応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第30回 高校生の部

飾東歴史街道~ゆらぎのなかで~

富岡敬子

兵庫県
賢明女子学院高等学校
高校1年生

全体説明

ここ飾東町は姫路市の北東に位置し、春日野古墳群をはじめ数多くの古墳が点在している為、歴史的にも古くから人々の営みがあったことが分かります。また、古道の丹波道、但馬道、有馬道が通る交通の中心地には庄山城が築かれていました。中でも丹波道は法華山一乗寺と書写山円教寺を結ぶ巡礼道でもありました。今は国道327号線となり都市化が進む南西部に比べ、こちらは山林や田畑も多く、まだまだ豊かな自然が残されています。

小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、木もれび、ホタルの光。時に、人は自然に触れると心地よさを感じます。近年「ゆらぎ理論」が注目されはじめ森羅万象に存在するといわれている「1/fのゆらぎ」に人は癒されるということも分かってきました。自然界は癒しのリズム(ゆらぎ)で満ちあふれている。そんなことにふれたこの夏、いつもの散歩道が楽しく変化しました。

観察ポイントごとの説明

1. ヒヨドリ。

庭のクロガネモチの木に赤い実がなる頃、2羽のヒヨドリがやって来ます。独特の甲高い声で「ヒーヨ」と鳴くので来たことがすぐに分かります。一夫一婦制の鳥なので夫婦でしょうか。実はみるみるうちに食べ尽くされますが、その後ミカンを置いておくとやはり2羽で食べに来ます。お米を置くとスズメも来ます。にぎやかな庭ですが、私は鳥の鳴き声が好きです。なぜなら空気が浄化されるような心地よさを感じるからです。

 

2. タンポポ戦争?

外来種は在来種の約2倍の数の種子を持ち開花期間も長く乾燥や熱に強い性質を持っています。土地開発などによって乾燥したり、温暖化などが進むと外来種が優勢となってきます。でも受精という武器を持っている在来種は環境に適応する突然変異を作ることが可能です。そして、もうすでに雑種もみつかっているそうです。春、用水路の近くで群生していた数少ないニホンタンポポ、大切にしたいです。

 

3. 竹林。

風のある日、入った瞬間葉の触れ合う乾いた音に外界の喧騒から解き放たれます。特に、手入れされた竹林は竹の中が空洞なので枝が竹を打ちつける音や葉のなでる音が森林とはまた違った心地よい空間をつくってくれます。手入れされなくなった竹林は、その増殖力と地上への太陽光を遮ることで生物多様性の低下や景観の劣化をもたらします。現在、外来種のモウソウチクによる放置竹林が里山を持つ地域で問題となっています。

 

4. 霊牛の足跡。

中央に足跡らしきくぼみがある一メートル程の凝灰岩がたっています。国分寺「縁起由緒」によると天平十三年(741)近くの山から一頭の霊牛が現れ国分寺造営の膨大な材木を運んだという伝説がありこれが霊牛のものだと言われています。この地域の人々が国分寺造りに関わったのだなあと思いながら清掃のつもりで周囲の板切れを除いていたらダンゴムシが沢山いて慌てました。遊び相手だったのは、もう昔の話です。

 

5. 雑木林の蝉たち。

ニイニイゼミの鳴き声で夏の到来に気づきます。クマゼミの鳴く声で朝を迎えミンミンゼミやアブラゼミが鳴いている間は、まだ夏真っ盛りです。夕方、林の奥からヒグラシが鳴き、暫くするとチッチゼミやツクツクボウシが夏の終わりを告げるかのように鳴き始めます。夏の移り変わりを蝉の声で知ることが出来るとは、なんてぜいたくなんでしょう。中でもヒグラシの声には1/fの周波数があり特に癒されるそうです。

 

6. 田んぼのシラサギ。

春、田を耕しているトラクターの後に数羽のシラサギが待機しているのをよく見かけます。土の中から出てくる虫や冬眠から覚めたカエルなどの食べ物を探しているのでしょう。今はメダカ、オタマジャクシ、タガメ、ザリガニなど多様な生物がいます。遠くにコサギを見つけました。白と緑の色合いがとても美しく、飛び立つ姿はさらに優美で何度見ても感動します。

 

7. カエル。

田植えが終わると産卵のための初夏の風物詩、カエルの大合唱が始まります。ところでこのカエルたち、好き勝手には鳴いてはいないそうです。他の個体の鳴くタイミングを聞きながら、自らのタイミングを調整しているのだそうです。実際テレビなどの生活音を消して合唱をよく聞いてみると、一定のリズムで鳴いていることが分かります。不規則さと規則さが調度いい具合に調和している1/fのリズムだそうです。

 

8. 市内最古の道標。

1677年西国三十三所巡礼を成就した人たちが建てたもので市の指定文化財となっています。ここではショウリョウバッタを見つけました。名前の由来は政令流しの船に形が似ているからとか、墓地の草むらでよく見かけられるからだそうです。そういえば近くに墓地がありました。よく手入れされている草むらを好みます。飛ぶ時に「チキチキ」と鳴かなかったので、これは雌です。

 

9. ため池。

カイツブリがいました。もぐってえさを取る水鳥です。水面をすべるように泳ぐ姿や水の音を聞いていると気持ちが落ち着いてきます。なぜでしょう。人間の遠い祖先は海から誕生したと言われています。又、私たちは母親の胎内で羊水に包まれて過ごします。さらに、私たちの身体の半分以上が水で出来ています。これらのことから人間は水に対して何かしら懐かしい気持ちを抱くそうです。

 

10. 庄山登山。

198.9m。地質は相生層群とよばれる中生代-古第三期。今から約八千万年前に火山として地下のマグマが噴出し地表近くで急に冷えて固まった流紋岩でできています。山城は1349年赤松貞範の築城といわれ、現在石垣や井戸跡などが残されています。小学校の時の友人も加わり笹とイバラと竹藪の道なき道を登りました。山頂からの眺めはとてもよく南に仁寿山、小富士山、八重鉾山、浦山、桶居山などの山が見えました。

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