おしらせ

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2018.12.03

第35回審査員講評

第35回入賞者選出にあたり、2名の審査員に代表して講評をいただきました。

守隨 吉弘 [三井住友信託銀行株式会社]
(小学生部門について)  小学生のみなさんの生き物との出会いの喜び・驚き・好奇心が伝わってくる作品が多く、大きな喜びを感じながら選考にあたらせていただきました。絵地図や説明文において「自然の素晴らしさの気づき・好奇心・感動が自身の描写や言葉で表現されているか」を基準に小学生らしい視点や感性を大切にしたいという気持ちで審査しました。環境大臣賞受賞作は、「おいしいざっそう」というユニークな着想で観察されたことも高く評価されました。
優秀賞の各作品は、観察した内容や感動が絵地図や説明文を通して生き生きと表現されている点や昼と夜に時間を変えて観察した着眼点等が評価され選出されました。

(団体部門について)  団体部門については、環境大臣賞・優秀賞の授賞を見合わせる結果となりました。残念ながら小中高部門の環境大臣賞等受賞作品と比べて凌駕(りょうが)すると評価するには至らなかったためです。団体部門は複数人による共同作業で観察・作成することにより、個人で観察・作成した場合以上の「プラスアルファ効果」を期待しています。具体的には、観察者が複数になることによる視点や気づきの深まり、あるいは絵画の得意な人と文章表現の得意な人が分担して作成することによる表現力の向上等です。
この団体賞の趣旨をご理解いただき、次年度以降も多数の応募をお待ちしております。

瀬尾 隆史 [公益社団法人日本環境教育フォーラム]
(中学生部門について)  昨年に比べてやや応募件数は減少したが、全体として作品のレベルは高かった。いずれの作品からも、このコンクールをきっかけに自然に対する感性が高まっていることが感じられ、うれしい。環境大臣賞に選ばれた作品は白地の余白を効果的に残しながらたくさんの種類の植物を丁寧に描いた絵地図が他と一味違った印象を与えただけでなく、説明文の表現力が際立っていた。優秀賞の2作品はいずれも中学1年生の作品だが、絵地図、説明文ともに丁寧に作られている。自然を守ろうという意思が表明されているのも共通している。
見逃すことができない間違いがあったため、賞を逃した作品もいくつかありました。応募前にもう一度確認していただきたかった。

(高校生部門について)  昨年の4倍近い応募件数となった。キノコを対象にした2作品が優秀賞と入選となったが、自然全般を描くのではなく、テーマを絞った作品が少なからずあり、視点が多様化していることはさすが高校生と感じさせた。優秀賞に選ばれた3作品のうち、一つは、キノコ・変形菌への強い思いが感じられる説明文が印象的である。絵がもう少し丁寧に描けていたらと思う。他の2作品はいずれも絵が上手で、迫力もある。説明文から、このコンクールがきっかけで自然を見直したり、新たな気付きがあったことがわかる。
3作品ともさすが高校生と思わせる何かがもう一つあれば環境大臣賞にも手が届いたのかと思う。惜しい。


写真左から、小林光(公益信託富士フイルムグリーンファンド運営委員長)、井上和也(環境省)、執行昭彦((一社)日本空間デザイン協会)、
瀬尾 隆史((公社)日本環境教育フォーラム)、星野俊彦(富士フイルムホールディングス ㈱)、守随吉弘(三井住友信託銀行 ㈱)
[敬称略]

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