応募期間

2024年6月1日 (土)~ 9月30日 (月)

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受賞作品一覧
優秀賞
第37回 中学生の部

きぬた公園 夏の五感を 呼びさます

三宅 結菜

東京都
明治大学付属中野八王子中学校
中学校3年生

全体説明

今年は異例の夏休みでした。
新型コロナウイルスによって外出も不自由となり短縮された夏休みによって観察時間も限られたものとなりました。
また照り付ける太陽は私の外出意欲をそぐものでした。しかしそんなダブルパンチの中でもこの夏も変わらない日々を過ごしている動植物を観察することができました。
わたしの家の南のほうには大きな緑があります。東京ドーム8個分の広さの砧公園です。戦時中は防空緑地、戦後は都営ゴルフ場として開放されていました。
早速家から一番近い大蔵門まで自転車を走らせます。
夏の猛暑は容赦なく私の体力を奪っていき、アスファルトからの照り返しもすさまじいものでしたが、公園に入れば、木陰によってかいた汗は冷えていきます。思わず、深呼吸。都心とは思えない深緑が目に飛び込んできて蝉の鳴き声に包まれます。

観察ポイントごとの説明

①塩辛蜻蛉
バードサンクチュアリというのに蜻蛉の数が鳥より多くとても驚きました。近くに鳥の好む池があるからでしょうか。その姿を写真に収めようとしていたら、私のカバンに塩辛蜻蛉が止まっていました。おかげでじっくり観察できました。観察した個体は胸部~腹部が灰白色の粉で覆われていたためどうやら、老熟のようでした。オスは黒みが増し、粉が塩に見えることから塩辛蜻蛉と呼ばれます。

三葉大反魂草
明るい黄色の花弁と濃い花芯のコントラストがとても美しい花が咲いていました。
和名「三葉大反魂草」ルドベキアです。花言葉は「あなたを見つめる」。中央の花芯が盛り上がり暗褐色の目のように見えることから考えられました。越年草で葉は先のとがった卵型です。
また笹の間から金蛇も顔を出しました。この暑い日に「ようこそ」と言っているようです。

③島百日紅
白い花が肩に落ちてきました。何だろうと見上げてみたら、島百日紅に可憐な花が咲いていました。風に揺られるとはらはらと落ちて花期も百日紅よりも短いのでとてもはかないなと思いました。幹をさわってみると“猿滑”というだけあってつるつるしていました。新しい枝は古い枝から垂直に生えて日の光を浴びたがっているようだなと思いました。

④江戸桜など
まだ小さい桜が3本植わっていました。江戸という品種は東京の荒川堤で栽培されていました。大輪の花を咲かせぼんぼり状になるようです。泰山府君という品種は江戸時代の桜番付では御車返しという品種とともに大関として人気を誇りました。御車返しという品種は八重か一重か口論になり、車を引き返したことから命名されたとされます。

⑤染井吉野
ファミリーパーク内には染井吉野や山桜など約840本が植わっています。その中には枝が重くて支えきれないのか地面すれすれまで枝を伸ばした桜もありました。川沿いの桜、斜面の桜も下へ枝を伸ばします。日の光を浴びたがってほかの枝が生えていないところに伸ばすのでしょうか。まるで桜のカーテンのようでとてもきれいでしょう。春になれば満開の桜が咲き乱れお花見にもってこいです。

⑥箒木など
草姿が円錐形の箒木は私の家で育てている毬藻によく似ていてとてもかわいらしい植物です。コキアとも言い箒の材料に使うことも。観賞用唐辛子ブラックパールは葉も実も黒く、実はこれからだんだんと赤くなっていくようです。
また千日紅なども生えており、ピンクやローズといった鮮やかな色で見る人の心を楽しませてくれます。

⑦日々草など
今度は砧公園の北側へ行ってみました。
ビビッドなピンクが目を引きました。日々草です。別名ビンカともいわれます。名前の由来は初夏から晩秋まで次々に花が咲くことから名づけられたといわれています。コリウスウォーターメロンという植物は初めて見たのですが、花に負けない華やかな葉の色合いがとても印象的です。シソ科の1年草ですが、緑と濃い赤紫からスイカの仲間なのかなと思ったほどでした。

⑧欅
欅は世田谷区のシンボルの木とされており、雄大な風格を感じられます。
近づいてみると蝉の抜け殻が12個欅にくっついていて羽化の瞬間を見てみたかったなと思いました。せっかくなので家に抜け殻を持ち帰って観察してみたところ油蝉の抜け殻が大半でした。また気門から体内に続く気管の内側が、羽化の脱皮の時にそのまま出てきた白い糸も抜け殻の背中の裂け目から観察できました。

⑨支那満作
枝が絡まっている面白い木を見つけました。枝の根元から数本の茎が立ち上がっている状態の株立ち状の木で私が普段見る単幹の木とは違い栄養が分散されるため、幹が細く絡まってしまったのかなと思いました。支那満作の支那は中国原産であること、満作というのは花をいっぱい咲かせ「豊年満作」をイメージすることからきています。今度は花が咲く1月から3月に又観察してみたいです。

⑩薮蘭
見た目は小さいころ集めていた瑠璃色の実をつける竜の髯とよく似ています。
ですが薮蘭は黒色の実をつけるので区別できます。
ちょうど小さな藤色の花をつけており風に揺られてとてもかわいらしい花です。
わたしが観察したのは野生種でしたが、ほかにも白や濃い青紫の花をつけたり葉の色が変わったり斑が入っていたりする品種もあるようです。

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