受賞作品一覧

夢前川の散歩道

佳作
中安智之
兵庫県
淳心学院中学校
中学校1年生
第27回 中学生の部

全体説明

 この夢前川サイクリングロードは、僕が小学生の時から走るコースに入っていたのでよく来ていました。季節ごとにとてもきれいな景色を見せてくれます。しかし、小学生の時には周りの生物や植物を細かいところまで注目して観察したことはありませんでした。そして、中学生になった今、このサイクリングロードをじっくりと観察しながら歩きます。よくそこら辺にいる生物やどこにでも生えている植物などもいますが、観察してみると見たこともないようなものもあります。この観察路をゆったりと歩いてみて、とてもいろいろな種類の植物や生物がたくさんいることがわかりました。チョウやバッタ、トンボに野鳥、それに草花や魚など、このサイクリングロードに行けばたくさんの自然に会うことができます。この観察路は、身近な自然を見て、ふれて、感じることができるすばらしい所だと、じっくり観察してみて思いました。

観察ポイントごとの説明

(1)

 ポイント1で見つけたのは、2匹のアゲハチョウです。1匹目はキアゲハ。このチョウはどこにでもあるセリ科植物を食草とするので生息地も広く、よく見られるアゲハチョウです。2匹目はアオスジアゲハというチョウで、その名の通り翅に鮮やかな青緑色の筋を持っています。飛び方はすばやくて飛翔力が高く、木や花のまわりをめまぐるしく飛び回っていることが多いです。公園、街路樹、照葉樹林または都市周辺でも生息しています。

 

(2)

 エノコログサがたくさん生えているところをポイント2で見つけました。エノコログサは俗称の猫じゃらしという名前で広く知られている雑草です。この草の特徴的な部分のブラシ状の穂は、円柱形の花序に一面に花がついて多数の毛が突き出したものです。エノコログサの最大の変異はアワで、別種として扱われていますがこの草を元に作り出されてものだと考えられています。また、猫じゃらしの別名の通りの猫をじゃらすこともできます。

 

(3)

 シオカラトンボを見つけたのは、ポイント3でした。このトンボの名前の由来は雄の体にある灰白色の粉を塩に見たてたからだそうです。シオカラトンボは自然の小河川や池沼のほか、水田や公園の池など人工の水域にも住むため、日本ではよく親しまれてトンボの1つです。そしてこのトンボは、雄と雌とで色が違ってきます。雄は黒色と灰白色のツートンカラーですが、メスは黄色の体に小さい黒い斑紋という体をしています。

 

(4)

 ポイント4ではヨモギを見つけました。ヨモギは日本全国どこにでも自生している植物で、どこに行っても見かけます。この草は地下茎などから他の植物の発芽を抑制する物質を分泌して、生育をじゃましています。そしてヨモギは数々の利用方法があり、新芽をゆでておひたしや汁物の具、草餅、天ぷらなどにして食べるほか、灸に使うもぐさを採取できたり、若い芽を干したものを煎じて飲んだり風呂に入れたりなど、多用できる植物です。

 

(5)

 ショウリョウバッタをポイント5で見つけました。ショウリョウバッタは斜め上にとがった頭部が特徴で、日本に分布するバッタの中では最大種です。生息地に入っていくとオスの成虫がキチキチキチッと鳴きながら飛行しますが、これは翅が打ち合わせて発音しているからです。このバッタは雄と雌の大きさが極端に違っていて、オスは体長5㎝前後で細身だが、メスは体長8㎝前後、全長18㎝前後とオスよりもかなりがっしりした体つきです。

 

(6)

 ポイント6では、スイバを見つけました。スイバの名前の由来は、葉をかむと酸味があるからです。北半球の温帯に広く分布していて、田畑や道端でよく見られます。花は春から初夏にかけて咲き、葉は長く付け根は矢尻型で、雌雄異株です。日本では野生のものの新芽を山菜として春先に食べますが、ヨーロッパでは古くから食用とされ、野菜として栽培品種もあったそうです。しかし、シュウ酸を多く含むので食べ過ぎるのはよくありません。

 

(7)

 ポイント7で見つけたのは、ヒメジョオンです。ヒメジョオンは北アメリカ原産の帰化植物で、現在では全国に広がってよく見かける雑草となっています。この草は花を初夏から秋にかけて咲かせますが、ヒメジョオンの花に見えるものは小さな花の集まりで、1つの花ではありません。また、ヒメジョオンとハルジオンを混同してしまうことがありますが、ヒメジョオンの茎はつまっているが、ハルジオンの茎は空洞たということでわかります。

 

(8)

 ポイント8では、キジバトを見つけました。キジバトは平地から山地の明るい森林に生息していますが、都市部でも普通に見ることができます。巣は樹上に小枝等を組み合わせた皿状のものを作りますが、人工建築物に営巣することもあるそうです。このハトはヤマバトという別名の通り、かつては山地に生息してめったに人前に姿を現しませんでしたが、銃猟が制限されてからあまり人間を恐れなくなり、都市部への進出を果たしました。

 

(9)

 川の中のポイント9で見つけたのは、コイとフナでした。コイは体長が60㎝~1mと大きく、口に2対の口ひげがついています。野生の個体についてはスマートな体つきで動きもわりあい速いです。食性は雑食性で、口に入るものならたいていなんでも食べてしまいます。そしてフナは水の流れのゆるい淡水域ならたいていの所で見られるポピュラーな魚です。ちなみに、アジアではしばしば食用とされ、日本では滋賀県の鮒寿司などが有名です。

 

(10)

 コサギは、川の中州のポイント10で見つけました。コサギはアフリカ、アジアの熱帯、温帯に広く分布しているが、温帯のものは冬になると暖かい地方へ移動します。全長は60㎝ほどで、全身の羽毛が白く、いわゆる白鷺と呼ばれる鳥の一種です。繁殖はサギ科の仲間同士で寄り集まって、集団繁殖地のサギ山を作る習性があり、繁殖期のごく短い期間には足の指と目の先が赤くなるそうです。また、エサは魚類、カエル、ザリガニなどです。