受賞作品一覧

東高根森林公園~関東のかくれた古墳をたずねて~

入選
塩谷真生
神奈川県
昭和女子大学附属昭和中学校
中学校3年生
第38回 中学生の部

全体説明

東高根森林公園は 古代芝生広場の下に弥生時代から古墳時代の間に存在した古墳が眠る公園です。非常に残念ながら、古墳は土の下にあるため実際に見ることはできませんが、多摩丘陵の懐かしくも美しい自然を今に伝える県立公園です。私は、幼い頃からここで様々な植物や昆虫と触れ合ってきたので今回の自然観察路コンクールは東高根森林公園について書こうと思いました。東高根森林公園は様々な植物や昆虫が生息していて、歩いていると自然を存分に感じることができ、清々しい気持ちになることができます。そしてここでは、シラカシ林という県指定の天然記念物を見ることもできます。
近年、開発を行うための森林伐採により、自然に近い形で生息しているシラカシ林がなかなかないそうなので、私は、この貴重なシラカシ林を周辺の植生を含め、自然林に近い形のまま保護し、後世まで伝わって欲しいと考えています。

観察ポイントごとの説明

①パークセンター
公園利用者のために植物や鳥に関しての名前や特徴についてとても詳しく看板に書かれているため見やすいです。その他には、情報を発信する、また環境教育や交流するための拠点となっています。

②ケヤキ広場
春になると清流沿いに梅やサンシュユの木が花開き、一面紅白と黄色に染まって、来園者を楽しませてくれます。清流には可愛らしいカワセミが魚を捕まえて食べている姿やウグイスのさえずりを聞くことができます。

③湿生植物園
ここは湿生野草ゾーン、湿生樹林ゾーン、湿生花園ゾーン、稲作田ゾーンの4つに分かれ、湿生野草ゾーンは、湿地や水辺を好む草花が四季折々に見られるゾーンです。湿地花園ゾーンと比べると花が小さかったり、目立たない花をつけるものが多いですが、変わった形や色をした葉や花をつけています。湿生樹林ゾーンは水辺を好むハンノキなどが生息しています。そしてこれらの木々の下には水湿地を好むチダケサシなどの多くの野草が早春から見ることができます。湿生花園ゾーンは、私たちのよく知っているハナショウブやアヤメなどの美しい花の咲く植物が沢山集められています。これら植物にはそれぞれ適する水深、水質、水温があります。そこで堰などを使って色々な環境を作っています。稲作田ゾーンは、5月頃に田植えイベントや10月頃には頭を垂れた黄金色の稲を刈り取ります。毎年11月23日には収穫感謝祭で収穫したもち米で餅つき体験を行っています。

④自然観察広場
木道を少し進んでいくと、樹林に囲まれた広場があり、夏はミンミンゼミやエゾゼミの鳴き声を聞くことができ、秋には、コオロギや鈴虫なども観察できます。私が行った時には子供たちが虫取り網でトンボを捕まえていました。

⑤シラカシ林
シラカシ林は、かつて多摩丘陵一帯に広がっていた照葉樹のシラカシ林が近年に開発などで姿を消しつつある中、自然林に近い形で奇跡的に残されており、散策路から照葉樹林の森林景観を感じることができます。この貴重な下樫林を守るため、1971年に2.8haのシラカシ林が県の天然記念物に指定されています。

⑥古代芝生
森林公園の頂上には「古代芝生広場」と呼ばれる一角があり、地下に弥生時代から古墳時代の遺跡が眠っています。私が行く時はいつも沢山の子供たちが走り回っていたり、シャボン玉で遊んでいたりします。

⑦クヌギ・コナラ林
クヌギやコナラが主体の雑木林には年間約50種類もの野鳥が集まり、高木層、低木層、草木層など、様々な植物を見ることができます。私が散策していた時はカラスアゲハを見つけることができました。その他にも歩いているととても清々しい気持ちになりました。

⑧古代植物園
このエリアでは縄文時代の衣、食、住にかかわってきた主な植物84種が見られます。ここでは食料、衣類、染料、建物、薬、木製品、親しまれた植物の7つの部門に分類しており、それぞれに代表的植物を植栽しています。 日本文化と植物の関わり合いを見ることができます。

⑨花木公園
沢沿の道を歩いていくと、広くなったところがあり、花木植込みの先を進んでいくと石段があり、その上には東屋が、さらにその上には藤棚がある見晴らし台があります。ここでは、ウバユリ、シモツケ、ミズタマソウなどを見ることができ、花々に囲まれるため、ミツバチやモンシロチョウと遭遇することもありました。

⑩ユリ園
夏になるとヤマユリやササユリ、ノカンゾウ、鉄砲ユリなどの多品種のユリはもちろんのこと、様々な野草タチツボスミレ、アズマイチゲ、ニリンソウなどが見られるため散策をしていると綺麗な花達に癒されてとても楽しいです。