応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第38回 団体の部

中山寺~奥の院~参拝観察路

宝塚ゴテンヤマTwins(代表:山縣志帆・真帆)

兵庫県
小林聖心女子学院中学校
中学校1年生

全体説明

兵庫県宝塚市に安産の寺として有名な中山寺があります。本堂のある中山寺から参道(おじぞうさんが見守る)を登ると奥の院で、奥の院へのルートはいくつもあります。
私たちは2018.2.3~今日まで、自宅から一番近いルートで100回以上参拝しています。山道を歩くと、必ず何かに出会え、発見があります。その為、お年寄りが中心ですが、家族・保育園児・運動部の人・外国人と多くの人たちからも人気で、参拝されています。
そこでこの自然観察路は【3W】を意識しました。①When(いつでも・春夏秋冬)②Who(誰でも・老若男女)③WakuWaku(ワクワクを味わえるようレア度を☆の数で示す)
3年半、参拝・観察を続けて気づいた事は、身近に美しい自然があり、そこには普段見られない動植物が生活しているという事です。この自然豊かな美しい山道を、この先ずっと変わらず残さなくてはいけないと思います。

 

観察ポイントごとの説明

観察ポイント① 日の出スポット【☆】
日の出時刻は夏至に向かって早まり、夏至を過ぎ、冬至に向かって遅くなり、毎日約2分ずつ変化します。日の出時刻に合わせ入山すると、周りに木のない、見晴らしの良い丘から美しい朝日を見ることができます。当然、おすすめは、元日の初日の出です。知る人ぞ知る日の出スポットで、毎年近所の多くの方が集まります。

観察ポイント② 猪の足跡【☆☆☆】
2019.2.11宝塚市では珍しく雪が降り積もりました。雪化粧した山は美しく、私たちのお気に入りは冬の奥の院です。橋1.にうっすら雪が積もり、その表面に猪の足跡が残っていました。めったに降らない雪に猪も喜んで奥山から下山してきたのでしょう(毎日参拝ハイキングされている方によると、春先、スタート付近で餌を求めて下山した猪をよく見かけるそうです)。

観察ポイント③ 季節外れの山つつじとすみれ【!】
2019.1.30と2020年にも、 季節はずれに咲く山つつじとすみれを発見しました。本来、春に咲く花が秋~冬にかけて咲くのは地球温暖化の影響で、花たちが“自分たちの花を開花させる季節”を勘違いして咲いたのでしょう。
私たちが日々エコ活動を意識して過ごすしかないと痛感しています

観察ポイント④ うらじろ【通年】
シダ植物・常緑の多年草で、いつ行っても目に飛び込んできます。名前通り、葉の裏側は白です。休止芽で冬を越し、4~6月の2ヶ月間で、様々なポーズをとりながら芽を成長させ、立派な葉になります。2019.7.15は葉の裏に胞子嚢がついていることに気づき、自宅の顕微鏡で見ると3~4粒が集合してくっついていました。2019.8.4には 胞子嚢の膜が破裂し胞子が飛散していました。うらじろは、葉が2枚対になっていることから「夫婦円満」、葉の裏が白いことから「心が潔白」という意味を表し、お正月飾りのしめ縄や鏡餅に使用され活躍しています。
近年、正当なしめ縄よりもお洒落しめ縄やリースが流行しています。昔ながらのうらじろを使ったしめ縄の利用が減る中、この山でうらじろの群生を見て、持ち帰って「正月」という日本の伝統を継承していきたいです。

観察ポイント⑤ 笹ユリ【☆☆☆】
2020.6.6、2021.6.13に、この山では1年に1輪しか見られないレアなユリの花です。ユリ科・高さ50cm程度・一輪咲き・よく目にするユリと比べると茎は1/4程の細さ、名前の通り葉と茎は笹と極似です。山の中ではめずらしい色で、うすいピンク色の花はとても可愛らしいです 川の側で美しく咲いていました。

観察ポイント⑥ しば栗【☆】
2020.9.27お店で売っている栗より一回り小さい栗を拾いました。食べると甘かったです。A地点は細く背が高い木で小粒の栗、B地点は日当たりが良く立派な栗ができます。栗は人間にとって秋のお楽しみですが、森で暮らす猪や動物は夜に食べに来ているようで、食べた後の皮が散らばっています。人間が採り過ぎないようにし、動物から食料を奪わないようにしなければいけないと思いました。

観察ポイント⑦ ひみず【☆☆☆】
2020.4.19(死体2019.12.1)に、体長9~11㎝と、ネズミの体を持つモグラがチョコチョコと動いている所を発見しました。はじめはネズミだと思っていました。しかし顔の先端がモグラと同じで前に突き出していることから、自宅の図鑑で調べてみると、モグラの仲間のひみずだということが分かりました。毛は柔らかく墨色でとても可愛いです。

観察ポイント⑧ リス【☆☆】
2020.3.26に散策中、 リスに遭遇しました。
身近なこの山で、リスに出会えるとは思いもよらず驚きました。毎日参拝ハイキングをされている方によると、「なかなか出会えないのでラッキー」と言われ嬉しかったです。リスの動きは素早く、私たちの姿に気づくと木から木へと跳び移り、あっという間に姿を消しました。写真はしっぽだけ写っていました。

観察ポイント⑨ テン【☆☆☆】
2020.5.9、2021.4.3にすごい勢いで何かが走った!と思い、目で姿を追うとテンでした。イタチかな?と思いましたが、ある程度私たちとの距離がとれると安心したのか、こちらの様子をうかがっているところ、目が合いました。顔が黒かったので、イタチの仲間のテンだということがわかりました。体長30~40㎝くらいでカメラを向けると、うらじろの茂みに入り込み、姿を消しました。

観察ポイント⑩ イボテングタケ【☆☆】
2018.9.17真っ白な軸が際立つイボテングタケを見ました。鑑賞するにはgoodなキノコですが毒キノコです。白い軸の間に、軸を一周するような輪(つば)があります。傘は、グレー×茶色(グレージュ)で白いボツボツが見られます。
高さ10~12㎝、傘10㎝と、色・大きさともにバランスが良く美味しそうに見えますが、絶対に食べないで下さい!

