桜ヶ丘公園 癒しの散歩道
宮田日奈子
東京都
共立女子第二中学校
中学校1年生
全体説明
私のおすすめの散歩道は、都立桜ヶ丘公園を巡るコースです。以前の多摩丘陵の姿が今も残っていて、自然の感じられる地形となっています。見どころの時期を問うことがなく春夏秋冬、さまざまな姿をみせてくれます。鳥のさえずりから虫の鳴き声、花の香りまで自然のたくましさが体感できます。特に、おすすめの季節は春です。公園の何もあるサクラやスミレなどの、春の息吹が感じられる植物が沢山あります。小さい子は虫の採集から、大人は犬の散歩や息抜きがてらなどと、いろいろな世代の人が散歩を満きつすることができます。昆虫や野草があちらこちらで見つかるので、小さな発見でも嬉しい気分になります。明治天皇がうさぎ狩りや鮎漁で訪れたことも数回あるので、そういう由緒ある場所を散歩できることは贅沢だと思います。
癒しの散歩道を楽しんで下さい。
観察ポイントごとの説明
ポイント(1)
ここうぐいすの道はモウソウチクの目立つ雑木林です。主にウグイスが繁殖する、野鳥の宝庫です。ウグイスは春一番を報せる「春告鳥」としておなじみです。また、ホーホケキョッという美しいさえずりを聞かせてくれます。そんなウグイスの色は鶯餅の黄緑色だと思っている人が多いと思います。しかし、実際はわずかにオリーブがかった褐色で地味な色をしています。朝ウグイスの鳴声が目覚ましとは贅沢で、守る続けたい環境です。
ポイント(2)
ここどんぐりの道は、クヌギの木に集まる虫たちのパラダイス。虫たちのお目当ては根元や枝分かれしている所に多い甘い樹液です。そんな虫の中にはカブトムシやクワガタムシがいます。早朝にここを観察すれば、動きが新鮮なカブトムシやクワガタムシが見られます。しかし、それは過去の話し。最近はめったに見られなくなっています。どんぐりの道に立ち寄って、カブトムシやクワガタムシが見られたらとてもラッキーなことです。
ポイント(3)
とんぼの広場にある池の中には、ヤゴがいます。ここの池は、幼虫の宝庫です。八月から九月にかけて成長したオニヤンマの姿が見られます。アカトンボなどとは違ってとても大きいです。都会では見ることのできないオニヤンマがここで見られるので郊外はいいなと思います。7月頃にはホタルが見られます。ホタルは、ふわふわとした光で心を和ませてくれます。ホタルが見られるのは池の水をきれいに保っているからです。
ポイント(4)
田んぼの周りの湿った土は、ヒキガエルにとって住みやすい環境です。一見、茶色くてグロテスクに見えるヒキガエルですが、よく見てみるとかわいらしいです。ヌボーッとした顔をしていて、おとなしい姿のヒキガエルは癒されます。初夏に田んぼへ訪れるとカエルの大合唱が聞くことができます。そんな声を聞いていると、夏の始まりを感じることができます。
ポイント(5)
秋にここの原っぱに訪れると、足の周りを沢山のショウリョウバッタが飛んでいきます。その中でまれに見られるのが、トノサマバッタです。とても大きな体で羽を広げて飛んでいる姿は、チョウよりも大きいかのように見えます。ショウリョウバッタはかわいらしく飛びますが、トノサマバッタは飛翔力が強いため迫力があります。向かって飛んでくると、こわくて逃げたくなってしまうほどです。
ポイント(6)
池の中に何かが沢山いると思って見てみると、オタマジャクシがうじょうじょいます。このオタマジャクシはアカガエルの幼生です。春になると、小さい子がオタマジャクシを夢中になってとっています。私も小さい頃はよくとり、観察しました。やがて、手が出て足が出て尾がなくなり、カエルとなっていなくなってしまい悲しかったのを覚えています。この池に行くと、観察した時のことを思い出します。
ポイント(7)
東京の主なセミはアブラゼミです。ここの雑木林でもアブラゼミやミンミンゼミ、ヒグラシなどが見られます。そんなセミに混じって、「しゃあしゃあ」と鳴くクマゼミの声も聞こえます。クマゼミはもともと西日本に多く生息しているセミですが、生態系の乱れによって東日本にも生息するようになってしまいました。ここではアゲハチョウも見られ、飛んでいる姿は美しいです。そんな虫達のためにも生態系を保ち続けられたら良いです。
ポイント(8)
夏になり、池をのぞいてみると沢山の生物の姿が見えます。そんな中に外来種であるミシシッピアカミミガメがいます。ミシシッピアカミミガメはペットショップで売られている小さいミドリガメのことです。大きくなって買いきれなくなった人がこの池に捨て、繁殖してしまいました。もともと日本にいるはずのないこのような生物が、生態系を乱していきます。生態系が乱れないよう責任を持って飼い、自然の池を大切にしてほしいです。
ポイント(9)
春の野草が目立つ谷戸の丘。野草の代表種にスミレがあり、その中でもよく見られるのがタチツボスミレです。春に谷戸の丘に行くと、紫に染まったタチツボスミレが見られます。まるで、お花畑に迷い込んだような気分です。少し先へ進むと、イチリンソウも見られます。タチツボスミレのように目立っているわけではなく、楚々と可憐に咲いています。その対照的な咲き方が風情があり美しいです。
ポイント(10)
春の初めを代表する花は何といってもサクラです。その中でもこのポイントはヤマザクラが見られます。ヤマザクラは、ソメイヨシノのように華やかではありませんが、新葉と花が同時に咲くという珍しさを見に、沢山の花見客で賑わいます。私も小さい頃から見ているサクラはヤマザクラなので、花見をするといったらヤマザクラという印象が強いです。ヤマザクラを見て、日本古来のサクラの美しさを実感して欲しいです。