おしらせ

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2019.12.06

第36回審査員講評

第36回入賞者選出にあたり、2名の審査員に代表して講評をいただきました。

執行 昭彦 [一般社団法人日本空間デザイン協会 理事]
(小学生部門について)  審査にあたり「絵地図として分かりやすいか」、「自分の視点で観察しているか」を重視して作品を見ることを心掛けました。今回の作品は、個性豊かに自分で発見した観察がイキイキと表現されていた作品も多く、非常に楽しい気持ちで選考することができました。環境大臣賞は自然環境の空間を感じさせる絵地図と、四季を通して自然との関わりを文章で語られた「私の三和町 お散歩マップ」が受賞しました。全体的に言えることですが、普段から季節の中で自然を観察する目を意識することと、絵地図としての描き込みで差がつくのだと思います。来年は更に質の高い作品が応募されることを期待しています。

(団体部門について)  団体部門において昨年に比べて倍以上の応募があったことは喜ばしい限りですが、残念ながら2年連続で環境大臣賞を見合わせる結果となりました。昨年も講評で言われているように、個人ではなく、団体で観察・作成する強みを強力に発揮した作品が見当たりませんでした。団体部門は1+1=2以上のプラスαが期待されますので、得意分野の連携による相乗効果が生まれることはもちろん、少なくとも個人応募より絵地図の描き込みが多いこと、そして多様な視点で自然を観察した絵で構成するのは必須条件ではないかと思われます。来年も皆さんが力を合わせて応募されることを期待します。

中島 尚子 [環境省 自然環境局 国立公園課 国立公園利用推進室 室長 ]
(中学生部門について)  どの作品も力作で、楽しく拝見させていただきました。環境大臣賞に選ばれた作品は、観察した動植物の種名を漢字表記にしていたり独自の描き方に工夫が伺え、説明文も観察結果の記述にとどまらず、作者の細やかな気づきや感動がいきいきと表現されていました。優秀賞には犬の散歩ルートに潜む危険な生きものをテーマにした作品がありましたが、単なる好奇心ではなく毒も自然の魅力の一つとして捉えるという視点が新鮮でした。街並みの鳥瞰図も上手に描かれておりその画力に感心しました。他の入賞作品もどれも丁寧に描かれ、身近な自然、生きものへの思いが良く伝わってきました。

(高校生部門について)  高校生らしくハイレベルな作品揃いで、入賞候補の選定には頭を悩ませました。環境大臣賞に選ばれた作品は、絵地図がとても詳細に書きこまれ構図やデザインも素晴らしいと思いました。説明文と合わせて、日頃の観察を踏まえた春夏秋冬の自然の美しさへの気づきがよく表現されています。優秀賞には3作品が選ばれ、地形地質や化石から読み取れる歴史を折り込んだ作品、セミへの温かい愛情が感じられる作品など、それぞれ自分の視点を持って自然への気づきと理解を深めていこうとされていることが印象的でした。ぜひ多くの方が本コンクールへの参加を通じて身の周りの自然を見つめなおし、楽しみながら自然と人の関係を考える機会としていただければと願っています。


写真左から、小林光(公益信託富士フイルム・グリーンファンド 運営委員長)、星野俊彦(富士フイルムホールディングス ㈱)、
守随吉弘(三井住友信託銀行 ㈱)、瀬尾隆史((公社)日本環境教育フォーラム)、執行昭彦((一社)日本空間デザイン協会)、
中島尚子(環境省)   [敬称略]

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