緑と野鳥に出会える「高舘いこいの森」
板橋 祐稀子
宮城県
宮城県農業高等学校
高校3年生
全体説明
私の学校は東日本大震災の津波で被災し、仮設校舎で勉強をしています。以前の学校は海の近くにありましたが、仮設校舎は内陸の自然豊かな森と田園地帯に囲まれた場所です。今年の4月からやっと新校舎が完成しました。
高校生最後の夏に想い入れのある仮設校舎の周りを調査すると様々な自然の動物や昆虫に出会えることができる道を見つけました。入り口は少しだけ木が生い茂り暗い様子ですが、奥に進むと「緑」と「野鳥」、そして多くの「昆虫」に出会える自然のテーマパークだったのです。
道には木で作られた階段もあり、アップダウンがありますが一周3kmをゆっくり歩くと1時間以上自然を楽しめることができます。1年を通じてリンドウ、カタクリ、カラマツ草、イチヤクソウ、山桑の実の色々な植物が出迎えしてくれます。そのコースを多くの方に知って頂きたいと思い、今回調査したので最後まで見てください。
観察ポイントごとの説明
(観察ポイント①『頂点に立つ大鷹』)
羽を広げると1m以上にもなる大きな鳥です。森の上を飛んでいる所を見ることができます。飛ぶ速さはなんと80km以上とも言われ、食物連鎖の頂点に立つ存在です。そのため、森が健全でなければ生息することはできません。よく、トンビとも間違われますが、本物はとてもカッコいいです。昔は森にしか生息しなかったそうですが、今では街場でも見ることができます。
(観察ポイント②『子供達の永遠の英雄コクワガタ』)
木の樹液が出る所はもちろん、根元でもコクワガタやカブトムシが良く見つかります。②番の場所だけではなく、道の至る所で見つかることが嬉しいです。メスも生息し、虫好きの小学生には是非来て欲しい場所です。農家さんに生息する場所を聞いてみると、「米ぬか」や「堆肥」の中を探すと売るくらいのクワガタが捕れると教えてもらいました。
(観察ポイント③『見つけると人間が青くなるアオダイショウ』)
これは100cm以上のヘビです。2回遭遇しましたが1回目は木の上で絡まり、2回目は地上でとぐろを巻いていました。お腹が不自然に大きいので、カエルかネズミ等を食べた後だったのかもしれません。爬虫類は好きなので触ることもできますが、どちらも、少し薄暗い場所にいるので、ビックリします。近隣の方によると、ヘビの行動範囲はあまり広くなく、いつも同じ場所にいることが多いそうです。
(観察ポイント④『農作物の天敵イノシシ』)
近年、イノシシによる農作物の被害が発生しています。私の家は農家ですが、イノシシ注意報も発令させるくらいです。農作物を収穫する直前に食い荒らされることもあり、電柵を作って野菜を守っています。しかし、時には穴を掘って地中からくるものもあります。最近では道路にも出没し、交通事故の引き金にもなっているのです。猟友会の高齢化も進むことで猟を行う人が少なくなっていることから、生息数は多くなり、農作物被害が拡大している地域もあります。体長も大きい為、突進されると大人でも飛ばされる時があります。非常に警戒心が強いので道を歩いている時には会うことはできませんが、道の途中にはイノシシの足跡や、糞を発見できることが楽しみの一つになります。足跡が二つあったので、夫婦なのか、子連れなのかどちらだと思いますか?
(観察ポイント⑤『美声の歌声でお出迎えカジカカエル』)
私は爬虫類が好きなのでカエルを見ると可愛く見えます。カジカガエルは褐色のカエルですが、なんと鳴き声が「雄鹿」に似ていることからこの名前が付けられたそうです。この他にもアオガエルやヒキガエル、アマガエルに出会えます。夏場の雨上がりに行くと、カエルの大合唱が聞こえてきます。沼地にいくとカエルの卵やオタマジャクシを見ることができます。全体を通してカエルの量は多かったです。
(観察ポイント⑥『子供達に大人気のオオカマキリ』)
道の途中に木で出来た休憩所がありますが、その木に良く張り付いていることが多いです。非常に攻撃的で手を広げて羽を広げているときは臨戦態勢です。小さい昆虫(バッタやカメムシ)を捕食することから水田を作る農家さんには好まれる昆虫ということを教えて頂きました。多くの農家さんの話を聞くと、子供の頃に見つけると嬉しい昆虫の一つだそうです。ちなみに、私はこの手の昆虫は苦手です。
(観察ポイント⑦『命短いアゲハ蝶』)
道の途中には野草(リンドウ、カタクリ等)が自生しています。その花に止まっているのがアゲハ蝶です。キアゲハとクロアゲハを確認することができました。アゲハ蝶の魅力は何といっても羽の美しさに集約されます。しかし、羽化してから2週間で寿命をむかえます。2週間の間に交尾をして、産卵しなくてはなりません。短い命だからこそ、より美しく見えるのかもしれません。
(観察ポイント⑧『高舘いこいの森』)
森の最大の特徴として多くの野鳥に出会えることができます。その一つがメジロ。丸い体つきに、緑色の羽をもつメジロは見つけると幸せな気持ちになります。しかし、メジロは2004年からレッドリストの軽度懸念に指定されています。その理由がメジロの歌声の良さに密猟があったとされています。自然の美しさというものが人間の手によって失われているかと思うと悲しい気持ちになります。だからこそ人間の手で守る必要があると感じました。
(観察ポイント⑨『水辺の守り人、可愛いサワガニ』)
水辺の岩の下や木を動かすとサワガニを見つけることができます。農家さん曰く、昔はこれを佃煮にして食べたとのことです。殻が柔らかくなるまで煮ることで全てを食べることができるそうです。今ではそこまで調理する人はいなくなりました。綺麗な水を好む為、流れがある場所を好みます。たまに水辺から離れて道を歩くサワガニがいます。何故、こんなところに「カニ」?と思いますが、調べてみると習性らしいので納得しました。
(観察ポイント⑩『尻尾を囮に、逃げるカナヘビ』)
実はメジロと同様にレッドリストの指定を受けています。名前は「ヘビ」と呼びますが、4本の手足があり地域によっては「トカゲ」と呼ぶこともあります。クリっとした目はとても愛くるしいです。様々な場所で見つけることが出来ますが、主に狭い所が好みの様です。敵に襲われても尻尾を切り、動いている尻尾を囮に逃げていきます。驚くことに尻尾を再生します。なんとか、IPS細胞のような再生医療に役立てたいものです。
(観察ポイント⑪『綺麗な色は雌ではなく雄というキビタキ』)
特徴は口ばしからお腹までが美しい黄色をしている野鳥です。木の穴に巣を作りますが、繁殖期には朝から雄がさえずります。鳴き声はメジロと同様に美しく「ピッコロロ」と鳴きます。時間をかけて探せば見つかるので、是非チャレンジしてもらいたいです。たまに街の中でも見つけることが出来ました。