応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第32回 中学生の部

~僕のメモリアル地図~矢作川自然観察路

神谷 龍

愛知県
愛知教育大学附属岡崎中学校
中学校2年生

全体説明

(1) 観察路全体の説明

僕の家の近くには矢作川が流れていて、川沿いには、たくさんの植物や生き物を見つけることができる。矢作川は、長野県南部をみなもととして、愛知県のほぼ中央を南に流れて三河湾に流れ込む一級河川だ。僕の家から最寄りの矢作橋は、今から約400年前の江戸時代に土橋として架けられてから、昨年16代目の橋の切換えがおこなわれたばかりだ。1つ上流側にある日名橋のたもとは、現在は運動広場や公園が整備され、サッカーなどの練習をしたり、バーベキューを楽しむ家族連れを見かけることが多い。僕自身、小さい頃から堤防で草滑りをしたり、身近な遊び場所となっている矢作川周辺を、自然観察路とすることにした。季節によって出会う動植物は変化するが、どれも馴染みのある生き物で、こんなに自然豊かな場所の近くで生活できることはありがたいことだと思う。

観察ポイントごとの説明

(2) 観察ポイントごとの説明

観察ポイント① 砂浜

日吉丸(若き豊臣秀吉)が、後に忠実な配下となる蜂須賀小六と矢作橋で出会ったという逸話からつくられたという「出会之像」と呼ばれる石像が設置されているこの辺りは、橋の下一体に砂浜が広がっている。春には近所の中学生がサンドアートを作り、橋を通る僕たちの目を楽しませてくれる。ハクセキレイやヨシキリ、ヒバリ、コアジサシなどの鳥や、蝶、トンボなどのいろいろな昆虫を見ることができる。

 

観察ポイント② 矢作神社

境内の由緒文では「日本武尊が東夷御征伐の時、軍神として素蓋鳴尊をお祀りし広前で矢を矧ぎ給いしため社号を矢作神社と称えた。社前の矢竹はそのいわれの跡といわれている。」とあるが、確かに神社脇には日本武尊の像があり、竹が生えている。神社内は夏でも涼しく松の木が多く生えている。

 

観察ポイント③ サイクリングロード

僕がサイクリングを楽しんだり、走るトレーニングをする時に通るサイクリングロード沿いは、観察した時は、ちょうど草刈りの直後だった。セイヨウタンポポ、カタバミ、よもぎ、セイタカアワダチソウなどが生えているが、短く刈られた草木の間では、オンブバッタやイナゴ、カマキリ、キアゲハ、ナツアカネなどが簡単に見つかった。虫取り網を持った親子とすれ違ったが、昆虫採集を楽しむには絶好の場所だと思っている。

 

観察ポイント④ 鳥の休憩場所

矢作川の右岸、矢作橋と日名橋のちょうど中間辺りにある雑木林は、鳥達の休憩場所となっているようだ。カラスもスズメもツバメも、雑木林を出たり入ったりする姿が何度も見られた。昆虫と思うが、エサを追いかけて飛びまわるツバメの姿も間近に見ることができた。

 

観察ポイント⑤ クルミの木

鳥の休憩場所から少し上流側に歩くと、クルミの木を見つけることができる。秋にクルミの実を採って食べてみたいと思った。木の根元辺りには、葛が一面生い茂っていた。うっそうと生える葛の葉の中に、赤紫色の花を見つけたときは、とても美しく見えた。

堤防の反対側にある学校の校庭に植えられたサクラやイチョウ並木は、春や秋に花見スポットとなっている。

 

観察ポイント⑥ サッカーコート

日名橋の下流側は、運動広場や公園が整備され、サッカーチームが練習していたり、バーベキューを楽しむ家族連れを見かけるが、脇にある雑木林はカブトムシやクワガタを探すのにもってこいの場所だ。僕も小さい頃に虫取りに来て、ノコギリクワガタを捕まえたことは、懐かしい思い出になっている。

 

観察ポイント⑦ 黒竹の林

矢作橋の上流側に竹を見つけるが、日名橋の上流側にも、黒竹の林がある。葉は緑色なので橋の上から見てもそれ程わからないが、河川敷を散歩すると、黒々とした竹だということがよくわかる。矢作川周辺には他にもマダケやナリヒラタケなど、竹が生育していて、矢作の地名の由来である竹が多いことに納得する。

 

観察ポイント⑧ くすのきの森

日名橋を左岸側に渡ると、橋の下にはくすのきなどの雑木林が広がっている。堤防から川の水際みで気で覆われていて、小さな樹海のようにも見えてくる。夏はセミの鳴き声がうるさい状態だ。車で橋を通り過ぎる時には気づかない、散歩ならではの自然体験だ。

 

観察ポイント⑨ 水鳥の集まる場所

くすのきの森からほど近くにある中州には、カワウが5羽集まっていた。カワウ達は水に首をつっこんだり、歩き回ったり、のんびり過ごしているように見えた。中州はカワウ、カルガモのような水鳥の休憩場所なのだろう。以前、この付近ではスッポンやサワガニなどの水生生物の姿も見かけた。生物の多様性を実感する。

 

観察ポイント⑩ 堤防に咲く草花

左岸側は、堤防、雑木林、ネコヤナギ、アカメヤナギ、カワヤナギなどの柳の藪が続いているが、堤防の草むらの中にたくさんの花を見つけることができる。中でもノアザミやヤマユリはよく目立つ。セイヨウタンポポやシロツメクサ、クローバー、ススキなどの馴染みのある草花も勢揃いしていて、改めて観察してみると植物図鑑を作れるだろうと思う。

 

観察ポイント⑪ 矢作川の水中と上空

矢作川では、カエル、ゲンゴロウ、アメンボ、タニシなどはもちろん、メダカやハゼ、コイ、フナなどを見かける。上流ではアユ釣りも人気のようだ。

ノスリやトビなどの鳥が上空で旋回している姿は、何かエサをみつけたのだろうか?と見ていて飽きない。

 

○まとめ

身近すぎて「観察」という意識を持って通ったことのなかった道を、今回の観察路マップを作成するにあたり、ゆっくり眺めてみる機会を持てたことは良かったと思う。書き出してみることで、自分がいかに自然に囲まれて生活しているかを実感できたと同時に、外来種の被害の話を耳にしたり、動植物の生活環境の変化は心配だ。身近な自然をいつまでも守っていけるよう、ゴミを出さない、自然を壊さないなど、まずは自分にできることをしていこうと思う。

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