学校探検 自然観察 絵地図
石川睦紀
愛知県
愛知教育大学附属特別支援学校 高等部
高校2年生
全体説明
僕の通う愛知教育大学附属特別支援学校は急な坂の途中にあります。学校の角にくると僕の背より高い石垣斜面の上に学校があります。丘陵地帯の地形そのままの道に沿った周りの住宅の間には、雑木林がポツポツと残っています。学校の外周もぐるりと囲むように雑木林が残されています。特別支援学校は、昭和42年開校ですが、この場所は明治32年に創設された愛知第二師範学校から始まり、それにちなんで東側の道は師範通りと呼ばれています。中に入ると飼育されているクジャクが大きな声で元気に鳴きます。学校は一年中花や色づく木でいっぱいです。目についた木をざっと数えてみたら、75種類もありました。僕たちは勉強の他に就労にむけた作業学習や小学部、中学部、高等部一緒のなかよし活動などで毎日忙しく楽しく過ごしています。でも学校の中の季節や生き物を楽しむことは少ないと思うので、学校の仲間みんなにもぜひ学校の違った楽しさを伝えたいです。
観察ポイントごとの説明
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登校して学校の石垣にさしかかると、上の斜面にびっしりとワラビが、坂を上がった側にはフキが生えています。どちらも春の代表的な山菜です。元もとはツゲ(園芸木)だけが植えられていたようですが、丘陵地の斜面が明るく開けたことで自然に生えたのだと思います。
<2>
正門横にある太い木ですが、桜と気づかないほどに枝を短くはらわれています。でも春にたくさん花を咲かせてくれるので、花びらをくぐって学校に入っていけます。春っぽくてうれしいです。
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インドクジャクは毎朝大きな声で鳴きます。鳴き声はニワトリの声でキジの鳴き方をしたみたいです。オス6羽、メス3羽の合計9羽で、名前は全員ピーコです。初めは一番(ひとつがい)だったのが増えたそうです。オスの飾り羽は上尾筒といって尾羽ではありません。夏に抜け落ちます。ピーコはマスコットキャラクターになっています。
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小学部校舎の渡りろうか横にキウイ棚があります。5月を過ぎると枝いっぱいに白い花がつきます。それは大き目の梅の花のようにも見えてとてもきれいです。花は雄花と雌花があり、9月には実がたくさんつきます。
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とても大きくて背の高い針葉樹です。葉の色が少し白っぽくて淡い緑色をしているので、見分けがつきやすいです。2階だての小学部校舎より大きいので、少し離れて全体を観察します。夏になると丸くて細長いマツボックリがたくさんなっていました。熟して落ちるとりん片がはがれてバラバラになるそうです。その先の形はバラの花の形そっくりになるというので冬に拾うのが楽しみです。
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ユズとナツミカンは大きくて太くて何本もあります。ユズは収穫して作業学習の農園班の商品として販売します。ナツミカンはジャムに加工されて販売されます。アゲハチョウがたくさん来るかと思いましたが、ずっと日かげのせいかあまりチョウチョは来ません。
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くすのきホームという建物の前にクスノキが1本生えています。大きい木ですが大木というほどではありません。夏に黄色い小さな花がたくさん咲くので木全体が黄緑色っぽくなります。木全体がスッキリとしたにおいがします。クスノキを食草とするアオスジアゲハもたくさん飛んでくるので、夏のクスノキはにぎやかです。
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雑木林は混交林の様子をみせていて、アカマツ、アラカシ、スダジイ、アカメガシワ、ソヨゴ、エノキなどからできています。混群とは複数種類で作られた群れの事で、雑木林の中を移動して学校に入ってきます。ここではシジュウカラとコゲラの混群がメインで、時々メジロも入ります(冬)。雑木林のエノキを食草にするゴマダラチョウや日陰を好むオオヒカゲやジャノメチョウが見られます。
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夏、プールにトンボが来ます。最初に来るのはシオカラトンボ、次に群れでやってくるのはウスバキトンボ。気温がうんと高くなってくるとギンヤンマが来ます。プールで卵を産んでいます。
