受賞作品一覧

自転車で行く虫捕りの観察路

佳作
岡本舞衣
奈良県
智辯学園奈良カレッジ中学校
中学校1年生
第30回 中学生の部

全体説明

私が住んでいるのは、大阪府、羽曳野市。あまり自然豊富とは言えない所ですが、まず石川と言う大和川の始流の川で虫捕りをしてみる事にしました。石川は、かなり汚い川です。陸にも川にも色々ゴミがあり、空き缶やビニール袋、最近は花火の際に出るゴミも浮いています。ただでさえ開発が進んで自然が無くなってきているのだから、ポイ捨てや、後始末をしないのはやめてほしいものです。また石川の上には近鉄南大阪線が通っています。古市から駒ヶ谷の間に石川はあります。毎朝登校する時に目にしています。西名阪自動車道や南阪奈道路等の交通量の多い動路も通っています。虫達にとって悪条件ばかりですが、それでも懸命に生きる虫がいました。もう一箇所は、鳩にパンをやっていたおじさんが教えてくれた、「大阪府立食とみどりの総合技術センター」です。人工的に木や池、小川もあり、虫が沢山捕れました。残された少ない自然で一生懸命生きる虫達を、紹介します。

観察ポイントごとの説明

1.夏の虫と言えば、やはりセミですね。夏の始めはクマゼミやアブラゼミ、終盤ではミンミンゼミやツクツクボウシが有名です。家の近所にある白鳥神社ではクマゼミのメスが捕れました。オスの鳴き声はワシワシワシ…。総合技術センターではアブラゼミが捕れました。ジージー…と鳴いていました。セミは七年土の中にいて、陸に出たら一週間しか生きられません。白鳥神社にはセミが土の中から出た時の穴がありました。可哀想な昆虫です。

 

2.石川では様々な種類のトンボ達が元気良く飛び回っていました。赤い体のアカトンボが一番多く、水色の体のシオカラトンボは二十匹程飛んでいるトンボの中で三匹しかいませんでしたが、一匹捕れました。雌は黄色に黒い斑紋がありますが、私が捕ったのは鮮やかな水色と黒の雄のシオカラトンボでした。流れの緩い河川に多いですが、水田や公園など人工的な場所にもよく見られます。とてもおとなしいトンボで、扱いやすい昆虫でした。

 

3.ヌマガエルが捕れたのは、石川と総合技術センターの両方です。ヌマガエルは川にも陸にもいますが、成虫は陸の方に多くいたように感じます。ちなみに石川でヌマガエルの子、すなわちオタマジャクシを捕れました。ヌマガエルはアカガエル科で、褐色で小さなカエルです。西日本の水田や池、川に多いのですが、畑や草原にもいます。石川で捕ったヌマガエルはあせって怪我をさせてしまいました。祖父は方言で「ビッキン」と呼んでいました。

 

4.チョウは、優雅に飛ぶ割には実に捕りにくい虫であるということが発覚しました。石川ではウラゴマダラシジミというとても小さな白い体に黒い斑紋があるチョウを捕れました。総合技術センターでは、有名なキアゲハを捕ることができました。シジミチョウは小さく動きが遅いので簡単ですが、キアゲハはすばしっこいので花にとまっていないと捕れませんでした。両方とも大きな目と口元で巻いているストローのようなものが観察できました。

 

5.今回の虫捕りで、一番多く捕れたのは、バッタでした。褐色型のショウリョウバッタを二匹、緑色型のショウリョウバッタを一匹、トノサマバッタ等を捕れました。ショウリョウバッタはとても大きいバッタで、頭部が尖っています。雄は飛ぶ時にチキチキと音を出すので「チキチキバッタ」とも呼ばれます。トノサマバッタは日本のバッタの仲間で一番大きく、私が捕ったのは掲色型。人の気配に敏感なので、捕るのは簡単ではありません。

 

6.石川では鯉やメダカ等、魚は意外にも多くいました。鯉はさすがに虫捕り網では捕れません。なのでメダカにチャレンジしてみました。メダカはとてもすばしっこいのでなかなか捕れませんが、小さいので水中に入れたり水中から出したりしていたらそのうち捕れます。動物プランクトンや蚊の幼虫ボウフラを好んで食べます。一九八〇年代から野生のメダカが減少し始め一九九九年には絶滅危惧種に指定されました。身近にいるので驚きです。

 

7.総合技術センターに入ってまず最初に聞こえたのはウシガエルの鳴き声でした。ブォーブォーと、とても大きな鳴き声で、印象深かったです。しかし成虫は背丈の高い草にいたので、姿は見れませんでしたが、石川でウシガエルのオタマジャクシを捕ることができました。ウシガエルはオタマジャクシも大きいです。足が生えていなかったことから、まだ産まれて間もないと思われます。まあ、それにしても目を疑う程、とても大きかったです。

 

8.私が幼い時、熊本でザリガニの脱皮を目の当たりにしました。ザリガニは池の中のくいや木によく潜んでいます。竹の棒にひもをくくりつけて、その先にソフトさきいかをつけて簡単な釣り竿を作り、くいの近くに垂らします。ザリガニが来たらゆっくり引っ張って虫捕り網に入れて捕獲完了です。総合技術センターで、アメリカザリガニというアメリカ出身のザリガニが捕れました。見た目は痛そうかもしれませんが、おとなしかったです。

 

9.総合技術センターで沢山生えている木に、まるでセミの抜け殻のようにくっついていたのが、クチベニマイマイです。殻口が赤いカタツムリで、日本のカタツムリでは中型です。成長すると殻口が赤紫色になります。近畿地方から中部地方西部にかけて分布しています。しかし、例外もあるようで、三宅島にはいます。三宅島のクチベニマイマイは本州のクチベニマイマイに比べて小型です。岐阜県では食物にされていたようで、食べてみたいです。

 

10.石川は大和川の始流ですが、さらに石川の始流が、大乗川と呼ばれる川です。大乗川にいたのはサギ、カモ、そしてミシシッピアカミミガメです。ミドリガメとも呼ばれ、アメリカ主身です。オスよりメスの方が大型で、少し強暴なので素手で持つと爪を出してきたり咬んできたりするので危険です。でも、歯は生えていないのでそれほど痛くありません。このカメは人気でよく飼われていますが日本の生態系を狂わせるので捨ててはいけません。