応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第41回 中学生の部

未来に残したい 田代の自然観察路

重永悠喜

福岡県
北九州市立千代中学校
中学校2年生

全体説明

この場所は、福岡県の河内貯水池の上流にあたります。アメリカザリガニのいない数少ない場所です。田代川をはさんでのどかな田園風景が広がります。5年前、コロナ禍で休校になった時、野生のアカハライモリはどんな所にいるのかを仮説を立ててたどり着いた場所です。家から車で30分かかりますが、近くでは見られない希少種の生き物にたくさん出会えます。特に爬虫類や両生類の魅力が伝えられたらうれしいです。5年通う間に、田んぼを辞めた所が半分くらいになりました。田んぼで産卵する生き物やそれを捕食する生き物には、大きな影響を与えているのでは?と、カエルの数が激減しているので感じています。ただこの問題は、今のぼくにはどうすることもできないのでせめて生き物たちのすむ環境が少しでも良くなるように、生き物探しの度にゴミ拾いを継続(2024年9月16日現在)して情報発信も行っています。

アカハライモリ:北九州では、準絶滅危惧種です。福岡県レッドデータブックで確認しました。この町のどこかにいますが、乱獲防止のため場所は秘密です。アカハライモリはお腹の柄が赤いのが特徴ですが、全国的に柄が違うのを知っていますか? 6年生の自由研究で全国201匹のアカハライモリのお腹の柄を調査しました。福岡のは赤の面積が多く模様が少ないです。イモリは動きがゆっくりで他の地域のイモリと交わることがないので、独自の進化をとげていると推測します。幼生はウーパールーパーみたいなエラがあります。再生能力が高く、目や手足を怪我しても元にもどりますが、お腹をカニに挟まれると死んでしまいます。繁殖期のオスは尾が婚姻色で青くなります。

観察ポイントごとの説明

<1アオサギ>

国内最大のサギです。魚、昆虫、カエルなどをエサにしているので、田代はアオサギにとってパラダイスと言えるでしょう。田んぼの中で、ゆっくりと歩きながらエサを探す姿をよく見かけます。

<2シマヘビ>

川や田んぼで気持ちよさそうに泳いでいる姿が見られます。連れ帰って飼育した個体が有精卵を持っていて、捕まえた2ヶ月後に産卵しました。ヘビは手足がないのに産んだ卵を自分の体にくっつけながら、卵の周りを回り、一塊にするのはすごい! 孵化にも成功しました。幼体は小豆色で毒蛇に擬態します。

<3ヤマカガシ>

背中上部にオレンジ色の帯があります。毒を持っているからか、発見した時は頭を潰されている個体が多く、悲しい気持ちになります。正しい知識を持って正しく恐れたり距離を保つことが大事だと思います。

<4ホウネンエビ>

はじめて田んぼで見つけた時は、小さいエビフライが泳いでいるかと思いました。小型の甲殻類で、卵はすぐに孵化はせず土の中で卵の状態のまま翌年春の不可に好都合な環境になるまで休眠し、秋冬季の乾燥と低温に耐えます。

<5シュレーゲルアオガエル>

外来種のような名前ですが日本固有種です。ドイツの動物学者、ヘルマンシュレーゲルの名前が冠されたそうです。田んぼの土から顔を出していたり、水路で見かけました。連れ帰って観察していたら大きな泡の塊で卵を産みました。泡はおたまじゃくしになるまで消えなかったです。

<6アマガエル>

田んぼでみかけるイメージですが、水が張る前は竹林で見つけ頭上からも鳴き声が聞こえた時は驚きました。小学1年生の時、一日中カエルを眺めていたら脱皮して、その皮を自分で食べる姿を目撃しました。水槽に張り付いていた手形の皮は、セロハンテープではがして台紙に貼り、今でも大事にとっています。

<7トノサマガエル>

背中の黄緑色の線がとても美しいです。2年前までは、大きい個体も含めたくさんの個体を田んぼでも川でも見つけることができましたが、この1~2年で半分以下に減少しています。

<8ヌマガエル>

背中に筋があり、茶色のまだら模様で腹が白いのが特徴です。指に吸盤がないので、壁を登れません。冬眠中のヌマガエルは、川や田んぼの湿度があって水没しない所の石や土嚢の下に、数匹重なりあっています。触るととても冷たかったですが、温まると動きました。

<9ニホンカナヘビ>

カナヘビはトカゲの仲間ですが、尻尾がなくヘビに見えることから名前がついたと言われています。歩いていると、川沿いの草むらから田んぼ脇の草むらを横断するカナヘビを見かけます。

<10ラミーカミキリ>

ラミーカミキリは、カラムシの葉上にいることが多いので、まずはカラムシを見つけましょう。昆虫界でも珍しい水色×黒色の配色で美しいです。

<11オオキンカメムシ>

雨が降っていたのでアカメガシワの葉の裏で雨宿りしていました。赤色×紺色のカラフルなカメムシです。北海道から昆虫博士の友達が遊びにきていて見つけました。ぼくの気づかなかった田代の魅力に気づかせてくれました。

<12カワセミ>

青い宝石とも言われるカワセミが、川沿いの枝の上から、川の魚を狙っていました。発見した日は、中洲の草刈りをしたばかりで川の中の生き物達は隠れる場所がほぼない状態でした。カワセミからしたら、エサが捕りやすかったと思います。

<13川の中の生き物達>

川には、ミズカマキリ、コガタゲンゴロウ、ヒメダカ、アブラハヤ、ヤゴ、サワガニなどがいて、たくさんの生き物に出会えます。今年は、今まで湿地帯だった所が日照り続きで干上がってしまったところもありました。ちなみにミズカマキリは、カメムシの仲間です。

<14ジュズダマにとまるハグロトンボ>

ハグロトンボのオスの体色はメタリックグリーンで、美しいです。メスは黒褐色です。ジュズダマは、高さのある植物なのでトンボがよくとまっています。ジュズダマはアクセサリーに使われることがありますが、はと麦の原種でもあります。

<15オニヤンマ>

緑色の目と黄色×黒色の体色がかっこいいオニヤンマは、田んぼの電気柵によくとまっています。観察する時は、電気柵に当たらないように注意が必要です。最近は、虫よけにオニヤンマの模型が売られています。

<16アカネトンボ>

まぶしいほどの真っ赤な体色のトンボです。赤色のトンボは種類が豊富なので、とまって写真を撮って確認しないと同定がむずかしいです。

<17田んぼ脇の植物>

カタバミ、シロツメクサ、スギナなど色んな植物があります。ここだけで、小さな昆虫を捕食するカエル、カエルを捕食するヘビや鳥と、生態系ピラミッドが成立しています。最近はコンクリートで埋められてしまう所もあります。人と生き物が共存できる社会を考えていきたいです。

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