今も残る武蔵野の自然 私の育った公園付近
中山亜理渚
東京都
聖ドミニコ学園小学校
小学校5年生
全体説明
東急多摩川駅付近の浅間神社から田園調布四丁目にかけて広がる緑の丘は、実は荏原古墳群の一部です。国の史跡に指定されているため武蔵野の豊かな自然が今も守られていて、草花や昆虫、小鳥などのオアシスとして田園調布の景観の一部となっています。
私の家はこの緑の丘の中にあり、目の前の多摩川台公園は私が育った公園としてとても身近な存在です。どんぐり拾いやお砂遊び、ブランコに乗ったりして遊んだ小さな頃。初めて自転車に乗れたのもこの公園でした。家族とお弁当を持って見晴し台で過ごした思い出もまだ親鮮です。私はこの夏、十歳になった記念に、私を育ててくれたこの公園一帯をいつもとは別の目で散策してみました。色々と新しい発見があり、改めてその自然の豊かさを確認することが出来ました。
観察ポイントごとの説明
ポイント1:あじさいの丘
多摩川の駅からしばらく田園調布方面に歩いて左折。住宅地をしばらく歩いたところが私の散策のスタート地点で、そこから一気に公園が広がります。散歩道を少し行くと、あじさい園があります。七種類三千株のあじさいが植えられ、七月上旬には美しい花が丘一面に広がります。あじさいは土壌や肥料の具合で花の色が変わります。そんなところからその花言葉は「うつり気」なのだそうです。
ポイント2 :野草園と水性植物園
あじさいの丘を抜けて少し歩くと、旧調布浄水場跡に野草園と水生植物園が広がります。スイレンや花菖蒲、ミズカンナなど水生植物が豊富に茂る旧沈殿池にはメダカやザリガニがいて、小さなとき家族でザリガニ取りした思い出があります。また、野草園にはジバザクラやスズランなどの四季の花がひっそりと、そして元気よく咲きます。心休まる、私の好きな空間の一つです。
ポイント3:運動広場付近
古墳群の一部である多摩川台公園の展示室付近は小さな運動会ができる広場です。公園の中心にあたり、最も森が深く、夏の終わりには赤トンボやクロアゲハが乱舞します。また、周辺に茂るクヌギの木にはカブトムシやクワガタが集まり、自然の森さながらの情景です。広場には大きなイチョウ木があり、幼いころ、家族で銀杏拾いをした思い出があります。
ポイント4:自由広場付近
運動広場から深い森を抜けて、真っ赤に塗られた虹橋を渡ると、自由広場に出ます。私はこの自由広場の前に住んでいます。コナラやツクバネガシ、梅の木など実をつける木も多く、春には桜が咲き乱れてとてもきれいです。私の幼いころの思い出はこの場所が中心で、お砂場や遊具も昔のまま。この夏も、初めて自転車に乗れた広場にはアキアカネが乱舞し、セミ時雨が響いています。
ポイント5:山野草の道付近
自由広場から多摩川に向かって急勾配で降りる階段が春蘭などの野草が自生する山野草の道です。夏の終わりにうっそうと茂る広葉樹の森の中で立ち止まると、コツン、カサッとドングリのあられが降ってきます。森を更に奥に進むと、マテバシイやスダジイの林があり、小さいころむいて食べたことを懐かしく思い出します。そして、コサギや鴨が餌をついばむ六郷用水付近が散のゴールです。