受賞作品一覧

守りたい塩尻の自然

優秀賞
宮原健太
長野県
松本秀峰中等教育学校
中学校1年生
第27回 中学生の部

全体説明

 僕の住んでいる塩尻市は、長野県のほぼ中央に位置します。塩尻は昔からぶどうの栽培がさかんです。また、精密機械の大きい会社もあります。その周りには田畑が広がり、川や林にはまだ沢山の自然が残されています。このコースは僕と愛犬の散歩道です。僕は小学校の頃から虫捕りが大好きで、毎日のようにあちこちへ虫捕り網とかごを持って出掛けていました。この地図を書くにあたって、僕は虫好きだったので、多くの虫を取り入れてみました。また、散歩の途中で見かけてた動植物も取り入れました。でも今年、じゃり工場が拡張され、林がせばまってしまいました。今までよく見かけていたキジやルリボシカミキリもほとんど見られなくなってしまいました。とても残念です。なんとかこの豊かな自然を次の世代に残せないものでしょうか。それには、ゴミ拾いをするとか、虫をつかまえずに写真を撮るとか、まず僕のできることから始めようと思います。

観察ポイントごとの説明

(1)

 毎年、この病院のかべの穴にスズメが巣を作ります。かわいらしい声で「チュン、チュン」と鳴いています。また、巣から「ヒョコン」と顔を出している姿も愛らしく、とてもかわいいです。近くのソバや稲、水田の中の虫などをえさにしているようで、えさが豊富なこの場所を好んでいるようです。冬はとめた後の車のエンジンで温まっている姿も見られ、スズメにとって人家の回りは、案外良い環境なのかもしれません。

 

(2)

 春、若葉の色も濃くなってくると、この大橋の下にツバメが巣を作りにやって来ます。毎年、何十匹ものツバメ達が忙しそうに子育てをしています。近くの田んぼからトンボやバッタなどをつかまえてきては、ひなにそれを与えています。春も終わりになると、ツバメはみられなくなりますが、信州名物のソバが花を咲かせます。赤いくきにきれいな白い花の対比がとてもきれいです。

 

(3)

 この公園には、中心に池があり多くの生き物が住んでいます。菖蒲が一面に生えているこの池には、なかなか見られないハグロトンボやサワガニが見られます。濃い金属色の緑と青の混ざった色の腹をもつハグロトンボは、神秘的であり、とても美しいです。この池には、山からきれいな水が流れこむのか、サワガニが見られたり、冬になると北からかもが何十匹も渡って来たりと、身近に四季を感じさせてくれる池です。

 

(4)

 大橋を渡って真っすぐ歩いて行くと、田んぼの横の用水路に八センチほどの大きなトノサマガエルが見られます。警戒心が強いのか、僕が近づいただけで逃げてしまいます。稲は、アキアカネやナツアカネなどのトンボがとまっています。秋には交尾中のアカトンボやトノサマバッタ、そして長野県では古くから成虫をつくだににして食べる習慣のあったコバネイナゴなどがよく見られます。このような田園風景を大切にしていきたいです。

 

(5)

 この神社には、毎年何匹ものアブラゼミやミンミンゼミがやってきます。二、三週間の命のアブラゼミの「ジージー」と力強く鳴く姿は、とても印象的です。セミの大合唱が始まると、夏を感じさせてくれます。また、この神社には、「ピーヒョロロロ」と鳴いているトビの姿も見られます。「ピーヒョロロロ」と鳴きながら、上空で旋回しているトビは、子供心に「いつ急降下してくるのか。」と怖かったです。

 

(6)

 ここは歌人、若山牧水と妻、喜志子の青春ゆかりの地でもある、歴史ある場所です。この公園には、からたちなどを食べて育ったキアゲハや、花屋の店先でよく見かけるヒペリカム、コヨシキリに育ててもらっているカッコウやアブラコウモリなどが見られます。今公園には、あまり該街灯がない為、夜になるとアブラコウモリがよくふじ棚にぶら下がっています。もしかすると、牧水もこのさまざまな生き物達を短歌に歌ったのかもしれません。

 

(7)

 夏の昼間でも涼しい雑木林です。ここには樹液をなめに来る、ノコギリクワガタやヒラタクワガタ・アオカナブンなどの甲虫類がよく見られます。その他、長野県では幼虫を食べるこの習慣のあったクロスズメバチも見られます。ここは、虫好きにはたまらない昆虫の宝庫でしたが、工場の拡張により土手が削られ、昆虫のすみかがせばまってしまいました。僕が子供の頃、虫捕りにかけづりまわったこの場所の自然を大切にしたいです。

 

(8)

 夏も近づき、セミが「ミーン、ミーン」と鳴き始めた頃、このりんご畑では、、キジの雄が「ケッケーッ」と鳴いたり、羽をはげしくはばたけせます。いそがしそうに鳴いているキジの声は、なんとなく物悲しいようにも感じます。でも今年は、工場の拡張のため、りんご畑周辺の木が切り倒され、キジをあまり見かけていません。草の実や、種、新芽、昆虫などを探す愛らしい姿のキジを見られないのは残念です。

 

(9)

 ここ塩尻は、奈良井川の上流にあたります。奈良井川には、かげろうなどを食べるヤマメや、清流にしか住めないカジカなどがいます。昔はカジカが沢山獲れて、それを天ぷらにして食べたそうです。また、川周辺の草むらには、ヤマカガシという毒蛇がいます。あまり強暴ではなく、自ら人を襲うことはありません。日本各地を探してもあまり見られないヤマメやカジカが、いつまでも住んでいられるような川を守り続けていきたいです。

 

(10)

 この用水路沿いには、何株かのハマナスが生えています。バラ科のハマナスには、くきにとげがあり、毎年、春頃よい香りのする花を咲かせます。ハマナスの花びらは、濃いピンク色をしていて、とても美しいです。また、その香りのよさから、香水の原料としても使われます。花が終わるとバラのような丸い実が出来ます。この実は赤く熟すと人も食べられます。本来、北海道で咲くこの花は長野県の冷涼な気候があっているのかもしれません。