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学校の中にツバメの巣は一つもありません。近くの大きい病院にたくさん巣があって、そこから飛んできます。ツバメは水を飲むためにプールにやってきます。ツバメは水面ギリギリに低く飛んで、飛びながら水を飲みます。水を飲む時、少し翼をちぢめて口を開けて真っすぐ飛びます。その時、絶対にはばたいたりしません。口を開けたまま、水面スレスレになって飛んで水を口ですくいます。僕はツバメガ飛びながら水を飲むことができるなんて知らなかったので、とても驚きました。しかも水を飲みながらでも飛ぶスピードは全く落ちません。ものすごい速さで水を飲みながら一直線に飛んで、水をすくうと、サッと真上に高く上がって行きます。プールの授業中、みんなが泳いでいても次々と水を飲んで行くのでびっくりします。僕は生まれて初めてツバメが水を飲む姿を見たので、とても面白かったです。
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作業学習の農園班で野菜を育てています。片方は隣の愛知県教育大学附属小学校の1年生と合同でさつまいもを育てます。野菜が元気に育つのを見るとうれしくなります。実がつくと畑全体がにぎやかで素敵です。
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とても大きな大木です。エノキは常緑樹なので大きな日陰を作ってくれますが、落葉も大量に落とすので、そうじが大変です。でも落葉の中でゴマダラチョウの幼虫やサナギが冬を過ごすのかなあ、と思うと、落葉も悪くありません。秋には実が黒っぽい紫になって熟します。この実は食べられます。
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3月にいい香りがすると花が咲いている事に気づきます。梅の木はこの場所の他に2本あります。実った青梅も販売されます。寒い時に見る花はほっこりします。
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ヒラドツツジという園芸種です。とても大きくて高さは120~130cm位あります。4月に白、ピンク、赤の大きな花を咲かせて体育館周りはとてもはなやかでキレイになります。
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サツキは5月(皐月)に花が咲くのでサツキといいます。ツツジによく似ていますが、小さくてここのサツキは朱色のような赤です。濃い緑の葉と赤い花のコントラストがきれいです。梅→ツツジ→サツキ→とリレーのように花が続きます。
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ニセアカシアは別名ハリエンジュと言って、枝の根元に大きなトゲがあるのが特徴です。花は白くてフジの花に似ています。毎朝8時5分~10分にコゲラが来ます。木は半分枯れていて、枯れた枝をつついて虫を食べてます。冬は雑木林から混群が来ます。
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3種類のモミジが植えられています。春から夏は若葉色のきれいな緑色をしていて小さな赤い花をつけます。その後プロペラ型の種がつきます。一番小さい葉がイロハモミジ、大きい葉がオオモミジで、どちらも赤くなります。赤く色づいたモミジの中で、目立つのがアオシダレモミジです。その名の通り、青く、枝が垂れているモミジです。個体差もありますが、このモミジは葉先が赤と黄色に色づき全体は青い葉のままでした。
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大きな鳴き声が教室によく聞こえました。ウグイスはやぶの中に隠れて鳴くし、体の色もうす暗い茶色なので、見つけにくいです。でも大きな声で鳴いているので安心できる場所のようです。
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キンモクセイも2階だての校舎より少し大きいりっぱな木です。10月にいい香りがしてくると、黄色い花が地面にたくさん落ちてきます。キンモクセイが咲いている間、空気がさわやかです。
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2階だて校舎より高い木が3本、高等部校舎横にあります。3本の内2本が雄木で1本が雌木です。9月サクランボ形の実がつきます。実が熟して落ちると果肉がとてもくさいです。種は銀杏といって食べられるので販売されます。実が全部落ちてから葉は完全に黄色になって、全て落葉して一枚も枝に残りません。