応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第28回 中学生の部

山の辺の道観察記

西田有佑

奈良県
智辯学園奈良カレッジ中学部
中学校1年生

全体説明

 ぼくの住んでいる桜井市三輪は、昔からそうめんで有名な町です。また、天理・桜井間には山の辺の道があり、春や秋のシーズンにはリュックを背おったたくさんの人でにぎわいます。最近は、パワースポットとして大神神社も、とりあげられています。この神社は、山をご神体とされているため春は新緑、秋には紅葉と身近に四季を見られる場所えす。

 この時期になると、蝉の声が盛んで今年ももう秋に近づいてきたんだと感じられます。自然に囲まれたこの地域を小学生に戻った気分で探索しようと歩いてみました。虫とり網とかごを持って、いろいろな生き物を採取した頃が、思い出されます。身近に自然が残っていること恵まれていることを感じさせてくれました。その自然を失わないように、努力していきたいです。

観察ポイントごとの説明

ポイント1 

神社の裏参道から拝殿を横切り木々で囲まれたトンネルを歩いていると、右に大きな手を広げたような高木があります。この木は「ホウノキ」というモクレン科の植物です。葉は楕円形で白っぽい明るい緑をしています。また葉は芳香があり、殺菌作用があるため食材を包むのに使われます。材は堅いので、下駄の歯に、また水に強く手触りが良いので和包丁の柄に利用されるそうです。

 

ポイント2 

更に奥へと歩いていくと、いましたアブラゼミ。赤茶の羽根をじっとさせ大きな大木にとまっています。つくつくぼうしの声も聞こえます。そっと近づくとあっという間に飛び立ってしまいました。隣の木を見上げると、雨あがりの湿った幹になんと大小十数匹のかたつむりが、木を占領していました。かたつむりと言えば、最近ブロック塀で見ることが多く、これはカルシウムを摂食しているのだと言われています。

 

ポイント3 

山から湧き出た水を神水とし、薬水や酒造りの水としても用いられる狭井神社で一息。池の中を覗くと赤いものが動いています。橋の上でトントンと音を鳴らすと、大き黒い物や白く光る物が近づいてきました。音に反応したのかもしれません。鯉たちです。水が濁っていてはっきりとはわかりませんが三十セントメートル以上ある錦鯉がゆっくりと体をうねらせて泳いでいます。ところどころで波紋ができているのがみえます。

 

ポイント4 

突きあたりには、きよめの滝と呼ばれる場所があります。そこから流れてくる水が、自然な小川を作っています。水の勢いでできた砂の模様も小石も、すき通ってよく見えます。じっと目をとめると小さなサワガニが動いています。ハサミを持ち上げて石のすき間に入るところでした。何年かぶりのサワガニとの対面ですごく興奮することができました。

 

ポイント5 

ここは鎮女池です。水面に緑の葉が広がっています。ホテイアオイが浮いていているようです。花の時期はまだまだなのでしょう。もうすぐ紫の花が一面に咲くのが間ちどおしいです。ホテイアオイの間を一羽のカモが泳いでいました。同じ池のまわりに一メートルから二メートルほどもあるガマを見つけました。ちょうど茶色のフランクフルトのような穂をつけています。

 

ポイント6 

ここは一面に田んぼです。あぜ道の両側には、うすい緑色のイネが穂をつけています。イネの間には、米粒大ほどの葉をつけた浮き草が多数見られます。この浮き草は「アオウキクサ」という名です。イネ苗を植えた後、いつの間にか浮き草のじゅうたんになっている田んぼが多く見られます。この浮き草たちはどこから運ばれてくるのか不思議です。

 

ポイント7 

線路を越えた田んぼのあぜ道には紫色の小さな花をつけたツユクサが咲いています。葉にたくさんのツユをつけて並んでいます。早朝に開花したツユクサは昼頃には花を閉じてしまいます。山道とは違い蝉の声を遠くに聞くことができるだけで静かに流れる川の水音だけが耳に残ります。川の中にはアメンボがいるだけで他の生き物の気配はありません。

 

ポイント8 

「ピョン」どこからか飛び出してきたのはカエル。三センチメートルぐらいの土色の背中にイボイボを持った小さなツチガエル。次はどこへ飛んでいこうかとかまえているようです。ぼくを追いこすようにオニヤンマが猛スピードで飛んで行きます。黒と黄色のしまの体と緑の目で空中の生物をキャッチするすごい昆虫です。成虫としては、よく目にするオニヤンマも、幼虫のヤゴをみつけることは、なかなか難しいです。

 

ポイント9 

国道を渡ると芝運動公園内です。南側は、さくら並木道です。緑の葉をつけ春の開花時期までの暑い夏を過ごします。ぎざぎざの葉の裏にあぶらぜみのぬけがらです。家の庭の木からも今年は蝉のぬけがらがたくさん見つかりました。少し大きく白濁した茶色のくまぜみ、茶色のつやつやしたあぶらぜみのぬけがらなど数えただけでも15くらいはありました。割れた背中から出ている白い糸のようなものは何なのでしょう。

 

ポイント10 

耳を澄ますと、草むらの中からキリギリスの鳴き声が、聞こえてきます。声の方へと目をこらせてもキリギリスの姿は見つけられません。かわりにショウリョウバッタがおんぶされたまま飛びだしてきました。オンブバッタかもしれません。草むらの中には、他の生き物もいるようです。虫の合唱はまだまだ続いています。池の周りにはマルバハギがピンク色の花のつぼみをつけています。秋はもうそこまで近づいているようです。

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