観察ポイント⑪ カエンタケ【☆☆☆】
2018.9.17非常に強い毒キノコ・カエンタケを発見しました。この年、夏によく雨が降り、多くの種類のキノコを見ました。高さ7~8㎝で燃えさかる炎の形に、目立つ赤オレンジ色で、触れただけで指が腫れるという猛毒キノコです。キノコらしくないキノコで、もしカエンタケが海の中にあれば、赤い珊瑚と間違えるかもしれません。レア度・危険度ともにレベル3【☆☆☆】です!

観察ポイント⑫ カニ・オニヤンマ・カエル【☆】
カニ・・・雨降りの翌日や、川の石を持ち上げると見つかります。
オニヤンマ・・・一度しか見ていません。
タゴガエル・・・茶色のカエルです。日常では見かけない色で、大きさは4 cmくらいです。梅雨前後に必ず出会えます。

観察ポイント⑬ え!コアラ?猿?がいる!?【☆☆☆】
橋4.の手前に、高い木の上を見渡すと、5mほど上にこんもりとした「こぶ」ができている木が見つかります。一瞬、木の上にコアラか猿がしがみついている姿に見えます。長い年月をかけて生み出した自然の力は私たちを楽しませてくれます。どのようにして木の上に動物の後ろ姿のような形ができたのか、とても不思議です。

観察ポイント⑭ コゲラ【☆☆】
2019.3.14、2020.3.21に木をつついている姿を見ました。キツツキの仲間で一番小さいのがコゲラです。体長10~15㎝くらいで、白と黒の縞模様が目印です。トントンコツコツと木をたたく音が聴こえてきたら周囲を見渡して下さい。必ずコゲラが見つかります。留鳥なので1年中見られます。特に落葉後の冬山は、静かで木をたたく音が響きやすく出会える確率が高くなります。

観察ポイント⑮ ルリビタキ【☆☆☆】
冬から春にかけてこの山に来ます。私たちは、はっきりとルリビタキを見たことがありません。(写真を見せて頂きました)。毎日参拝ハイキングをしながら鳥の写真を撮っている鳥愛好家からも人気の鳥です。
ルリビタキの雄は青色の背中の羽に、お腹の部分に黄色が混ざる美しい鳥です。5~6年前からめっきり少なくなり、見る機会が減っているそうです。必ずこの目で見たいです。

観察ポイント⑯ 台風で倒れた木【!】
2018.9.4台風21号は、 近畿地方各地で大きな被害を受けました。この山でも2本の木が犠牲になりました。木の根がむき出しになっていても、周囲に張り巡らせた根の一部が生きることに力を注いでいる為、倒れても枯れずに今も2本の木は生きています。
今年も世界で災害が起きました。地球温暖化問題は常に意識して過ごしたいです。

観察ポイント⑰ 朴(ほお)【☆☆☆】
2020.5.22~24、2021.5.9、朴の木の花を見ました。落葉高木で、高さ20mくらいあります。葉は大きく(長さ20~50㎝ 幅10~25㎝) 枝に集まってつき花びらは9枚、花の大きさは両手を広げた程です。朝に開花、夕方にしぼみ、驚くほど良い香りがします。2~3日繰り返し、花びらの先が茶色くなると散ります。大きな葉も香りが良く、朴葉餅・朴葉寿司・朴葉味噌と郷土料理に使用されています。

観察ポイント⑱ マムシ【☆☆】
2019.10.12、 奥の院の清水が流れている場所でとぐろを巻いたマムシに出くわしました。びっくりしましたが、こちらが何もしなければ、じっとしているので写真を撮ることができました。体調60~70cmで、体の幅は3~4㎝と太いです。私たちが少し近づいても逃げない様子から「強さ」がみなぎっていると思いました。

観察ポイント⑲ 水引草【☆】
2020.10.23、高さ50~80㎝ の多年草ミズヒキソウを見ました。これは、毎年見られます。奥の院の小さな滝の周りに生えています。細くのびた茎に、赤い米粒のような小さな花をまばらにつけます。全体的に上から観察すると、花の色は赤色ですが、根元の方から見上げてみると白色です。お祝袋や「のし」にかける紅白の水引に似ている事からこの名がついたそうです。

観察ポイント⑳ オハツキイチョウ【通年】
奥の院には、 葉の上に実をつける「オハツキイチョウ」という全国でも20本ほどしか確認されていない、大変珍しい種のイチョウがあります。(中山寺HPより引用)
樹齢200年前後と、高さ10~12m、幹の周りは3mで、枝は四方八方に伸びる巨木です。11~12月頃、黄葉した葉が散り、奥の院一面が黄色のじゅうたんに染まり感動しました。また大きな銀杏も毎年頂いています。

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