過去の受賞作品

加西のガラパゴス あびき湿原NATURAL ROAD

優秀賞
中井 一成
兵庫県
淳心学院中学校
中学校1年生
第35回 中学生の部

全体説明

加西のガラパゴス、網引湿原。県内最大級で稀少生物が身近に観察できる貴重な湿原だ。しかも、特別な環境ではないのに生息しているのは奇跡だと思う。それは、僕が住んでいる地域と湿原のある網引町の環境がほぼ同じなのに、絶滅を危惧されている稀少生物が沢山いるからだ。今現在、外来生物が増え、これまでの生態系を破壊してきたことで稀少生物や在来生物が減少している。それだけではなく、人間が農業、都市開発をしたことで生態系を崩した結果でもある。だからこそ、昔のままで保たれている環境を守り、外来生物の侵害を抑えなければならない。と同時に、生き物と共生できる「社会」と「環境」を整えるために僕は今の環境を知る必要がある。
そして、得た情報をできるだけ多くの人に伝えることで、みんなで僕たちの環境を自分のこととして守っていけるようにしたい。それが僕に与えられた使命だと思う。

観察ポイントごとの説明

(観察ポイント①『ギフチョウ』)
ギフチョウは、黒と黄色の縦縞模様の蝶で、現在、絶滅を危惧されているものである。
あびき湿原では、第二湿原周辺や山道脇に生息している。春に訪れた時、アゲハチョウに似たギフチョウと、カンアオイについている卵を観察することができて嬉しかった。しかし、夏に訪れた時には、さなぎを観察することができず、残念だった。来年も元気に飛ぶことを願っている。

(観察ポイント②『カンアオイ』)
カンアオイは、葉がドクダミに似た、茎の短い植物だ。あびき湿原では、山道脇、森林の斜面に自生していることが多い。時期によって見られないことがあるが、葉の裏面には黄色い、1.5ミリメートルほどのギフチョウの卵がついていた。しかし、カンアオイを見つけるために、シダ植物をかき分けないといけない。それによって、ピンポイントに探すのは難しかった。

(観察ポイント③『ニホンアカガエル』)
ニホンアカガエルは、第二湿原出入口付近に生息していた。僕は、広場の切り株横で発見した。見た目は、ツチガエルに似て、また地面と同じ赤褐色・茶色だったので、ふみつぶしてしまいそうだった。アカガエルは、地面に擬態して、外敵から身を守るようにしているのかもしれない。

(観察ポイント④『ハルゼミ』)
ハルゼミは名前の通り、春に発生するセミである。春に訪れた時、山道を歩いているとハルゼミの鳴き声がきこえてきた。美しい鳴き方ではなかった。夏に訪れた時はアブラゼミとクマゼミにかわっていた。

(観察ポイント⑤『カスミサンショウウオ』)
カスミサンショウウオは、名前の通り、サンショウウオである。大きさはイモリと同じほどの大きさでおうど色をしている。繁殖以外は陸上で生活することが多く、僕は湿地で発見できた。僕は、サンショウウオときくと、オオサンショウウオをイメージするが、カスミサンショウウオはとても小さくてかわいかった。

(観察ポイント⑥『ヒメタイコウチ』)
ヒメタイコウチは、奥池や小川の浅瀬に生息している。湿原保存会の方は、「ヒメタイコウチが減少傾向で、年々見られる数が少なくなっている」と話されていて、今ではレアな生き物になっている。また、体の色が焦げ茶色で、落ち葉に擬態しているのだと分かった。厳しい自然を生きぬくタイコウチの生命力は凄いと感じた。

(観察ポイント⑦『ハッチョウトンボ』)
ハッチョウトンボは、頭部から腹部までの長さがだいたい一円玉のサイズの小さなトンボである。ハッチョウトンボを写真におさめようとしても、ぼやけてしまうぐらい、小さいサイズだった。雄は、鮮やかな赤色をしているのだが、小さなハッチョウトンボは、なぜ、小さいままで、大きな形に進化しなかったのか、新たな疑問ができた。

