応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
入選
第39回 高校生の部

世界自然遺産への道

上原蓬

沖縄県
辺土名高等学校
高校2年生

全体説明

この地図の先には私の通う辺土名高校があり、更にポイント<9>は私の自宅になります。その為この地図は私の自然観察路でありながら同時に通学路でもあります。1年を通しその日の天候や時間、季節、場所によって、色々な生き物を観察できます。

ポイントで紹介していく生き物達の他にもノグチゲラやホントウアカヒゲ、ナンバンギセルなども描きました。更に、今回描いた絵は主に自分や友人、先生方が撮影した生き物達を元に描いてます。辺土名高校にはサイエンス部があり皆で山へ出掛けたり、寮が隣接しているので寮生は放課後や休日に山へ出かけたりします。なので、生き物たちの紹介と同時に撮影した写真も含め辺土名高校の紹介にも繋がればいいなと思います。

昨年7月世界自然遺産に登録され、この観察路は遺産登録地では無いにもかかわらず身近なものから貴重なものまで多くの種類の生き物に出会えます。

観察ポイントごとの説明

<1 貯木場 アオスジアゲハ、ミカドアゲハ>
辺土名高校生がイモリ池と呼んでいる貯木場があります。常に水が張られているためシリケンイモリやトンボ、オタマジャクシなどが見られます。またアゲハが水たまりや動物の排泄物などに集団給水している姿をよく見かけます。時折、アオスジアゲハの集団の中にミカドアゲハが混ざっていることもあります。また夜にはカエルを食べにアカマタやガラスヒバァに出会えます。

<2 シークワーサー畑 オキナワノコギリクワガタ>
大宣味村では特産品としてシークヮサーが有名で、シークヮサー畑がたくさんあります。夏になると、木にノコギリクワガタやヒラタクワガタなどがよくきます。辺土名高校では、クワガタの繁殖や調査、研究、イベントでの配布などのために毎年トラップを仕掛け採集しています。シークヮーサー畑は石垣が多く積まれているため、クロイワトカゲモドキやハブなどがよく見られます。

<3 側溝 ナミエガエル>
道路の両脇に側溝があり雨の日になると水が流れ、ナミエガエルをよく見かけます。ナミエガエルはひし形の瞳が特徴で沖縄県の天然記念物として保護されており、やんばるにしか生息しない固有種です。地域のお年寄りから聞いたところ昔は食用にされており、体の弱い人や貧血の人のための薬でもあったそうです。他にも、リュウキュウヤマガメやサシバ、イヌ、ネコなども自分で捕まえて食べたらしいです。

<4 コバノミヤマノボタン>
一見ただの道に見えるところでもよく観察すると、色々な植物が生えています。このポイントでは、やんばるのみに分布し固有種であるコバノミヤマノボタンが見られますが、道路沿いに生えているため草刈りの際に刈られてしまう可能性があります。貴重な植物達を間違って刈ってしまわないよう地域の方への声掛けや、それがわかるよう看板を設置するなど対策する必要があると考えました。

<5 ケナガネズミ>
日本最大のネズミとして有名なケナガネズミが生息しています。木の実を主食としますがリュウキュウマツが多く生えていることから生息できる環境なのだろうと思います。過去に二度、この周辺で轢死体を拾った事があり、やんばるの課題の一つでもあります。ケナガネズミに限らず、地面を歩くヤマガメやカエル、イモリなどもよく死んでいます。なので、標識や看板を増やす活動をしたいと思っています。

<6 クロイワトカゲモドキ>
このポイントに関わらず、この周辺ではよく見られます。クロイワトカゲモドキは沖縄県指定の天然記念物です。やんばるだけでなく比較的沖縄県本島各地で見られます。沖縄県北部と南部など地域によって模様が大きく変化します。昔、少し尖った尻尾が刺しそうに見えることから一部地域では「ハブ」と呼ばれていたそうです。

<7 分岐点 ホルストガエル>
基本、毎日通る道でも見られる生き物は異なっているのが普通ですが、このポイントで見られるホルストガエルは必ずと言ってもいいほど高い確率で観察することができます。ホルストガエルもナミエガエルと同様に昔は食べる文化もあったそうです。ホルストガエルは数あるやんばるのカエルの中でも鳴き声が特に特徴的です。繁殖シーズンにメスを呼ぶ時や縄張りを主張する時などに「ゥヲォン!!」と泣きます。

<8 自宅 オキナワイシカワガエル>
家の周辺には、池や沢があるので沢山の種類のカエルに出会えます。「日本一美しいカエル」としても有名です。過去に、家のベランダにある簀子の下にオキナワイシカワガエルが住み着いていたり、何故かトイレの便器の中で発見したこともある程、私にとっては身近にいる存在なのかも知れません。通常イシカワガエルは緑ベースの体色をしていますが時折、色素変異個体である青っぽい個体も見かけます。

<9 ヤンバルクイナ>
朝方、目が覚めると「キョキョキョキョキョキョーー」と山中にヤンバルクイナの鳴き声が響き渡ります。今の家には私が小学3年生の時に引っ越してきました。もうすぐで10年になりますが、引っ越してきたばかりの時には無かったことです。私の住む大宣味村では野猫が多いことからなかなかクイナが増えずにいる状況であったために近頃、自宅の周辺でよく見かけることができてとても嬉しいです。

<10 貯水池 シロアゴガエル>
沖縄には多くの外来生物が定着しています。その中でもこのポイントでは、シロアゴガエルが見られます。外来生物がいることで、沖縄の生態系のバランスを崩してしまう恐れがあります。在来種とのエサやすみかなどの奪い合いで競争率が高くなり、在来の生き物の数が減っている可能性があります。実際、以前までこの貯水池周辺でリュウキュウカジカガエルが多く見られましたが、最近はシロアゴガエル一色です。

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