応募期間

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受賞作品一覧
優秀賞
第41回 小学生の部

わくわく台北自然観察!!

庄田真結人

海外
台北日本人学校
小学校4年生

全体説明

ぼくは、昨夏、北国オランダから南国台湾へ引っこしてきました。3才ごろから、虫や木の実、石、鳥などの観察が好きで、石を割って水晶やメノウを見つけたり、池でカエルの卵を見つけて成体まで育てたり、ダンゴムシの出産に立ち会ったりしています。台湾は北上や南下する渡り鳥が集まる場所で、一年中、鳥のさえずりが聞こえます。亜熱帯気候なので、カラフルな植物や蝶も観察できます。家の横にある天和公園と東和公園、天母古道は、ぼくのお気に入りの観察路です。火山の陽明山へ向かう途中にある、上り坂が続く公園で、時々硫黄のにおいがします。三百年以上前からわき出ている泉があり、とう明で底まで見えます。飲めそうなほどきれいです。キラキラした泉のそばには大きなガジュマルの木かげがあり、南国の暑さを忘れるほどすずしいです。泉から流れる小川の近くには、たくさんのトンボや蝶、鳥などがいて、生き物の楽園です。

観察ポイントごとの説明

<1家エリア>

5月、ビュンビュン飛び回るツバメを見つけました。台湾の建物は1階が屋根付きの歩道になっていて、巣作りに適しています。巣にいる4羽のヒナが、チュンチュン鳴き始めました。口を大きく開けて必死です。ぼくが後ろを向いたしゅん間、親ツバメがとても速いスピードで飛んできてヒナにえさをあたえ、あっという間にまた飛んで行きました。親ツバメは、空中でたった15秒の間に、素早く蝶をつかまえていました。

<2公園の入り口>

しげみの中で何かが動きました。しゃがんでのぞいてみると、それは大きなミミズを食べているズグロミゾゴイでした。体はニワトリよりも大きいですが、周囲に擬態しているので、見つけるのがむずかしいです。身をかがめて首を伸ばし、土をよけていきおいよくミミズをつかまえていました。のどが波のように動いています。ミミズがもがいているようです。ぼくが近づいても、のそのそ歩くだけで逃げない、のんびり屋です。台湾の人も、道の真ん中で立ち止まっているズグロミゾゴイをよけながら歩いていました。

8月、大雨の後のじめじめした夕方、しげみからうようよ出てくるきみょうなカタツムリがいました。危険生物の図かんで見たアフリカマイマイです。30ぴき以上います。実物はぼくの手より大きくておどろきました。寄生虫がひそんでいる可能性があるので、ひやひや用心しながらアフリカマイマイロードを通りました。

<3タロイモエリア>

小川の下流にタロイモが生えていて、そばにあるクスノキから、ホロホロと鳴き声が聞こえます。木くずが落ちてきたので見上げると、五色鳥が巣穴を作っていました。くちばしが太く、きれいな五色の体です。体は黄緑、のどから頭は黄と赤、青、黒で、キツツキ科の台湾固有種です。巣の中の造りが気になり、關渡自然公園の職員の人に聞きに行きました。体調20センチの体がすっぽり入る縦長の穴がありました。

<4ガジュマルの木かげ>

この付近のアパートの屋根で、群青色の大きな鳥のつがいを見つけました。台湾国鳥で固有種のヤマムスメです。くちばしは赤、尾羽の内側は白と黒のしまでとても目立ちます。尾羽は、ぼくのうで以上の長さがあり、ピンとななめ上を向いています。3月から5月のはんしょく期は、巣の近くを通るとけいかいしてきます。家族を守るためです。家族のきずなの強さは、温かい台湾の人のようだと思いました。

<5泉エリア>

三百年前からずっと水がわき出ています。リュウキュウベニイトトンボがたてに連結して、その後産卵していました。羽から体まで真っ赤なアカスジベッコウトンボや、アオスジアゲハ、タイワンクロボシシジミが、ぼくの目の前をヒラヒラと飛んでいきます。カワセミが泉の上を素早く飛んでいきました。トンボと蝶の名前は、台湾語の図鑑で調べたり、国立台湾大学の昆虫博士に聞いたりしました。

<6小さな滝>

天和公園から東和公園に登ると、さらに緑がおいしげっています。陽明山から流れる小さな滝のそばを歩いていくと、上からオレンジ色の実が落ちてきました。クロヒヨドリです。くちばしはオレンジ、体は黒、頭はふわっとしていて、かんむりを付けているようです。5月には、ゴールデンシャワーツリーが黄金の花の房をたれ下がらせます。約50センチの実は、黒くなって地面に落ち、中にはマメのように種が入っています。

<7鳳凰木エリア>

どんどん坂を登ると、世界三大花木の鳳凰木があります。5月になるととつぜん真っ赤な花がごうかにさきます。9月、約30センチの平たいマメの実がなります。3月、鳳凰木のそばにあるタイワンモクゲンジの幹に、紅姫縁椿象という赤いカメムシが大量発生していました。樹液を食べ共生しています。鳥はこの紅姫縁椿象を食べに、タイワンモクゲンジまでやってきます。肩が白黒しまもようのキジバトがいました。

<8天母古道>

東和公園を登ると陽明山へ続く天母古道があり、硫黄のにおいがします。約百年前に日本人が作った太い水道管のそばに、タイワンジャコウアゲハを見つけました。5月には短い台湾バナナ、6月には竹林でタケノコができます。早朝、タイワンザルが群れで活動します。日本で特定外来生物に指定された赤茶色のタイワンリスもいました。とてもすばやく枝から枝へとびうつります。頭を下にして高い木から垂直におりていきました。

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