(観察ポイント⑧『サギソウ』)
このサギソウは網引湿原の中で一番のメインであると思う。第一湿原から、第三湿原までの全てで観察でき、独特な特徴を持った花びらがある。沢山の毛のような細い花びらが左右に広がり、本物の鳥の「サギ」のような形に見えてきそうだ。あまりにも、複雑なつくりになっていて、一体花弁の数は実際何枚なのか、分からない。また、どういうふうな利益があって、こんな花とかけ離れた姿をしているのか、理にかなわないつくりをして、子孫を残しやすいのか、追求するほどわからなくなってくる。
あびき湿原で観察をすることで、花・生物のつくりという概念がなくなり、世の中には変わった姿をした生き物がいるのだと、このサギソウのおかげでより広い種類の生き物に触れることができた。

(観察ポイント⑨『モウセンゴケ』)
モウセンゴケは、湿地に生息する食虫植物である。湿原の湧水付近で淡い緑色をした葉に、白色の1センチほどの小さな花をつける。茎が長いので、葉が見えにくいが、しっかり見ると見えるかもしれない。葉についている沢山の粘毛が線香花火に見えた。

(観察ポイント⑩『ヒメヒカゲ』)
ヒメヒカゲは、別名、ジャノメチョウとも呼ばれる。黄褐色系の羽に白と黒の点が入った、絶滅を危惧されているものである。トキソウと、ヒメヒカゲが同時に見られるのは兵庫の中でここだけと言われるほど、珍しい場所である。観察に行った時は茶色い蝶がとんでいた。こんな貴重な生物が生息しているのはとてもありがたいことで僕自身、とても嬉しく感じた。

(観察ポイント⑪『ゲンジボタル』)
ゲンジボタルは、水のきれいな小川に生息する。水中に、カワニナとよばれる幼虫のエサがあると、ゲンジボタルが生息している可能性が高い。しかし、開いている時間が午後五時までなので、夜、輝きながら飛ぶ姿が見れないのは残念だ。

(観察ポイント⑫『ユウスゲ』)
ユウスゲはユリ科に属している。1.5メートルぐらいまで成長し、黄色い花を咲かせていた。一日しか持たない花で、午後四時ごろに花を咲かせている。奥池周辺にたくさん生えているため、第二、三湿原に行く時はよく見るといい。

(観察ポイント⑬『ヌートリア』)
ネズミ目ヌートリア科の動物で、顔がカピバラに似ている。ただ、可愛い反面、「特定外来生物」になり、作物や生態系に悪影響をおよぼしている。湿原内とは異なり、外界は生態系をおびやかす、危険生物がいるんだと分かった。すぐそこまできているのは、野生化させた、人間の責任だろう。

(観察ポイント⑭『ミシシッピアカミミガメ』)
あびき湿原の中の池と、外界の池は大きく異なっている。湿原内にはいないミシシッピアカミミガメは、何でも食べる肉食なので、繁殖力が強く、すぐに広がってしまった。
湿原の中にはまだ入ってきていない外来生物を駆除しないと、後世には残せない。だから、今すぐにでも対応する必要があるんだと思う。

(観察ポイント⑮『アメリカザリガニ』)
アメリカ原産の外来種だ。あびき湿原には入ってきていないが、手前の池にはおびただしい数のアメリカザリガニがいた。そこにいるザリガニは、在来種やその場所にいる生物を食べてしまう。生態系を崩す原因のものなんだと感じた。

(観察ポイント⑯『ブラックバス』)
オオクチバスともいい、アメリカ原産の魚である。池の中には数多くのブラックバスが泳いでいて、アメリカザリガニと同じく、生態系をくずすやつなんだと感じた。湿原と、その周辺では、生息している生物や外来種などの生態系の差が、くっきりしていると感じた。