ススキなどの草むらの中で、マツムシの声がします。鳴いている虫が何かを鳴き声で判断するのは難しいですが、マツムシの「チンチロリン」という声はわかりやすいです。他の場所では声を聞くことが少ないので、この公園はマツムシにとっていい環境なのではないでしょうか。芝生でも何か鳴いています。スズの仲間でしょうか。

<5カワラヒワの巣づくり>

ヤマモモの木がたくさんあります。学校の昇降口にも大きなヤマモモの木があって、このあたりでカワラヒワが巣をつくります。小さい鳥ですが、鳴き声が特徴的で、注意深く観察するとたくさんいることに気づきます。くちばしが丈夫で、堅い実を割ることができるようです。夏には公園に植えられたヒマワリの種を、冬にはサルスベリの実を食べるようすを、近くで見ることもできます。

<6ナンキンハゼの白い種子>

公園によく植えられているナンキンハゼがここでも見られ、秋に実る白い種子を食べに、シジュウカラ・メジロ・エナガ・キジバトなどがやってきます。一番多く食べているのはキジバトのようです。食べるのに夢中なので近くで観察することができます。他にもナンキンハゼの木に止まる鳥はいますが、この実を食べない、好きでない鳥もいるようです。

<7イソヒヨドリとコシアカツバメ>

奈良高校側で見られる野鳥がいます。イソヒヨドリとコシアカツバメです。イソヒヨドリはオスがよく校舎の屋上の縁に止まって、いい声で鳴いています。オスは赤と青の美しい姿をしており、よく目立ちます。公園側からも見えます。中庭の軒下に巣をつくります。昇降口にはコシアカツバメが巣をつくります。人が多いからか、今年は巣づくりをあきらめたようです。また来てほしいものです。

<8アラカシとシラカシの林>

アラカシとシラカシは常緑のドングリの木なので、薄暗い林になっています。冬には、シジュウカラ・ヤマガラ・エナガ・コゲラ・メジロの混群が見られます。数は少ないですが、冬にイカル・シメ・トラツグミ・シロハラが見られるのもこのあたりです。ヤマガラがドングリを咥えているのを見たことがありますが、他にはドングリを食べるような動物はいないようです。

<9ツバキの花の蜜>

ヤブツバキがたくさんあり、冬から春にかけて、長いあいだ赤く大きな花を咲かせています。メジロはツバキの蜜が好きなようで、花にぶら下がっている姿がよく見られます。寒い時期は食べるものが少なくなるでしょうから、メジロにとってツバキはありがたい存在です。この公園で、メジロってたくさんいるんだなぁと気づきました。

<10ヒョウ柄の蝶―ツマグロヒョウモン>

公園内の花壇や学校のプランターには、パンジーが植えられ、幼虫がパンジーの葉を食べるツマグロヒョウモンが多数見られます。ヒョウ柄の美しい蝶です。幼虫は少々カラフルで、独特の姿をしています。さなぎになる場所を探しているのか、大きい幼虫が地面を歩いているところを見ますが、正体を知らない人は驚いてしまいますね。

<11ケヤキの木の下は明るくて気持ちがいい>

ケヤキは、街路樹や公園の木としてよく見られます。この公園にも大きなケヤキの木がたくさんあって、春から秋は薄い黄緑の葉がほどよく明るい日陰をつくります。木製のベンチやテーブルがいくつもあって、休憩したり、お弁当を食べるのにいい場所になっています。すべり台やジャングルジムなどの大型の遊具もあって、子どもたちが楽しめそうです。

<12ツバメの巣がいっぱい>

地元の方々の活動だと思いますが、公園のトイレには、ツバメが巣をつくりやすいように、壁や天井に板や箱が取りつけられています。春から夏、いくつもの巣がつくられて、多くのツバメガ飛び交っています。この公園から南に4㎞ほどのところに平城宮跡があります。平城宮跡は、夏休み頃の夕方、6万羽ものツバメガ集まることで知られています。

<13チョウゲンボウ>

上空の開けたところから歌姫山を見ると、チョウゲンボウが飛んでいることがあります。たびたび見られるので、このあたりに生息しているものと思われます。公園と学校の間の道に沿って、学校側にサクラが植えられています。そこでスズメを追いかけるチョウゲンボウを見たこともあります。町中でタカの仲間が見られるのは驚きで、誰かに教えてあげたいです。

<14池があります>

公園の中程には池があります。今年は水が涸れていましたが、本来はトンボがいるはずです。この公園の近くには大きな池や巨大な古墳が多数あり、そこからトンボがやってくるのではないでしょうか。奈良高校のプールでは、今年、ギンヤンマ・ウスバキトンボ・ショウジョウトンボ・シオカラトンボ・チョウトンボが見られました。

<15スダジイの木>

生物の教科書に照葉樹林の植物として紹介されているスダジイの木が、この公園にも二本だけあります。おそらくこの場所の本来の森に多かった植物なのではないでしょうか。スダジイのドングリはそのままでも食べられると聞きましたが、実がなっているところを見たことがありません。おいしいらしいです。一度は食べてみたいです。

<16渡り鳥がやってくる>

スダジイの木を北側から見ると、その背後にコナラの多い明るい林があります。ここは歌姫山の北側斜面です。四月下旬、このあたりでキビタキやメボソムシクイの声を聞くことができます。わずかな滞在日数で通り過ぎるようで、今年はメボソムシクイの声は二日しか聞けませんでした。秋にはエゾビタキが見られることがあります。フライングキャッチをくりかえします。

<17歌姫山登山口>

テニスコートの西側に登山口があります。何も標識はありませんが、足下をよく見ると人の踏み跡があります。春ならモモツツジがたくさん咲いています。ササが茂り、コガネグモが巣を張っていることもありますが、気にせず進みます。時々地元の方々が草刈りをしてくださっているようです。蜂がいるときは気をつけないといけません。この公園では蜂が最も危険な生物かもしれません。

<18歌姫山に登る>

登山道の両側にはコナラの木がたくさんあります。前年の落葉がたくさん積もっています。滑らないように注意しながら、明るい林の中を登ると、あっという間に稜線に出ます。本当にあっという間です。ここから山頂まではほぼ平坦な道です。登山口から山頂までわずかな距離ですが、親切にも木の幹や枝に、登山道を外れないように目印のひもやテープがつけられています。昔の写真を見ると、三角点のある山頂部は開けていて、眺望もあったようです。現在の山頂は、コナラやササが高く茂っていします。山頂には三枚、歌姫山の標高を書いたプレートがありました。一枚は奈良高校の先輩がつけたものでした。山頂にいると、風が吹き抜けて、鳥の声がして、ここが住宅地に近い公園だとは思えない、いい感じです。

 

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