応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

応募用紙ダウンロード
受賞作品一覧
最優秀賞
第28回 中学生の部

城下町松本散策マップ

宮原健太

長野県
松本秀峰中等教育学校
中学校2年生

全体説明

私は毎朝、松本駅から松本秀峰まで歩いて通学しています。周りはビルや商店が立ち並ぶ住宅街ですが、ある日、通学途中に私の背中にミンミンゼミが留まりました。あれっこんな所にもセミがいるのかと驚いて、こんな街中にどのような生き物がいるのだろうかと興味を持ち、あちこち観察しました。

 六月三十日、松本市でも震度五弱の地震があり、建物には多くの被害が出ました。そんな中、動植物はどうなっているのかと思った事もこのマップを作るきっかけとなりました。

 調査してみると、思いの他、多くの種類の生き物が見つかり、彼らは強くたくましく生きていました。これを見て私は、天変地異にも負けない動植物の強さに深く感心したと同時に、私達も地震などの災害に立ち向かっていこうという前向きな気持ちになりました。

観察ポイントごとの説明

ポイント(1)

 松本秀峰のすぐ横の道を東に歩いていくと、ヒマラヤ杉に囲まれた緑色の旧松本高校が見えてきます。ヒマラヤ原産で世界三大造園木の一つであるヒマラヤ杉が密集して植えられてあります。市街地にはヒマラヤ杉は珍しく、夏でも涼しい道を作ってくれます。自然豊かなこの森では灰褐色のキジバトがデデポーとくり返して鳴いています。周りには新しく建物も造られていますが、森の中からデデポーという声をこれからもずっと聞きたいです。

 

ポイント(2)

 薄川沿いに出ると松並木が見えてきます。春になるとウグイスがやってきて、平安時代から続くアカマツの大木でホーホケキョケキョケキョとかわいらしく囀ります。この松の上の方にはよくトビがとまっていて、まるで獲物を狙っているかのようです。しかし空に舞って、ピーヒョロロと鳴くトビはのどかな様子で、心が和むひとときです。

 

ポイント(3)

 ここ源智の井戸は松本市内でも有数の湧き水場です。この水はとてもおいしいです。この井戸の横を流れる水路にオオカナダモや、コオイムシは生息しています。卵を沢山背負っているのは雄のコオイムシで、卵をしっかり保護するのです。最近は農薬が川に混ざってしまったりと数の減少が心配されています。この井戸もみんなで大切に使って、いつまでもコウイムシが見つかるようなきれいな水でいてほしいです。

 

ポイント(4)

 橋を渡ると四柱神社が見えてきます。鳥居の横のため池には、アメンボや金魚が多くみられます。スイスイと水の上を走るアメンボは滑稽であり、せわしなくみえます。神社の周りを一周して女鳥羽川沿いの湿気の多い所にはハグロトンボが生息しています。グリーンに光る雄の腹部は美しく、全体的に黒色のハグロトンボのひらひらとまるで蝶の様に飛ぶ姿はとても優雅にみえます。

 

ポイント(5)

女鳥羽川を上流に向かって少し歩くと、川沿いは草、木が茂っています。最近では都会でもよく見られるヒヨドリが見られます。集団で餌を探している様で、草むらに嘴を突っ込んでいます。よく見るとそこにはアシナガバチの巣が沢山あってブンブン羽をうならしてそこら中を飛び回っています。私はこの巣を知らず踏んでしまった事がありますが、その時は蜂に何箇所か刺されてしまい、とても痛い思い出がある場所です。

 

ポイント(6)

 川の中流にさしかかると、アオサギやカルガモが見られます。魚など小動物を狙っているアオサギはじっとして、ただ水面ばかりを眺めています。他にもダイサギやコサギらが見られます。それに対してカルガモは、比較的流れの遅い所で水に顔を入れています。たまに小さなひな達が母親ガモにくっついて、泳いでいる姿を見ることが出来ます。カモの親子はとてもかわいらしいです。

 

ポイント(7)

 女鳥羽川をもう少し上流に向かって歩くと、川釣りを楽しむ人々が見えてきます。ここには産卵期になると腹部が鮮やかな赤色に変化するウグイやオイカワなどの魚類、またカワニナやモノアラガイなどの貝類、カワニナを幼体時の餌とするゲンジボタルなどが見られます。夜になるとゲンジボタルが黄色い光を発して、趣のある水辺を演出します。ホタルの光る様子はいつまでも見ていたくなるような美しい光景です。

 

ポイント(8)

 ここまでくるとフィーフィーという鹿の様な美しい鳴き声がしてきます。岩の上などをよく見てみると、カジカガエルが鳴いています。彼らは水たまりのような場所で多くいますが、河川改修で最近は数が減ってきてしまっています。川の石などを持ち上げてみると、そこにはカワゲラの幼虫がいます。これらは魚や昆虫食のセグロセキレイのエサとなり、豊かな自然の女鳥羽川を支えているのです。

 

ポイント(9)

橋を渡って少し西に歩くと、ジージーとうるさく鳴くアブラゼミが多くいる長称寺につきます。セミのぬけがらが一本に木に何箇所おあり、あっというまにセミのぬけがらを見つけられます。この寺の銅鐘は国指定等文化財に指定され、江戸時代からあるものです。また、ハシボソガラスも多くいます。これらは川の周辺から餌を探しによく飛んできているのです。

 

ポイント(10)

 旧開智学校は国の重要文化財に指定され、今では教育博物館となり、松本でも有数の観光スポットとなっています。夏の夕方、この旧開智学校の周りでは、ヒグラシがカナカナカナと鳴いているのが聞こえます。ヒグラシの声は、何かものさびしげです。また雄の腹部は雌に比べて約2倍あります。しかし、高い所で鳴くため、観察の難しいセミでもあります。

 

ポイント(11)

 国宝松本城のお堀には、コブハクチョウ・コイが見られます。松本城の石垣のすき間には木の上に巣を作るのが普通のドバトが巣を作って住みついています。観光客の多い松本城では、こんな所に巣を作るのかととても驚きました。お堀の上をすーと飛ぶコシアキトンボや赤・白の美しい花のハスなども見られます。最近の地震で、松本城にはひびも入っているそうですが、強くたくましく生きる動植物達に感動しました。

一覧へ戻る