応募期間

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受賞作品一覧
入選
第32回 中学生の部

心のふるさと「板室♨自然観察路」

沼田 侑希

埼玉県
東京農業大学第三高等学校附属中学校
中学校2年生

全体説明

僕の心のふるさと「板室。」栃木県那須塩原市にあり、一年に一度は訪れている。温泉に浸かり、豊かな自然に囲まれているとリラックスできる。今回紹介するのは板室温泉神社周辺の遊歩道だ。橋を渡って遊歩道に入り、山頂の「上の原園地」を目指して階段を登る。板室温泉神社はその途中にある。いつも板室に来た時にはあまり天候に恵まれず登ったことはなかったが、今回探索してみるととても自然豊かだったので、自然観察路として紹介したい。遊歩道といっても森深い山道である。様々な木々や草花を観察できる。湿度が高いのか、今回の探索ではたくさんのキノコを見ることができた。細かく観察すればするほど新しい発見があるので、何時間いても飽きないかもしれない。那須は他にも見所がたくさんある観光地(牧場・ミュージアム・温泉、等)なので、是非一度訪れてみて欲しい。きっと気に入ると思う。

観察ポイントごとの説明

① 湯川

歩き始めてすぐに橋を渡る。下には湯川が流れている。宿泊した旅館の前を流れる那珂川に注いでいる。どちらも水が澄んでいて、魚やオタマジャクシが泳いでいる。川の水はとても冷たく、真夏でも長い間泳ぐことはできない。今回はとても涼しかったので、とてもじゃないけど泳ぐ気にはなれなかった。河原の石をひっくり返すとカゲロウの幼虫らしき虫がついていた。

 

② 猿

遊歩道に入った直後、僕たちはなんと猿と遭遇してしまった!林の中から現れ、僕たちのことを気にも止めず悠然と歩き去った。那須には猿がたくさん生息しているらしく、前に来た時にも旅館の窓から山を歩いているのを見かけた。すぐにいなくなってしまったので、もっとじっくり観察したかった。さらに進んだ先に「熊や猿に注意」の立て札があったので、熊もいるらしい!見たかったなあ。

 

③ 板室の豊富な水

遊歩道に入り少しだけ歩くと観音様が立っているのが見え、その横には湧き水が湧いている。ひしゃくですくって飲むことができ、ボトルに汲んでいく人もいる。昔は地元の人達の生活飲料水だったらしい。板室は非常に水が豊富で川がたくさんあり、温泉でもお湯が常に流れ続けている。この湧き水は、甘くて本当に美味しかった。

 

④ 木々

観察中、様々な種類の木々を見ることができる。しだれ桜、さわら、もみじ、やまなし等だ。春や秋にくればより一層美しいと思う。また、見た目が興味深い木も多い。一つの木に違う木々が巻きついて絡まっていたり、倒れそうなほど曲がっていたり…。絡まっていたのはツタウルシかな?また姿は見えなかったがセミがいたるところで鳴いていた。ドングリやクルミ、ナナカマドの若実も見つけたし、キノコもあちこちに生えていた。

 

⑤ おじさんに教わった野草

遊歩道を歩いていると、様々な野草を見つけることができる。小さな青い花をつけたツユクサ、破れた傘のように見えるヤブレガサ、冠婚葬祭で使う水引のようなミズヒキ等。おもしろい野草がたくさんあり、観察していて楽しい。紹介した植物の名前は、たまたま通りがかったおじさんに教わった。他の登山者と会話をするのもこうした山歩きの楽しみの一つだと思う。やっぱり地元に住んでいる人は物知りだなあ。

 

⑥ ホトトギス

途中、ホトトギスの花を見つけた。見たことはあったが名前は知らず、調べるのが大変だった。こういう時に物知りの人がいるとすぐわかるのになぁ。紫色の斑点がついていて、種類はヤマジノホトトギスだと思う。ホトトギスという名前は、鳥のホトトギスの胸にある斑点になぞらえて付けられたそうだ。また、ホトトギスの仲間には絶滅危惧種になっているのもあると知って、驚いた。

 

⑦ マムシグサ

遊歩道の柵にもたれかかるようにマムシグサが生えていた。あの食虫植物のような花ではなく、実がついていた。有毒で、触ると皮膚炎、食べると嘔吐や腹痛を引き起こすらしい。触らなくてよかったぁ。山歩きには危険が付き物であることを忘れてはいけない。そしてさらに調べると、アイヌの人達がトリカブトと混ぜて毒矢に塗っていたことや、昔の人がこの草を毒を取り除いて食べていたことがわかった。昔の人の知恵はすごい!

 

⑧ 温泉神社

遊歩道を進むと、温泉神社が見えてくる。地元の人や板室温泉に当時に来た人が参拝する、四百年近い歴史を持つ由緒ある神社だ。苔むしたこま犬が歴史を感じさせる。この道は温泉神社の参道でもある。人々は昔から自然を神として崇めてきた。鳥居のわきの榊の木にはセミの抜け殻があった。

 

⑨ 上の原園地

ついに頂上の上の原園地に到着!やっぱり涼しいのか、8月なのにアジサイ、ガクアジサイが咲いている。周囲にはたくさんの種類のトンボが飛び回っていて、指を高く掲げるとスィーッと止まった。さらに探索をしていると急に視界が開け、霧がかかった山々が目にとびこんできた。イワツバメが上空を舞っている!調べるとイワツバメは岩場に住み、昆虫を食べることがわかった。この辺りは昆虫が豊富だからイワツバメが住みやすいのかな。

 

⑩ 父、ブユに刺される?

上の原園地で針の様に尖った尻を持つ虫を見つけたあまり動かなかったので安心して観察していたが、急に飛び始めたので急いで逃げた。写真は撮れず記憶を頼りに調べると、シリアゲムシの仲間に似ていた。なんと刺されない!?慌てて損した。刺す虫と言えばアブやブユ。この日の夜、父の足首が最初は捻挫かと思うほど大きく腫れ上がった。刺されたような痛痒さがあったが、いつ刺されたのかさっぱりわからない。恐ろしい…!

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